文章:宇都出 雅巳(All About「コーチング・マネジメント」旧ガイド)
コーチングは組織におけるマネジメントにどのように活用できるのか? 「コーアクティブ」(協働的)という関係性を重視する「コーアクティブ・コーチング」を提唱するコーチ養成機関・CTIジャパンの島村剛代表に聞きました。
《CONTENTS》
●コーチングが誤解されている(1P目)●部下との関係をデザインする(1P目)●志と絆を育む(2P目)●部下と対話を続けよう(2P目)コーチングが誤解されている
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島村剛・CTIジャパン代表住友銀行、日本総合研究所を経て、2004年4月、CTIジャパンの代表に就任。CPCC(認定コーアクティブ・コーチ)。 CTIジャパンの活動を通じて、「自分と相手の可能性を信じて力を合わせ、自らの本来の姿で本領発揮しながら、世のため人のために活躍する人材を輩出すること」を志し、実践している。
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——企業など組織におけるコーチングの活用が広まってきているようですが、どう見ておられますか?島村:確かにコーチングは知られるようになってきましたが、企業の方と話す中で、コーチングに対する誤解が多いと感じます。
——どんな誤解があるんでしょう?島村:極端な誤解が、「コーチングとは、上司が部下を思いどおりに動かすツールである」というものです。コーチングとはそもそもそういった「操作主義」とは正反対のものです。コーチングは「クライアントはもともと完全な存在であり、自ら答えを見つける力を持っている」という考えに基づいています。上司が自分の答えを押し付けるのではなく、部下は自分で答を見つける力を持っている、と信じて関わるのがコーチングです。
——そうは言っても、指示命令が必要な状況もありますよね。島村:もちろん、指示命令がどうしても必要な状況には馴染まないかもしれません。ここではそういった特殊な状況ではなくて、より根本的な組織の文化や風土をイメージしていただきたいのです。
——それにしても、上司ではなく、部下の答えに従って、成果を出せるのでしょうか?島村:その意味では、「コーチングは成果を出すための手法」というのがもう一つの誤解ですね。もちろん、成果を出すことはとても大事ですが、実はそのためにも「成果」だけに焦点を当てることはお勧めできません。まず大事なのは、部下がその本領を発揮すること。それによって成果は後からついてきます。コーチングは成果を出す手法というより、部下が本領発揮を促す関わり方なのです。
部下との関係をデザインする
——部下がその本領を発揮するために、コーチングはどのように役立つのでしょう?島村:部下との関係をデザインすることにとても役立ちます。上司と部下のよりよい関係が、部下の本領発揮を促し、それが成果を生み出す土壌になるからです。コーチングでは「事柄」ではなく「人」そのものに焦点を当て、その人が大切にしている価値観やはまりこんでいる視点、さらにはその瞬間の感情を取り扱います。こういったレベルの話をすることで、確実に部下との関係性の質が変わり、距離が縮まってきます。
——価値観を熱く語っても、今の若い人はついてこないという声もよく聴かれますが?島村:確かに一方的に「語る」だけではそうかもしれません。大事なのはそこで「対話」が起きているかどうかです。マネージャーは「自分はこう思う」と語るだけではなく、そのあとで「君はどう思う?」と質問しながら、部下との対話をすることです。先ほども言ったように、部下には答えを見つける力があります。何か唯一絶対の正解を探すのではなく、「自分はこう思う。それで、君はどう思う?」という対話を続けることが大事なのです。
——それが部下の本領発揮、さらには成果にも結びつくわけですね?島村:そうです。だれでも自ら成長したいという想いや、所属する組織に貢献したいという想いを持っています。部下との深い関係を築き対話を続けるなかで、そんな想いが明確になり、それが互いの本領発揮を促し、成果を出すことにつながっていきます。私はコーチングとは「志と絆を育む」ことではないかと思っています。
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