キャリアプラン/キャリアプラン事例

妥協しない男・サマンサタバサ寺田和正社長(3ページ目)

若い女性の支持を集める『サマンサタバサ』。同社社長寺田和正氏がブランドビジネスに出会い成功を収めた道すじから、キャリアプランの拠りどころになる「軸」の定め方を学びたい。

執筆者:角田 正隆

妥協するな!

うまくいかないときは、やはりどこかで妥協している

「思い」だけで生き残れるほど、ブランドビジネスは甘くない。日本で最も有名なブランドの1つ、ルイ・ヴィトンは1830年代に誕生し、フランス王家に愛されてきた長い伝統を持つ。他のブランドもヨーロッパの歴史とともに歩んできた歴史をブランド価値の1つとしている。

約10年前に生まれた『サマンサタバサ』にそういった歴史はないが、これほどの成功を収めた要因を寺田氏は、「何をすべきか多くのアイデアを考え、それを実行していったこと。そして決して妥協しなかったこと」と分析している。特に「妥協しないこと」は、寺田氏が常に強調していることだ。

「うまくいかないときは、やはりどこかで妥協しています。うまくいっているときは、一切妥協していないし、さらに何かやってやろうとしているんです」

どんなブランドも最初は簡単に売れるものではないが、寺田氏は立ち上げ当初から「サマンサは世界ブランドになる!」と宣言していた。そのための策を着実に実行し続け、取引先に「寺田の言っていることは、本当にやるかもしれない」と感じさせた。そうして新興のブランドながら、百貨店の入口付近などの「一等地」を手に入れた。

「例えば『4000万円売れた』というのはあくまで結果。そこでもっといい結果を残せると判断して、いい宣伝を行ったにもかかわらず、3000万円しか売れなかったとしても、それも結果に過ぎないと思います。むしろ『やる』といいながら、実際にやっていることが違うほうが危険です」

『サマンサタバサ』といえば、ヒルトン姉妹、ヴィクトリア・ベッカム夫人、マリア・シャラポアといった海外有名セレブをモデルやデザイナーとして起用する、ド派手なプロモーション戦略で世の中に大きなインパクトを与えてきた。そのギャランティーも決して安くはないはずだが、徹底的にプロモーションを追及して、消費者の視線を釘付けにしているのだから、「世界ブランドを目指す」という寺田氏の言葉に1つのくもりも感じられない。

信頼を重んじる金融界には、「My word is my bond」という言葉がある。直訳すれば「私の言葉は私の発行した債券」。支払いが滞ったら即倒産に直結する債券のように、自分の言葉に相当の「覚悟」を持っているという意味である。寺田氏の生き方はまさに、この言葉を体現しているような気がする。


関連リンク
・参考記事「妥協を許さない『本物』になれ」
サマンサタバサジャパンリミテッド


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