古民家

更新日:2003年07月08日

古きよき住まいを訪ねて〜第4回〜 旧岩崎邸から学ぶこと

今年の4月より、一般公開が始まった「旧岩崎邸」。日本に残る数少ない木造の西洋建築の代表作ともいわれる洋館から、今の家づくりに通じるポイントを探してみようと思います。



今年の4月より、一般公開が始まった「旧岩崎邸」へ行ってきました。現在、公開されているのは、現存する洋館、和館、撞球室(ビリヤード場)と、庭園です。日本に残る数少ない木造の西洋建築の代表作ともいわれる洋館から、今の家づくりに通じるポイントを探してみようと思います。

建物については、【建築家】のガイド記事でも取り上げていますので、そちらをご覧ください。岩崎邸の建物レポートはこちらから↓
関連記事 旧岩崎邸に洋風建築の粋を見る【建築家】

■こだわりや趣味を生かす

暖炉のデザイン、天井や柱の装飾、美しい壁紙、モザイクタイルなどなど、この洋館には、美しい装飾がいろいろなところに施されています。これらは、建て主である岩崎家の人々のこだわりであったのか、それとも設計者のジョサイア・コンドル氏の考えによるものなのか、定かではありませんが、こうした意匠を施すことで、思い入れというのが住まいに生まれるのではないでしょうか。趣向を凝らすポイントは、何も豪華で特別なものである必要はありません。それは、廊下の壁に絵を飾るコーナーをつくったとか、階段ホールに採光用の小窓を設置したというようなことでも十分だと思います。

そして、そこに住み続ける間、こういった部分を眺めるたび、家を建てたときの思いを家族で共有しながら、あたためていけたら、きっとその家は家族にとってかけがえのない大切な家になるのではないでしょうか。

    

■くつろげるスペースづくりをする

旧岩崎邸は、日常生活の場として使われていた和館に対し、主に来客をもてなすためにつくられた洋館という構成。まさに和洋折衷のお屋敷です。実際、岩崎邸のように書院造の建物と、西洋建築の建物がつながっているというのは、住宅史の上でも珍しいことなのだとか。

現代の住宅や日本人の生活も、和洋折衷ですよね。ベッドで寝起きしていながら、和室でお鍋を囲むという人も多いはず。そもそも、住宅というのは、ホテルのように一時的な時間を過ごす場所ではないので、自身の暮らしに合わせた設計が必要だと思います。ですから、暮らしやすいように、そしてくつろげる家になるように、心地よい空間づくりをしたいものです。

公開されている洋館も和館も暮らしの場ではなく、来賓のためのスペースで、いわゆる「ハレの場」と聞いて、妙に納得しました。2階の洋室に見られた「金唐紙」という手の込んだ壁紙に代表されるような装飾の数々は、「ハレの場」だからこそなのかもしれません。
余談ですが、同じ「ハレの場」でも、以前、ガイド記事でご紹介した旧朝香宮邸とは、まったく違った趣なのは、興味深いものがあります。

また、洋館の東側には竣工後増築されたというサンルームがあります。庭に向かって大きな開口部が設けられたこの空間は、非常に居心地がよさそうな場所です。ちょっと、ぜいたくかもしれませんが、日ごろの生活の中で、ほっとくつろげる場所を確保しておくのも、住まいには大切なことではないでしょうか。
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大塚 有美

住宅雑誌のベテラン編集者が、住み手の目線から長く暮らせる家を探求します。

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