耐震住宅・住宅工法

更新日:2005年02月13日

生き残った家は大丈夫なのか? 阪神淡路大震災に克った家(2)

震災で一部損壊だった家でも、補修にかかる費用はかなりのもの。そのうえ、安心して暮らすこともできないとしたら・・・。

先日、新潟県小千谷市のとある旅館で、お風呂場の屋根が雪の重みで崩れ落ち、入浴中の二人の男性が生き埋めになり、亡くなるといういたましい事故が起こりました。事故の直接の原因は、隣接する建物の屋根から落ちた大量の雪が、浴室の屋根を直撃したということでした。今年の雪は湿り気が多くて重く、そのためかなりの荷重が浴室の屋根にかかってしまったようです。新聞の報道によると、この浴室は新潟県中越地震に被災しても、被害が少なかったため使用していたようですが、建物は築40年以上を経過した建物で、地震と老朽化で弱くなっていた可能性もあると見られているようです。

このように、震災をのりきったかに見えた建物でも、震災の影響だと思われる損傷が、後々でてくることがあるのだと、改めて知らされた事故でした。

さて、前回「阪神淡路大震災に克った家(1)」でお伝えした、兵庫県西宮市にお住まいのNさんのまわりでも、このようなことがたくさんあったとお聞きしました。今回は、震災をのりきったと思われる家に残された傷跡のお話です。


震災をのりきった家に残された傷跡

Nさんのお宅に取材でお邪魔したときに、Nさんはご近所を案内してくれ、さまざまな震災の傷跡を見せてくれました。その中には、山陽新幹線の高架の橋脚の補修の後や、トンネルの入口がいまだにひびだらけという恐ろしいものもありましたが、私が一番興味をもったのは、やはり一般の住宅についての話でした。

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山陽新幹線のトンネルに見られる地震の傷跡。たくさんのひびわれが今でも残っていました

Nさんのご近所には、倒壊した家も多かったのですが、Nさん宅を含め、生き残った家が何棟もありました。しかし、一見なんともなさそうに見える家を注意深く見ると、阪神大震災の傷跡を残しているものが多くあったのです。

それはアルミサッシの窓の四隅から走る、外壁のクラックでした。

クラック、クラック、クラック!!

比較的新しそうに見える住宅でも、窓を見ると、サッシのコーナーからクラックが走っているのです。少ないお宅でも窓の上の角2カ所から30~50cmのクラックが、多いお宅だと窓という窓の四隅すべてから、屋根まで届くような長いクラックが走っていたのです。しかも、こういった家は1軒や2軒ではありませんでした。

このような家に住む人たちは、現在でも地震があると、家を飛び出してくるそうです。このことについてNさんはこうおっしゃいます。「最近になっても、地震がきたら、近所の人たちが外へ飛び出してくるんですよ。あれは、不安感からでしょうね。まわりの家にはひびが入っているから。実際に、住んでいる人から「怖い」と言っているの、聞いたことがあるし。あれは、心にひびがはいってるんやね。家が残った人も、安心して住めなくなったんでしょ」。

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西宮市のある住宅街。地震によって、建て替えられた家が多かったのか、比較的新しい家が目立ちます

しかし、私はこのお話を伺った直後はまだ、地震によってひびの入った家でも、補修すれば住めると思っていました。経済的な事情もあるでしょうから、被害のすべてが補修されているとは思いませんが、それでも、家が残っていれば、受けた損傷部分を修理すれば、また安心して住める家になるのだろうと。実際、そんな家もあるのではないかと思い、Nさんに尋ねました。

その答えとしてNさんが話してくれた話は、意外なものでした。

それについては次ページで。

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大塚 有美

住宅雑誌のベテラン編集者が、住み手の目線から長く暮らせる家を探求します。

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