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古民家
更新日:2005年05月13日
昔に建てられた建物でも建てる人のさまざまなアイデアが盛り込まれていて、現代の住宅の参考になることもあります。今回は京都の町屋を取り上げましょう。
「堀野記念館」は、その成り立ちからわかる通り、一般的な庶民が住む住宅とはかけ離れた、いわば「豪邸」の部類に入るものでしょう。ただ、間口の広さを除けば、内側に中庭をとり、開放的な空間をつくり出すなど、いわゆる「外に閉じて内に開いた」町屋ならではの空間設計が生かされています。そして、空間設計の工夫は2階の客間にもみられました。
酒造業を営む堀野家では、数多くの大事なお客様をもてなす空間が必要だったようで、2階にある客間には、三方柾目の床柱やむくの床板など、贅沢な素材が使われていました。
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| 2階にある客間。貴重な三方柾目の床柱のある床の間が設けられています |
さらに間取りにも細かな工夫があります。1階から客間に入るには、階段を上がって続きの間を通るようになっています。続きの間は、なにげない畳の間でしたが、実は、そこは「舞台」も兼ねているそうです。お客様をおもてなしするための、芸妓さんが舞いを舞うために使用される部屋(舞台)なのです。また、階段を上がったところにある板間は、伴奏の人たちのための空間として使用されます。舞いの最中にお酒などを運ぶ場合は、階段から窓際の廊下を通って客間に入るので、続きの間を通る必要がないなど、動線も工夫されています。
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| 2階廊下から中庭のほうを見た写真。この開口部のおかげで明るさも確保されています |
また、襖などの建具は、舞いの背景として作用するため、芸妓さんの美しい着物に干渉しないよう、「豪邸」としては非常にシンプルな白を基調としたものになっています。このあたりに京の富豪のセンスを感じます。
そして、この客間は井戸のある中庭に面していて、昼間は明るく開放的な空間になります。お客様をお招きしない時は、続きの間と客間を隔てている襖を開け放てば大空間になり、さらに開放的な空間ができ上がります。柔軟性というか、可変性が高いのも、昔ながらの日本家屋の利点といえるでしょう。
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| 白の無地に見える襖は、実は模様入り。白っぽい背景に色とりどりの着物がきっと映えたでしょう |
「堀野記念館」は「邸宅」ともいえるお屋敷なので、わが家には参考にならないと思う方もいらっしゃると思いますが、こういった、可変性のある空間をつくるとか、中庭を設けて「外に閉じて内に開いた」空間づくりをするなどの工夫は、敷地面積に余裕のない現代の都市型住宅にも十分にいかせるものだと考えます。なにしろ町屋は、大昔の都市型住宅なのですから。
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| 現代住宅でも、このように中庭をとることで、風や光を取り入れることができるだけでなく、開放感が味わえます |
ただし、断熱性については現代の住宅に軍配が上がります。見学したのが真冬だったこともあり、足元から冷気がはい上がってくるような京都の冬の寒さも十分に堪能(?)しました。
堀野記念館
住所/京都府京都市中京区堺町二条上ル亀屋町172 入館料/大人300円、学生200円 小学生100円 (ビアホールで食事する人は入館料不要) 開館時間/11時~17時(月曜休館 夏季・年末年始休館日あり)
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