住宅雑誌のベテラン編集者が、住み手の目線から長く暮らせる家を探求します。
長期優良住宅・長く暮らせる家
更新日:2006年01月31日
相続で家を引き継ぐというのはよくあることですが、相続した家の状態によって、その後、その家がたどる運命が変わるのではないでしょうか。
これまで、長く暮らせる家とはどんな家なのか、いろいろな記事で書いてきましたが、今回は、長く暮らせる家と相続について考えてみたいと思います。
夫が建てた家を妻が相続する、親が建てた家を子供が相続する、これはよくあることですが、ポイントとなるのは、相続したときの家の状態ではないでしょうか。ここでいう「家の状態」とは、相続後も住み続けられる性能をもった家なのかというハード面と、家族構成やライフスタイルに合った間取りや設計になっているかといったソフト面の両面から考えていく必要があると思います。ハード面とソフト面の話を詳しく説明する前に、その家の主が亡くなって相続が発生した2つのケースをご紹介しましょう。
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| 建築当初から、長く暮らすことを前提にした家なら、相続したときにも選択の幅が広いのです |
ご主人が亡くなって自宅を相続した奥さまのSさん。そのとき、木造の自宅は築30年近かったそうです。お子さんたちはすでに独立され、別の場所に暮らしていたので、その家には高齢のSさんだけが住むことになりました。亡くなったご主人との思い出がたくさん詰まった家だったのですが、Sさんはその家を建て替えることにしました。なぜなら、Sさんは以前から、段差が多くて暮らしにくく、冬寒い住環境を何とか改善したいと、強く思っていたからです。しかし、ご主人は家を建て替えることも、リフォームすることにも反対。Sさんの意見が通ることはありませんでした。
ご主人が亡くなって、自分一人になってしまったSさんは、迷うことなく、家を建て替えることにしました。新しい家のポイントは、賃貸併用住宅にしたこと。一人暮らしのSさんに必要な居住空間はそれほど大きくないので、賃貸スペースをとったわけです。この賃貸部分からの収入が見込めるおかげで、建て替えの計画はスムーズにいったそうです。
Tさんの場合は、お父さまが亡くなって、お母さまとTさん姉妹が家を相続されました。相続した家は築20年ほどで、当時、Tさん姉妹はすでに結婚して別の場所に暮らしていたため、その家で暮らしていたのはご両親だけだったそうです。ご家族で相談した結果、家を二世帯住宅にリフォームして、Tさん一家が一人になってしまったお母さまと暮らすことになりました。
このような決断を下した理由は、その家はTさんが結婚するまで過ごした愛着のある家だったことに加え、「古い家でも、躯体はしっかりしていたので、手を入れれば十分住めると思ったから」とTさん。そして、実の親子でも、各々がそれまでの生活が維持できるように、水まわりを中心にリフォームを実施。リフォームには費用も工事期間もそれなりにかかりましたが、現在は、お母さまに、Tさん夫妻と中学生のお子さんが加わり、付かず離れずの二世帯住宅で、非常にいい関係を築いているそうです。
さて、あなたは、この2つのケースを知って、どのような感想を持ちましたか? 次のページで、私の考えについて、お話ししましょう。