古民家/古民家探訪

改築を重ね120年住み続けられた旧内田家住宅

東京・練馬区に保存されている旧内田家住宅を見学してきました。明治時代に建築された茅葺き屋根の民家は一部に古材を再利用し、改築を重ねて生活の変化に対応してきた家でした。どんな住まいなのか、紹介しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

古民家を公園内に移築・復元

東京都練馬区立の池淵史跡公園内に、練馬区の文化財に指定された茅葺き屋根の家があります。これはもともと練馬区中村という場所に建っていた旧内田家住宅を移築・復元したもので、2010(平成22)年3月から公園の屋外施設として一般公開されています。
外観

茅葺き寄棟造りの旧内田家住宅の堂々とした外観。室内に上がって自由に見学することができます

旧内田家住宅は、桁行15.3m(8.5間)、梁間10.9m(5.5間)の建物。長方形に近い形をしていますが、北西部に「角屋(つのや)」と呼ばれる張り出し部分があります。

明治時代に古材を利用して建築

旧内田家住宅が建築された正確な年代はわからないそうですが、小屋裏にあった文書や伝聞などから、明治時代初頭(1880~1890年ごろ)だと推測されています。また、洋釘が使用されていた箇所もあったそうで、すでに明治時代には、海外から釘が入ってきていたことがわかりますね。

また、解体したときに行われた詳細な調査によると、建築の構造や形式、部材の仕上げなどから、一部に江戸時代の民家に使われていた古材を利用して建てられたと考えられるそうです。
太い梁

この家で目に付くのは柱より太い梁。これらの部材のどれかが江戸時代の民家で使われていたものかも知れません

どの部材が江戸時代のものなのかはわかりませんでしたが、120年以上も前に、使用できる良質な部材は別の建物を建てるときに再利用する習慣があったと考えると、とても不思議な気持ちになりますね。

次ページでは、室内について見ていきましょう。

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