古民家/古民家探訪

太い柱が特徴の江戸時代中期の古民家(2ページ目)

今回は、東京都目黒区にあるすずめのお宿緑地公園内にある古民家を紹介します。この建物は江戸時代中期の旧栗山家を移築したもので、普通の農家との違いが見られます。どんな特徴があるのか、説明しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド


囲炉裏のあるヒロマが家の中心に

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「ダイドコロ」の壁には等間隔に同じ太さの柱が並んでいるのがわかります
建物の中に一歩入ると、まず、「ダイドコロ」と呼ばれる土間があります。「かまど」や「ながし」があり、当時の暮らしが想像できます。大小2つの「かまど」で料理をしたのでしょう。私が見学した当日も、「かまど」に火が入れられていました。

この「ダイドコロ」の壁を見ると、半間(約90cm)の等間隔に柱が立てられています。

そして、囲炉裏のある「ヒロマ」が続きます。「かまど」や囲炉裏で火を使うと煤が上に立ち上りますが、これが虫の発生を防ぐなど、茅葺き屋根にとってはよい効果をもたらすわけですね。

3本の大黒柱が建物を支える

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家のほぼ中央に3本の大黒柱が並び、太くて長い梁を受け、建物を支えています
「ダイドコロ」と「ヒロマ」との境にある3本の大黒柱が目を引きます。上を見上げると、梁も太く、建物を貫いている感じです。これらを支えているのが大黒柱。一辺が20cm以上はあろうかという太い柱です。

来客を通したザシキは明るい空間

さらに奥に進むと、「ナンド」と呼ばれる板敷きの部屋がありました。江戸時代の住宅では、「ナンド」は家族などが寝起きするための部屋のようです。

そして、南側には8畳の「ザシキ」があります。「ザシキ」は南側と西側に縁側が設けられているので、この家の中でも一番明るく開放感のある部屋です。

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写真手前が「ナンド」で、奥の畳が敷かれてるのが「ザシキ」
建物の中はとても暗く感じました。部屋の隅に照明器具が置かれているのですが、それでも天井の太い梁は目が暗さに慣れてこないとよく見えないほどです。当然ですが、照明のない江戸時代はもっと暗かったに違いありません。右の写真は、フラッシュをたいて撮影したものです。

栗山家は村の重要な役職についていたので、一般の農家に比べれば住まいは大きく、暮らしもそれなりに豊かだったでしょう。それでも、現代の住まいとの違いの大きさを感じずにはいられませんね。

目黒区古民家(旧栗山家主屋・すずめのお宿緑地公園内)
住所:東京都目黒区碑文谷三丁目11番22号 すずめのお宿緑地公園内
交通案内:東急東横線線 都立大学駅より徒歩約10分、
電話:03-3714-8882
定休日:毎週月曜(月曜が祝日にあたるときは翌日)、年末年始(12月28日~1月4日)
住宅の見学時間:9時30分~16時30分
入園料:無料
団体見学の場合は、事前に目黒区めぐろ歴史資料館(電話03-3715-3571)へ申し込みを
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