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高齢者住宅は明るさ3倍の非常識!?

高齢になると視機能が衰えるのは確かですが、どこを明るくすれば良いのでしょうか?今回は、高齢者も、若年者もともに快適に暮らせる住環境について考えてみたいと思います。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

豊かなシニアライフのための照明


写真1.硬さの違うベッドの寝心地を体験してみました。
6月15日から23日に山脇ギャラリー(山脇美術専門学院内)にて「高齢化社会へのメッセージ展~楽しく生きる衣・食・住」が開催されています。インテリアデザイナーや建築家、学生によるパネルや家具の展示が行われています。実際にベッドで寝心地を体験できる展示もありました。

照明に関しては弊社の照明プランナー、福多佳子が「豊かなシニアライフのための照明」というテーマで参加しています。福多は照明設計の仕事に従事しながら、環境心理に関する研究活動も積極的に行なっています。

明るいだけの照明から、雰囲気や快適性を重視する照明に移行しつつある現在、今後は健康や心に影響する、光の心理的・生理的効果にも関心が向けられるのではないでしょうか。そこで、今回は高齢者と照明についてご紹介していきたいと思います。

光のユニバーサルデザイン


写真2.若年・高齢者ともに好まれた空間例
高齢になると視機能が落ちるため、明るく明暗の差をなくすことが望ましいとされますが、多世代で暮らす住宅も増えているため、リビングのなどの共用部分では、高齢、若年の両世代が快適と感じる環境づくりが大切です。

研究室での実験で、14種類の照明と2種類の内装を組み合わせた計28パターンを、高齢者(平均72歳)・若年者(平均22歳)各20名に「好きか」「居間に適しているか」について評価してもらいました。

写真3.若年・高齢者ともに好まれた空間例
その結果、高齢者は開放感、若年者は、落ち着きがある空間を好む傾向がありました。両世代が共に好むリビング空間としては、開放感を高める寒色系の内装と若年者に落ち着きを感じさせる低色温度の暖かな光色の組み合わせや、内装そのものが落ち着いて見える木調系の場合は、天井を間接照明することによって、開放感を演出することがポイントとなります。

照明手法としては、一室多灯で、天井や壁面などが明るく見え、空間としての明るさ感があり、かつテーブル面など必要な場所に十分な明るさを確保することが共通していました。また、リビングは食事、読書、テレビ鑑賞などさまざまな行為が考えられる場なので、それ応じて照明を変えられることが望ましいとされます。

次の頁では、高齢者住宅で明るさが必要な場所についてご紹介します。
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