不動産売却・査定/不動産売却の流れ・基礎知識

必ず売れる「値付け」の考え方

家を売るときには6つの価格があります。それぞれの意味と数字を把握して、買い換えを成功させましょう。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド


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家を売る際にどうしても悩んでしまう事のひとつが、「販売価格の値付け」でしょう。家電製品も今は「オープン価格」と言って、定価を表示しなくなりました。ディスカウントが当り前になり、定価を言うのも意味がないからでしょうか?それは、値引き戦略が販売に大きな影響を持つ場合と「正札販売掛け値なし」(値引きは一切しない)という場合があるからです。

不動産も金額が大きいだけに、値引きは当り前という風潮があります。値引きしないのは大手の新築物件ですが、裏には裏があり、実質、値引きはどこでも行われています。大手のサラリーマンの方が勤務先のブランド力を真似して、勘違いの強気な値付けをして処分に困ることがよくあります。中古住宅市場は意外と合理的な競争の世界です。値付けを間違えると売れません。個人が自宅を売る場合には周到な価格戦略が必要です。

値段の付け方で売れ行きに差が出ます。当たり前のことですが、そもそも値段の考え方が整理できていなければ、値付けの良し悪し以前の問題です。今回は値段の考え方、そして値段の付け方について解説してみましょう。

■売値を考えるための「6つの価格」

一般の方が自分の物件を売るケースでは、下記のような6つの価格が想定できます。

(1)売り手の希望値
下記イラストでいうと、売り手が3000万円で売りたいと希望する価格ラインをさします。

(2)販売価格
実際に市場に売りに出す価格のことです。下記イラストでいうと、2800万円のラインです。

(3)査定価格
当初に業者が査定した価格のことです。下記イラストでいうと、2600万円のラインです。

(4)売り手の限界価格
下記イラストでいうと、売り手が2500万円よりも安いなら売らないという価格ラインをさします。

(5)買い手の希望価格
下記イラストでいうと、買い手が2400万円ならすぐ買いたいという価格ラインをさします。

(6)成約価格
売り手と買い手が納得する価格のことです。下記イラストでいうと、(1)~(5)の間にある価格、つまり2400~3000万円の間にある価格のことです。



(2)の販売価格は、(1)の売り手の希望の影響を少し受けます。業者は最初のうち売り手の言い分を尊重して、査定よりも高い価格で販売を始めることが通常です。しかし、(6)の成約価格は売り手の希望の影響を受けません。最初の値付けが安いと、結果の成約価格も安くなると考えるのは大きな誤解です。

不動産の価格は、何万人もの市場の目にさらされて形成されていくので、売り手の希望に左右されるような主観的な相場ではありません。自分の希望価格がかなわなくても現実に妥協しないと、成約に結びつかないことが多いです。

さて、次ページでは成約するために、価格で注意したいことです。
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