不動産売却・査定/買い換えの基本とテクニック

家の売り方講座Vol.6 特定の居住用財産の買い換え特例

家を売るときには譲渡所得税の特例が使えます。しかし、税金を免除されたと思っていたら忘れたころに課税されることがあります。課税の繰り延べに注意してください。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド


家を売るときには、税金に注意しましょう。税金にもいろいろありますが、特に譲渡所得税が大きいです。家を売ったときの譲渡所得税の計算には、いくつかの特例があるので、そのうちのどれを採用して買い換えを実行するかで、家の買い換えの方針が違ってきます。

多くの人が当てはまるケースということで、ガイド記事「家の譲渡損失を税金で取り戻す」(家の売り方講座Vol.3)では、譲渡損失の繰越控除と住宅ローン控除とを取り上げました。これは自宅が値下がりして損が出る場合の特例でしたが、今回は譲渡益が出たときの特例の説明をします。

利益が出たときの特例には下の図にある3種類あります。
(ここでは、話が複雑になるので税率軽減の特例は省略します)

1.3千万円の特別控除
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『3,000万円の特別控除』(首都圏で家を買う)
2.特定居住用財産の買い換えの特例
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『マイホームの買い換え特例』(首都圏で家を買う)
3.相続住居の買い換えの特例


後半では、2の「特定居住用財産の買い換えの特例」について、詳しくチェックします。



この特定の居住用財産の買い換えの特例は、平成15年12月31日までの時限立法措置でしたが、あと3年延長されることが決まりました。平成18年12月31日までに譲渡することが、この特例の賞味期限です。

この買い換え特例は、3千万円の特別控除のように課税が免除されるのではなくて、課税の繰り延べです。この特例を使って買い換えた自宅を将来に売ったときには、最初の自宅の取得価額を引き継ぎ、その取得価額と将来の自宅の売却金額との差額(売却経費等は控除できる)について課税されます。

たとえば、昭和57年に3,000万円で初めて家を買いました。11年後の平成5年(昭和なら68年)に5,000万円で売って、同時に6,000万円の家に買い換えたとします。その時にこの特例を使っていた人は、次の売却が行われると、ドカン!と課税されます。その6,000万円で買った家を平成15年に売ったら5,000万円にしかならなかったとしたら、売却損がでるので譲渡所得税の心配をする人は少ないと思います。しかし、以前に課税の繰り延べを受けているので、2回目の売却で大きな課税を受けます。



この場合、取得価額は実際の6,000万円ではなくて、その前の取得価額の3,000万円に平成5年の売買差額を加算した数字です。
取得価額は
3,000万円 + (6,000万円 - 5,000万円) = 4,000万円 です。
したがい、売買差額は
 5,000万円 - 4,000万円 = 1,000万円
となります。
(分かりやすくするために、建物の減価や取得費用、譲渡費用の控除を無視した概略の計算です)

1,000万円も損をしたのに、1,000万円に対する課税がくるのですから、要注意です!まさに「往きはヨイヨイ、帰りはコワイ~」です。
この買い換え特例は、将来に再び買い換えが予想される時には、その活用を慎重に考える必要があるということです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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