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更新日:2009年09月15日

敬老の日に考えたい「1億総介護時代」(上)

敬老の日にちなみ、今回はガイドの介護体験記。セーフティネットから置き去りにされている「介護」に「住宅」はどこまで力になれるのか。ガイドのリアルな体験を踏まえ、「私見」と「想い」のほどを。

介護は突然降りかかってくる

それは突然やってきました。60代の両親と80代の祖母。去年までみな本当に元気でした。しかし祖母が心臓が弱って入院した途端、一人っ子である母と父にその負担はどっしり老肩にかかってきました。親想いの母は毎晩のように病院に泊りこみ、その母を大量の洗濯物とともに1日何往復も車でピストン輸送しなければならない父は、半ばウツ状態になりました。

介護イメージ
介護のつらさは家族の先の見えない精神的体力的疲労がたまること
その生活が何ヶ月も続き、疲れが出始めた父母に追い打ちをかけるように、気丈だった祖母に認知症が出始め、ついには脳梗塞も併発して言語障害と右半身不随状態になってしまったのです。自ら体を動かせないと、床ずれで痛がるため、1時間おきに体位交換をしなければなりません。ここから本当に24時間介護が始まりました。病院も人手不足でナースコールを押してもすぐ看護婦さんがやってくれるわけではなく、どうしても家族が代わりに手伝わなければなりません。

しかも、病院はいつまでも置いてくれるわけではなりません。脳梗塞による半身不随状態が一定し、治療による改善が見られないと医師が判断した場合は、胃に穴を開けて在宅や介護施設でも栄養補給できるよう「胃ロウ手術」を受け、寝たきりのまま病院を強制的に出されます。祖母の病院では脳梗塞で入院の場合、通常3~数ヶ月で強制退院させられると言われました。

ケアハウス
都内の高級有料老人ホーム。一時金に2000万円と月々20~30万円が必要……しかも入居待ちは当たり前
では特別養護老人ホームなどの介護施設に預ければいいやと思う人も多いかと思いますが、当然待機で空いていません。お金を積んでも入れないのです。介護施設は行政が順番を決めるため、まずは身寄りのない独居老人や生活保護世帯などの高齢者が優先で入ります。普通の家族は何十人・何百人待ちで、2~3年待ちになるのが通常です。

病院も出され、介護施設も3年待ちなどといわれると、仕方なく自宅で在宅介護しなければいけません。でも現在の日本の住宅は、寝たきり高齢者の在宅介護ができる仕様にはなっていません。ガイドの実家は築40年でバリアフリーや車椅子対応の廊下幅・玄関幅には当然なっていませんでした。しかし、このような家族皆つかれきった介護状態で、在宅介護リフォームする余裕は全くありません。

人間は車椅子状態では死ねないという事実

介護保険
介護の長期化で資金が底をつく可能性もある……家族の経済的負担も重い
このため仕方なく、寝たきりの祖母の担架は玄関を使わず、1階部分の客間の窓を全開にしてようやく運び込みました。リハビリのため病院に通ったり、デイケアに行く場合もこの窓を全開にしてそこから専用車に運び込みました。こうした在宅介護生活が半年続いた後、祖母は今年8月初め息を引き取りました。

短い間でしたが、日ごろ「住宅のあり方」について様々な情報を発言しているガイドの私も、くしくも身内の介護を体験したことで、改めて社会そして住宅の問題が見えてきたように思います。

それは「人間は車椅子状態でなく、最後は寝たきりになって最期を迎えることがほとんど」→「病院は寝たきり患者をいつまでも置いてくれない、介護施設も空いていない、これからの高齢者は在宅介護が当たり前になる」→「しかし現在の日本の高齢者住宅は車椅子生活があくまで前提で、要介護5で寝たきり担架搬入という想定をしていない」という3つの問題です。

次回は介護体験を踏まえたガイドなりの提言と在宅介護住宅の必要性、最近の住宅業界の介護への取り組みをご紹介します。

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河名 紀子

ハウジングジャーナリストが、ライフスタイルからみた一戸建てのトレンド情報を解説。

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