今回は業界情報とは視点を変え、ガイドの介護体験をもとにエッセイ風に私見をつづります。少し重い話ですが、お付合いただければ幸いです。
女優Sさんの介護自殺のあとに……
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| 介護自殺や無届介護施設の事件など、介護にまつわる報道が後を絶たない |
少し前の話になりますが、ガイドに家族の介護が降りかかってきた今年GW前、象徴的なニュースが報道されました。「女優の清水由紀子さんが母親の介護に疲れて自殺」「大阪の女児虐待死」。清水さんが車いすの要介護5の母親を隣に残して父親の墓前で自殺。一方では、母親らから日常的虐待を受けていたとみられる大阪市の小学校4年生の女の子が遺体で発見。さらに前後しての朝刊トップ記事には「介護が必要な生活保護の高齢者1万4千人が無届老人施設に入所」との調査結果が発表されました。
これらの事件はたまたま重なったのかもしれませんが、いずれも社会のほころびの縮図であり、現代の家族の暗部、そしてともすると「各家族内の問題」として隠蔽されてしまい、本来あるべきセーフティネットの網から漏れてしまっていることを露呈した問題であるように思えてなりません。
派遣切りや正社員切りなどの企業・社会的問題に比べ、介護や育児というのは極めて家庭内のプライベートでデリケートな部分。「他人が口出しすべきではない」とタブー視され、ゆえに国も企業もあまり口出ししてこなかった「聖域」でもあったように思いますが、1億総介護時代が迫りくる中、この「聖域」がもはや家庭の自助努力では限界に近づきつつあるように思います。
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| 介護保険のしおり。制度について書かれているが、ほとんどのケースは介護者である子や孫が読むことに |
実は、これらのニュースに人一倍反応してしまったのは理由がありました。ガイドもその頃、実家の老老介護に直面していました。東京で小学生の子どもの世話をしながら、新幹線で毎週のように実家の老々介護をサポートする日々。もろもろの執筆仕事はほとんど新幹線の車中でやりくりしました。
それまで「介護なんて当分関係ない」などと、仕事上書いていたバリアフリーや車いす対応も、どこか遠い話のように思っていましたし、まだ同世代に介護に直面している知人が少ないこともあり、まさかこんな早く自分に降りかかってこようとは思っていませんでした。
子育てと介護の共通点と違い
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| 介護保険では要介護度1~5に応じて利用できるサービスが異なる。現在の住宅性能表示などで想定しているのは要介護3程度だ |
「介護はやってみないと分からない」とよく言われます。子育ては出産前から社会的に目にする機会も多く、ある程度イメージできますが、悲しいかな重度の介護は社会の目に触れる機会は多くなく、病院や介護施設・在宅介護など社会の裏の隅に追いやられています。特に脳梗塞で半身不随の寝たきり要介護5の祖母を介護する体験は、想像を絶しました。
介護ウツや児童虐待は、密室で誰とも会話できないことによる精神的追い詰めから発生します。子育てで言えば、乳幼児の頃は一時も目を離すことができず、授乳や食事・排泄の世話に追われて一日が終わります。介護も重度であれば食事や排せつの世話、動作一つ一つを体を抱えながら付き添う必要があります。子育ても介護も大変なのは、夜の世話もある時期は本人が寝られないことで、睡眠不足からくるストレスや絶望感で精神的に追い詰めます。
特に介護は子育てと違って日に日に重度が増していくので、精神的に追い込まれやすくなり、子育て以上に外部の精神的・物理的サポートが必要になるかもしれません。子育ては子供の成長とともに幼稚園や保育園、母親同士のコミュニティが形成されていきますが、介護は反対に病状の悪化とともに、どんどん友人関係やコミュニティから脱落していく傾向にあり、介護者と介添人が家の中に引きこもりがちになってしまいがちです。
では次ページでは、
ガイドに介護が降りかかってきた一連の模様をお話します。