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一般の住宅で用いられる第1種換気と第3種換気の特徴

「換気設備」の設置は、建築基準法で義務付けられています。ここでは、一般的な住宅で用いられる「第1種換気」と「第3種換気」の特徴をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

建物に適した「換気設備」の設置義務

建築基準法では、「シックハウス症候群」対策のため、化学物質の発散量の少ない建材を使用することに加え、原則としてすべての建築物に「換気設備」を設置し、室内の化学物質の濃度を低減させることを義務付けています。

一般的な住宅に取りいれられている換気プランは、換気ファンなどの機械によって強制的に給排気を行い、換気量を確実に確保できるメリットのある「機械換気」。「機械換気」には、3つの種類がありますが、通常、「第1種換気」と「第3種換気」のいずれかが用いられています。

給排気ともに換気ファンを用いる「第1種換気」

第1種換気イメージ

第1種換気イメージ

「第1種換気」は、給排気ともに換気ファン(・機械)を用いて、強制的に行う換気方法。給排気量を確実に確保することが可能です。空気の流れを制御しやすいので、気密性の高い建物に適しており、戸建て住宅・集合住宅ともに用いることも。風通しの悪い環境などでも、確実に換気をすることができるでしょう。しかし、すべてを機械によって行うため、イニシャルコストやランニングコストは、他の換気方法に比べるとかかることになります。

また、「第1種換気」には、熱交換型もみられます。熱交換とは、室内の汚れた空気を排出する時に、熱の一部を回収して室内に入る外気に移すこと。そのため室温がほとんど変わらず、熱ロスが少ないというメリットがあります。熱交換には「全熱交換型」と「顕熱交換型」の2つがあり、「全熱交換型」は、熱交換の際に、熱だけでなく湿気も交換するのが特徴で、室内の湿度を一定に保ちやすいタイプ。「顕熱交換型」は熱のみを交換するので、調湿対策が必要になります。

排気は換気ファン、給気に換気口を用いる「第3種換気」

第3種換気のイメージ

第3種換気のイメージ

第3種換気は、排気は換気ファンで強制的に、給気に換気口(自然給気)を用いるもの。排気が機械換気なので、湿気が壁内へ侵入しにくいのも特徴です。比較的安価で、一般的な方法ですが、住宅の気密性能によっては、給気量が変化することもあります。

換気プランとしては、トイレやキッチンなど、臭気や熱気、汚れた空気が発生する場所に排気ファンを設置、給気口はリビングや寝室など、新鮮な空気を必要とする場所に設けるのが基本。給気口から取り込んだ外気を、アンダーカットやルーバー(ガラリ)など通気口を設けたドア、引戸や折戸などを介して家全体に流通させ、サニタリーなどの換気ファンから排出するというものです。ダクトを用いないタイプが一般的ですが、プランによってはダクトで外部に排気する方法を用いる場合もあります。

換気だけでなく冷暖房機能を持つ全館空調も

空調機器の商品には、換気システムと冷暖房を一体化した全館空調もあります。換気と冷暖房のユニットがダクトで結ばれ、吹き出し口から一定温度に保たれた新鮮な空気が全館に送りだされるため、部屋ごとにエアコンなどの設置が不要。年間を通じて、部屋、廊下と家中の温度を均一に保てるため、夏の熱帯夜、冬場のトイレや早朝の寒さなどを感じることが少ないのがメリットでしょう。

設計担当者には、計画プランや導入理由、費用などの確認を

第3種換気の場合、アンダーカットやルーバーなどを設けたドアなどを介して家全体に流通させるような計画を

第3種換気では、アンダーカットやルーバーなどを設けたドアなどを介して家全体に流通させるような計画を

換気計画は、建物本体の設計と同時に計画することが原則です。どのようなプランにするかは、地域や気候などの条件、建物の断熱性や気密性、広さや間取り、窓の大きさなどを考慮することが重要。細かな条件によって、機器の配置や配管、パワーなどが決まるので、プランニングには専門的な知識が必要です。

実際に家づくりを進める中では、設計担当者などからの提案に沿って、プランニングや費用などを確認することになるでしょう。難しい面もありますが、わが家にとって、どの換気方法が適しているのか、そのプランを導入する理由など、きちんと説明を受けること。おおまかな内容については、施主として確認しておくことが大切です。また、掃除がしやすい位置に換気設備が設置されているか、室内建具のアンダーカット部分から光や音がもれてしまわないか、などもチェックポイントのひとつでしょう。

常時運転が基本。適したメンテナンスを

シックハウス対策としての換気を考えると、建築基準法どおりに換気設備を設置すれば大丈夫、というわけにはいきません。日々の暮らしの中でも注意しておかなければならないポイントがあります。

機械換気設備は常時運転とすることが基本ですし、室内の空気の流れを妨げるような場所に家具などを置かないように注意することも大切です。また、気候の良い時は窓を開けて空気を入れかえることも必要でしょう。

その他、換気設備の定期的な掃除・メンテナンスも忘れずに。引渡し時に維持管理、メンテナンスについての説明は必ず確認をするようにしましょう。効率的な換気のためには、機器の取り扱い説明書に沿って、排気口や給気口、フィルターや屋外フードなどの清掃を定期的に行うことがポイントです。


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