住宅設計・間取り/キッチン・洗面・寝室・子供部屋の間取り

施主と建築家がこだわった階段のあり方 遊び心のある住まい

「階段」は上下の連絡という役割だけに必要なのでしょうか?施主のこだわりが生み出した「階段」の活用プランをご紹介します。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

遊び心のある住まい
~施主と建築家がこだわった階段のあり方~

明るさを求めた30代のご夫妻の住まいとして、家の中央に階段をレイアウトした遊び心のある住まいを設計。「1階を寝室・子ども部屋といったプライベート空間に、2階をリビング・キッチンといったパブリック空間」という逆転のプランを提案した。

このような設計を行なった理由として、次の2点があげられる。
1.近隣は住宅が密集していて一階の日当たりがよくない。
2.2階については周囲の視線が気になる。

この家の顔は「階段」である。

一般に階段は1階から2階への上下連絡スペースと考えられているが、ここでは「階段」をオブジェとして考えている。

1階の天井高は2.4mであるが、2階は屋根の勾配なりに天井高を決めている。中央のもっとも高いところで4.5m、2階部分の階段室は2.2mの天井高なので、階段室がすっぽりと包まれたような形になっている。

階段を中央に積極的に配置することで、一般的なプランと比べて、他の部屋との関係性が「区切る」から「つなぐ」に大きく変えることができた。つまり、一般的な配置である北側や西側に階段をレイアウトする場合、各部屋はそれぞれ独立した空間として区切られることが多い。しかし、この家では階段を取り囲む空間としてあえて壁を設けなかったため、空間同士がお互いの気配を感じるものとなったのだ。

中央部の屋根からは、ハイサイドの光が階段室の天井に降りそそぎ四季の光の変化が楽しめる。デザインとして、中央に方形を集中させ(梁や構造材などを化粧材としてあらわし、軸組みの組み方を見せている)、空間の力強さと安心感をかもし出している。これは、空間の表情はカタチの成り立ちや素材を見せることで、より生き生きしたものになってくるからである。

さらに、この家の「階段」は施主のこだわりに一役買っている。


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