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~長崎県佐世保市の小6女児事件から学ぶこと~ 殺害事件から間取りを考える

悲惨な事件も日常生活から発生するものです。今日の事件では、個が重視される一方で他人とのコミュニケーションの少ない生活環境に起きていることが特出しています。今回は間取りでコミュニケーションづくりを提案!

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

長崎県佐世保市の小6女児事件から3ヶ月が過ぎ、9月15日長崎家裁は殺害の背景に親子の情愛、人への愛情の希薄さを挙げました。きわめて普通の子だったとも聞かれ、では一体“なぜ?”という疑問が残こります。

「家づくり」に従事している私にとってこの一件は、「親子の絆はどうつくればよいのか」を考えさせられた事件でもありました。


それぞれの事件に共通する住まい方

今までの大きな事件(宮崎勤幼女連続殺人、新潟少女監禁事件など)の加害者の住まい方には、下記のような共通点があります。


 ● 団らんの場がどことなくさみしい。(例えばテレビ中心など) 

 ● 玄関から自分の部屋へ向かう間に家族の顔を見ることがなかった。 

 ● 子供部屋から直接外へ出入りができた。 

 ● 子供部屋と団らんの場(または親の寝室)が離れている。 

 ● 地域から閉ざされている傾向がある。 



これまでの日本の家づくりは、一般的に親子4人を想定した画一的な間取りでした。そこで大切なのは、

「顔を会わす場」
「声をかけたくなる場」
「親子で作業する場」


といった共有できるスペースづくりなのです。例えば、団らんの場に家族のニュースコーナーや学校で作った作品を飾るコーナーを設けるといったこともひとつの共有スペースのつくり方だと思います。

リビングの中央に大きなテレビとソファを置いたからといってコミュニケーションが生まれるというものではありません。


「階段で家族団らん」という考え方

間取りが完全満足できる理想の家をつくるということはありませんが、親子のコミュニケーションを促すようにプランを立てることはできます。私はそのキーポイントは階段だと思っています。

階段は上下階をつなぐ単なる通路と考えるのではなく、コミュニケーションスペースと考えることもできます。踊り場をやや広めにとってそこを読書コーナーにするのもいいと思いませんか。

階段の踊り場に設けた読書コーナー(N邸)階段の踊り場から撮影。
右に見えるのが階段側面に設けた本棚(Y邸)


家づくりにおいて、改めて親子の絆のあり方を考えると同時に、個性的で自分達の家族らしさを表現した家づくりを楽しんでほしいと願っております。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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