高級マンション/高級マンション選び

本当に暮らしやすい間取りのヒント(2ページ目)

いくら専有面積の数字が大きくても、間取りが悪ければ思ったより狭く使いづらい暮らしを強いられる。住みやすい家選びは「間取り選び」と言い換えても良い。そのヒントを探ってみた。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド

断熱性と空調換気性能の向上

戸建てからマンションに転居した人が、違いとしてまず感じるのが“冬場の暖かさ”。夏場のクーラーの効き具合も同様で、断熱性能の違いに誰もが驚くはず。これはマンションの間取りを考える要件として非常に重要なポイントである。

実際、ハイグレードな高級マンションのモデルルームでは数年前から特徴的なある現象がみられる。それは洋室2以外の空間を区切らずつなげている点だ。

最もその傾向が顕著なのは、玄関回りと廊下、リビング空間の一体化。そして浴室から洗面、主寝室空間の融合である。いまや廊下とリビングは扉を設けないケースのほうが多いのではないか、と思わせるほどだ。

このような現象はライフスタイルの変化はもとより、マンション特有の断熱性能や空調換気性能の向上によるところが実に大きい。技術の進歩が限られたスペースをできるだけ広く、使いやすくするために変化し、その結果が「空間の一体化」に至っている。


スタイルを極めた作家の選択

作家池波正太郎氏は著書『男の作法』(新潮文庫)で次のように述べている。
「ぼくが辰野さんいったことは戸を全部引き戸にしてくれということだけ。それしか注文しなかった。(省略)僕は狭い地所の小さな家でどうすれば住みやすいか知っていたわけ。家を改築したのは今度で4回目ということもあるし……」

池波正太郎氏の自宅がどれほどの広さだったかは不明だが、少なくとも120m2程度以下の専有面積において、効率よく家族全員が快適に暮らせる回答の一つとして「空間の一体化」とそれを柔軟に変える「引き戸の応用」は注目したい手法だと考える。

上の写真から、キッチンとリビングを区切ったら、こうなる。空間は分かれるが照明の明かりと引き戸の透明感により奥行き感は失わず。視覚的な広がりは区切られないようになっている


では理想の間取りとは!?その実物を見てみよう。
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