不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

「私道負担」の基本ポイント

私道はよく分からないことが多いために敬遠されがちですが、私道負担に関するポイントなどを知ったうえで事前にしっかりと確認すれば、あまり心配する必要はありません。(2017年改訂版、初出:2002年8月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.19】

マンションの売買なら私道の有無はあまり問題になりませんが、一戸建て住宅の場合には私道が大きな意味を持つこともあります。「私道の負担」とは「私道の所有」と考えてもよいわけですが、大きく分けて次の形態があります。

1.敷地が私道のみに接する場合
2.敷地の一面が公道に接し、他の面が私道に接する場合

また、所有の実態としては、

1.一つの私道土地を数人で共有している場合
2.私道をいくつかの土地に分け、それぞれ持ち合っている場合
3.昔からの地主など、一人の名義で所有している場合

などがあります。

「私道の負担」については、契約前の重要事項説明できちんと説明しなければならないのはもちろんのこと、不動産広告でも明示することになっています。

ところが、広告の段階では私道込みの総面積を表示したうえで「私道を含む」と記載される場合と、「別途私道負担有り」と記載される場合があるのです。

どちらもその私道負担面積は明記してあるでしょうが、うっかり見落として私道込みの面積を私道抜きの正味面積と勘違いすれば厄介なことになりかねません。

建物を建てる際の建ぺい率容積率は、私道を除いた正味の敷地面積をもとに計算されます。また、私道の変更や廃止などは制限されており、個人の所有地とはいえ、自由に扱うことはできないのです。

また、敷地の一面が公道に接する場合はともかく、私道のみに接する場合には、水道やガスの配管を埋設するにあたり、私道所有者の承諾を必要とする場合があります。このとき、私道所有者が特定の一人であったり自分の持分がなかったりすれば、面倒なことになるでしょう。

さらに、私道を特定の個人が持っている場合などでは私道の入口を柵などで塞ぎ、車の進入を制限しているのもよく見かける光景です。

それ以外の私道の問題としては、通行地役権などがあります。これは建築基準法上の道路となっていない私道などで、公然と通行する権利があるかどうかといった問題であり、これについても重要事項として説明することになります。

いずれにしても私道については問題も多く、トラブルも絶えないようです。しかし、やみくもに私道を敬遠する必要もありません。

建築基準法によって道路として認められた私道で、各個人の持分があり、現地で問題となるような事象がなければ、公道と同じように考えて差し支えない場合も多いでしょう。

私道に関して不明な点があれば、不動産業者の担当者、宅地建物取引士などから納得できるまでよく説明を受けることが大切です。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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