不動産売買の法制度

更新日:2002年10月31日

No.30 マンションの敷地権とは?

マンションの場合の“敷地権”とは何でしょうか? 所有権や借地権とは違うもの? この用語の意味について概略を説明します。


区分所有建物 (マンション) の登記簿抄本 (登記事項証明書) などをみると、多くの場合 「敷地権」 という表示がされています。これはいったい何でしょうか?

元来、不動産を構成する土地と建物はそれぞれ独立して権利の対象となります。いい換えれば、これまで一戸建住宅として建物とその敷地を所有していた人が、建物を所有したままでその敷地 (土地) だけを売却したり、逆に土地を所有したままで建物だけを売却することも可能なわけです。

一戸建の場合には、土地と建物の所有者が異なっても借地権が成立するだけで、権利関係さえはっきりさせておけば、土地利用上の問題はありません。

親族などから地代を払わずに土地を借りる関係は使用貸借であり、借地権には該当しません。

しかし、マンションの場合にはどうでしょうか? マンションの敷地に関する権利も一戸建などの場合と同様に、所有権と借地権 (地上権または賃借権) とがあり、土地の所有権または借地権を区分所有者全員で共有 (借地権の場合には 「準共有」 といいます) する形態となっています。この土地の権利が所有権と借地権のどちらであれ、敷地を利用する権利としての 「敷地利用権」 がないと非常にやっかいな問題となります。

ところが従来の法律では一戸建の場合などと同様、建物専有部分の所有権と土地の共有持分などを別々に処分 (売却等) することが可能でした。これを防ぐためには、管理規約などで分離処分を禁止したりするしかなかったようで、実際にはそれが守られなかった例もあるようです。

そこで、昭和58年の区分所有法 (建物の区分所有等に関する法律) 改正により、建物の専有部分と敷地利用権とは原則として分離処分 (譲渡抵当権の設定等) することができないことを明確にしました。この場合における敷地利用権のことを不動産登記法上 「敷地権」 と呼ぶのです。

敷地権の登記がなされると、以後の権利変動について土地登記簿への記載は省略されます。また、建物の登記簿表題部には、 「敷地権の目的たる土地の表示」 、 「敷地権の種類」 (所有権、地上権、賃借権の別) 、 「敷地権の割合」 (土地の共有持分に該当) 等が記載されます。建物の権利と土地の権利 (持分) とが常に一体というわけです。

ただし、敷地権の登記は強制ではなく、管理規約でこの一体性の原則を排除することも可能ですから注意が必要です。



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平野 雅之

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