不動産売買の法律・制度/不動産売買の手続き

購入の意思決定~住宅購入の流れ・手順 1

住宅購入で正しい選択をするための第一歩は、その流れや手順をよく理解することから始まります。購入の意思決定から売買契約、引き渡しまでの流れや手順、それぞれの注意点を、これから6回にわたり解説していきます。(2017年改訂版、初出:2004年10月)

執筆者:平野 雅之


住宅の購入は人生おける大きなイベントの一つです。高価であり、また、その後の生き方を変えるきっかけともなり得るだけに、誰もが住宅購入で失敗はしたくないでしょう。

正しい選択をし、買ったことを後悔しないためにも、まずは住宅購入の流れや手順をしっかりと理解しておくことが大切です。

そこで今回から6回にわたり、住宅購入の意思決定から資金計画、物件の選択、売買契約、引き渡しまでの流れや手順を、それぞれ注意点などを交えながら解説していきます。


自分のライフスタイルを見極める

まず初めに、本当に購入するべきなのかどうか、よく考えてみることが必要です。

単純に「回りのみんなも買っているから」「親が買えというから」などという理由で購入するのではなく、購入することが自分や家族にとってどうなのか、あるいは自分の性格自体が購入向きかどうか、といった視点が第一優先となります。

家族

住宅購入の第一歩は、自分や家族のライフスタイルを見つめ直すことから始まる

住宅を購入するきっかけは、親からの独立、結婚、出産などによる家族構成の変化、子供の成長や進学、転職による収入増、子供の独立、親との同居、退職などさまざまでしょう。

しかし、転職が多くて収入が安定しないような人にとって、住宅購入が賢明な選択ではないことは明らかです。

同様に、リストラされる可能性や倒産の危険性が高い勤務先の場合で、いざ職を失ったときに次の手段を即座にとるようなことができない立場の人には、高額な住宅ローンを抱えることに大きなリスクが伴うでしょう。

さらに、遠方への転勤や異動が多い人は、その頻度や期間、単身赴任が可能かどうか、いまの場所へ戻れない可能性はないかどうかなど、詳細に検討してみる必要がありそうです。

近い将来に脱サラして地方へ永住したり、若いうちに海外移住したりすることを計画している人は、それまでの間を賃貸住宅でやり過ごせばよいでしょう。

また、一つの場所に長く住むのが苦手な人、節約生活や預貯金が苦手で手元のお金はすぐに使ってしまう人なども住宅購入には向きません。

余談ながら、夫婦のどちらかが浮気性で、離婚の可能性が高いような場合にも、住宅購入は慎重に考えてみるべきでしょうね。

将来は独立し社長として会社経営や店舗経営を考えている人の場合には、住宅を所有していることが信用力のアップに繋がるメリットがある反面で、経営が苦しくなったときに思わぬ足かせともなりかねません。


いまが本当に買いどきか?

超低金利状態が続く住宅ローンや優遇税制などを背景に「いまが買いどき」といわれることも多いのですが、いま10代あるいはそれ以下の子供にとって「買いどき」でないことは誰がみても明らかです。そもそも住宅ローンは借りられませんが……。

それは極端としても、本当の「買いどき」は一人ひとり違うものです。ライフスタイルやライフステージによる「買いどき」だけでなく、希望するエリアによる「買いどき」もあります。

仕事の関係や、自分の両親の住まい、配偶者の両親の住まいなどの関係で希望エリアが限られてくるような場合に、そのエリアでこの先まだ何年も地価下落傾向が続くようなら、いまが「買いどき」だとは決していえません。

そのようなエリアのとき、たとえこれから住宅ローン金利が上がったとしても、それ以上に土地価格や住宅価格が下がるのであれば、数年待ったとしても何ら問題はないでしょう。


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