不動産売買の法制度

更新日:2005年01月18日

住宅性能評価書があれば大丈夫?

住宅性能表示制度に関するアンケート調査結果が国土交通省より発表されましたが、その中でいくつか気になる点が!「性能評価書があれば絶対に安心」と考えている人は、必ず最後までお読みください。


〔住宅性能表示制度を知っている・・・約9割〕

国土交通省では昨年末、12月28日に 「平成15年度住宅市場動向調査 (住宅性能表示アンケート) 」 の結果を公表しました。それによれば約9割の居住者が 「住宅性能表示制度を知っている」 と回答 (内容もだいたい知っている:52.9%、名前くらいは知っている:35.0%) しているようです。

家族
家族のみんなが安心して暮らせる住宅を購入したいが・・・。
しかし、これをみて 「住宅性能表示制度が十分に浸透した」 と思ったら大きな勘違い。このアンケートは平成15年中に 「建設住宅性能評価書」 を交付された住宅に、実際に居住している世帯を対象に行なったもの。性能評価住宅を取得 (購入または建築) して入居しながら、9.4%の世帯が 「まったく知らない」 と回答していることのほうが問題かもしれませんね。

その原因として、分譲業者などによる説明不足や欠如もあったことでしょう。しかしその一方で、買主が重要事項説明などを受けるときに極度の緊張状態に陥ってしまい、説明されたことを全く覚えていないという状況も少なからずありそうです。買主の緊張状態をほぐすのも宅地建物取引主任者の役目、といってしまえばそれまでですが・・・。

国土交通省 「平成15年度住宅市場動向調査 (住宅性能表示アンケート) の結果について

調査対象者
 平成15年1月から12月までに 「建設住宅性能評価書」 が交付された住宅に、平成16年3月までに入居した居住者 (賃借人は除く)
回収戸数
 1,437件

それはさておき、同調査結果のなかで気になる点がいくつかありましたので、数多い調査項目の中からいくつかをピックアップし、その概略とともにご紹介していくことにしましょう。なお、調査結果の詳細は国土交通省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/071228_.html)または住宅性能評価機関等連絡協議会のホームページ(http://www.hyouka.gr.jp/)にてご確認ください。

繰り返しになりますが、以下は 「性能評価住宅を取得して入居した世帯」 に対するアンケート結果であることを念頭において読み進めていただきたいと思います。


マンション居住者は認知不足?

住宅性能表示制度を 「内容もだいたい知っている」 と回答したのは戸建住宅居住者が61.0%だったのに対し、マンション (アンケート上の分類は 「共同住宅等」 ) 居住者では42.5%となっています。戸建住宅では 「注文住宅」 も含んでいるため、全体的に制度への関心も高いようですね。

住宅性能評価料金の認知度になるとさらに極端な差となり、戸建住宅居住者が51.2%だったのに対し、マンション居住者ではわずか5.4%となっています。ちなみに、アンケート結果の中では明示されていませんが、戸建分譲住宅 (建売住宅等) の居住者の認知度を他のデータから逆算すると約18.5%となります。


性能評価住宅であることを知らない?

住宅性能表示制度について 「内容もだいたい知っている」 と回答した世帯のうち4.9%、 「名前くらいは知っている」 と回答した世帯のうち12.8%が、自分の取得した住宅について 「評価住宅であることを知らなかった」 と回答しています。

また、住宅性能表示制度を 「知っている」 という世帯のうち17.0%は、住宅供給者等から 「特に説明を受けていない」 と回答。実際に説明を受けなかったのか、あるいは説明を受けたこと自体を忘れてしまったのか、どちらなのかは定かでありませんが、契約のときに明確に意識されていなかったことは確かなようです。


性能評価住宅であることはあまり重視されていない?

住宅取得時に重視した項目 (複数回答) では、 「住宅の広さ・間取りプラン」 が最も多く58.5%、続いて 「価格」 が56.3%、 「生活の利便性」 が49.1%であるのに対して、 「住宅の性能」 は38.7%と相対的に低く、 「住宅性能表示制度の活用」 についてはわずか7.5%に留まっています。一部に欠陥住宅など重大な問題があるとはいえ、大半は一定水準以上の住宅が供給されている現在ですが、性能よりも広さや価格が重視されるのはいつの時代でも同じなのでしょうか。


高齢者等への配慮に関することの重視度は最低!

それぞれの性能表示項目に対する重視度の調査で最低だったのが、高齢者等への配慮に関すること。 「あまり重視しなかった」 が30.8%、 「全く重視しなかった」 が5.8%となっています。これに対して 「重視した」 は24.0%となっており、別の設問で 「65歳以上の高齢者・要介護者が同居」 している世帯が16.9%だったことを考えると、自分たちの将来を見越してこれを 「重視した」 世帯はかなり少ないようですね。


書類の保持状況は悪い!

性能評価住宅に居住しつつも、 「設計住宅性能評価書」 を手元に持っていない世帯が14.1%、 「建設住宅性能評価書」 を手元に持っていない世帯が14.8%もあったようです。さらに、 「住宅紛争処理支援センターからのご案内」 を受け取っていない世帯が36.7%、 「指定住宅紛争処理機関のご案内」 を受け取っていない世帯が36.0%にも。いざというとき (紛争時) の迅速な処理が住宅性能表示制度のひとつのメリットでありながら、この状態ではちょっと心配になりますね。不動産業者をはじめ関係機関における実務処理上の改善点が潜んでいるようにも思われます。


それより気になる、性能評価住宅の不具合・・・次ページへ



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平野 雅之

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