不動産売買の手続き

更新日:2006年10月16日

共有名義と共有持分のポイント 〔後編〕

住宅購入資金を夫婦や親子で出し合う場合における共有名義と共有持分のポイントを解説。共有名義のメリットとデメリットについても考えてみましょう。


共有名義と共有持分のポイント 〔前編〕≫ ではその基本的な考え方を説明しましたが、なかなか簡単には判断できない場合も多いことでしょう。今回は当初の予定と違ってしまったケースや、変則的なケース、親から援助を受けた場合の考え方などを整理し、最後に共有名義のメリットとデメリットとをまとめておくことにします。


返済途中で負担割合が変わってしまったとき

住宅ローンの返済比率をもとに共有持分を決めるといっても、それはあくまでも予定に過ぎませんね。夫と妻のどちらかが失業したり、収入が激減してしまったり、あるいは妻が出産・育児などで仕事を辞めることもあるでしょう。

天秤
負担割合が変わっても、ある程度の範囲内なら大丈夫!
たとえば妻の収入がなくなり、妻が負担するはずだった住宅ローン返済分を夫の収入で負担すれば、その分が夫から妻への贈与だということになってしまいます。しかし、それが贈与税の基礎控除額 (110万円/年) 以内であれば問題ありません。1年間に110万円ですから、月額にして92,000円弱が本来は妻の負担予定分だったとしても (他の贈与が重ならないかぎり) 贈与税を心配する必要はなく、登記した共有持分を変えることも考えずにすみます。返済途中で負担割合を任意に変えても考え方は同じ。もっとも110万円という基礎控除額がこれからもずっと維持されるかどうか分かりませんが・・・。

ただし、当初からすべて夫が負担するつもりでいながら、基礎控除額をあてにして妻の共有持分 (年間110万円以内の住宅ローン返済額に相当する共有持分など) を入れたような場合には、 「はじめからその持分すべてを贈与する意図だった」 とみなされて、まとめて贈与税が課税されることもあり得ます。あくまでも 「本来は妻も住宅ローン返済の負担をするつもりだったが、やむを得ない事情で妻が負担できなくなった」 などの理由が明確でなければなりません。


住宅ローンの借入れ名義と返済負担とが異なるとき

夫と妻がお互いに連帯債務者として住宅ローンを借りるか、あるいはそれぞれの名義で別々の住宅ローンを借りれば、共有持分の考え方は比較的分かりやすいでしょうが、たとえば住宅ローンは夫の単独名義で借りながら、その返済は夫と妻がともに負担するというケースもあるでしょうね。

このような場合には、住宅ローンの借入れ名義にかかわらず、実際の負担 (予定) 割合をもとにして共有持分を定めます。ただし、夫はその持分に応じて住宅ローン控除の適用額が少なくなる場合があるほか、妻は住宅ローンの借入れ名義がなく金融機関から年末残高証明書の交付を受けられないため、返済負担をしても住宅ローン控除の適用自体が受けられません。

もっとも、このようなケース (住宅ローンは単独名義、物件は返済負担割合による共有名義) は金融機関が認めず、連帯債務による住宅ローンなどに差し替えられる場合もあるでしょう。住宅ローンの融資が実行される頃になって共有名義を申し出れば (通常は決済時に、登記申請の手続きと並行して融資の手続きも進められます) 、最悪の場合には融資が中止されたり債務不履行の問題が生じたりすることも考えられます。いずれにせよ、共有名義にするのかどうかは事前に決め、住宅ローンの審査を申込む時点でそれを金融機関に伝えるようにすることが肝心です。共有持分の割合をどうするかで困ったら 「金融機関の担当者に相談する」 ということにしておけば、問題が起きることは少ないでしょう。


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平野 雅之

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