リビングの先は違う(機能の)空間があるんだよと暗に示されているようです。このLDKは建物全体の中核になっていて、ここから3つの棟=島が派生した感じというのが「つくばの家」の最大の特徴ですね。キッチンを背にして、中央に西の庭。それを挟む形で右手(北)が客室、左手(南)が子ども部屋になっています。

客室はしっとりした和室、子ども部屋は庭を見おろすロフトが付いた2階建てになっています。こうした自由な構成の家って、どこに隠れようかなとワクワクしてしまいますね。

さてリビングはキッチンをコーナーにして折れ曲がり、南の庭に面して長く広がったダイニングに連なります。ここは日溜まりの廊下のような空間。キッチンの壁を背にして座ると、木の窓を通して広い開口部からあたたかな日射しが入ってきます。もう、いつまでもここに溜まっていたいと思わせるような快適さ、そして昔の日本家屋にあった懐かしさも感じさせてくれました。

そしてこのダイニングの先が3つ目の棟=島、夫婦の寝室兼スタディルームとなっています。寝室には窓が付いている引き戸があったり、妙な場所に隠された収納があったりして遊び心もたっぷり。しかもここは2階建てで、ロフトがスタディルームになってるわけですね。スタディルームは隠れ家の雰囲気はありませんが、夫婦が2人で読書をしたりちょっとした仕事を片づけるには十分の広さ。
トップライトがあるので明るさにも支障はありません。それにこの棟の空間をとても豊かに演出してくれる要素にもなっています。

約58坪という土地にぎりぎりいっぱいまで建物を持ってきたこともあって、それぞれの庭はけっして広くはありませんが、それらはこの平屋を外に向かって開くと同時に3つの特徴ある空間を創り出すという大きな意味を持っています。
残された空間を無駄にせず、しっかり建築の要素とした山中さんの設計の勝利といったところ。それにしてもずっとマンション生活を満喫してきた建て主さんにとっては、まさに「夢の平屋」を実現したという実感があったことでしょう。
■設計・監理:
S.O.Y建築環境研究所
(山中祐一郎+尾澤ミユキ)
■構 造 : 加藤建築設計事務所
■施 工 :郡司建設株式会社
●敷地面積 :191.3m2(57.8坪)
●建築面積 :106.4(32.1坪)
●延床面積 :120.7(36.5坪)
●構造 :鉄筋コンクリート造+木造