建築家住宅の実例

更新日:2005年09月14日

建築家との家づくりを考えるディスカッション INAX銀座の「

INAX銀座ショールームで開かれたJIA主催の「SUMAIセミナー」に行ってきました。今回は建築家と家を建てた建て主とが家づくりについて話し合うパネルディスカッション。さてその模様は?

建築家の思いは断て主にどう伝わったか?

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S邸のファミリールーム
いっぽう、建築家の側からの発言はというと、今井均さん(創建築アトリエ)は「Sさんから話があったときはすこし戸惑った」とのこと。それは親友とはいえ、建て主となればお客様、ふだん着のままの言葉遣いで仕事をしたくなかったそうです。

「家づくりは何千万という出費をともなう高い買い物ですから、設計者としてはなあなあの関係で取り組みたくなかった。だからそこは襟を正して言葉遣いにも気を遣いながらやりました。Sさんの家は建てて21年目の木造在来工法の家ですが、当時まだ若かったSさん夫婦と子ども3人が一体となって楽しめるよう、開放感のあるリビング+テラスや吹き抜けのあるファミリールームをつくり、大型のスライディングドアを使って空間を使い分けられるようにしました。大切にしたかったのは“家族のさんざめき”ですね」(今井さん)

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庭に張り出した“使える”デッキテラス

今井さんは、お気に入りの空間の写真を集めて切り張りしたような家をつくることには反対の立場。住宅にはいろんな生活シーンがあるはずだから、それをひとつひとつイメージしながらデザインを集約していく段階が必要と言います。そして出来上がったSさんの家は、子どもたちと一緒に家族が遊べるデッキテラス、無垢の木を使ったあたたかみのあるファミリールームを持つ家になりました。家が建って数年経ったとき、「家って使いこなすものなんですね」というSさんの言葉は、今井さんに建築家としてのその後の指針ともなったそうです。

難度の高い敷地に燃えた建築家ダマシイ

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いままでで一番きびしい条件だったと語る森岡さん

続いては森岡茂夫さん(アルフィ建築デザイン)。森岡さんは南波さんの敷地を見て逆に「燃えた」そうです。古くから建っていた店舗兼住宅は現在の法に照らせば違反建築ゆえにかなりの広さが確保されていましたが、建て直すとなれば違反建築は無理。南波さんの「いまより広くはできないでしょう」との言葉に、よしそれなら自分が挑戦してやるという気になったとか。

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樹木のような家づくりをしたい
「私が設計の理念として掲げているのは、大きな樹木のような住まいをつくること。住む人の心に安らぎを与え続けるような家ですね。それをここでも実現できるというのを証明したかった。なので屋上に“原っぱ”をつくり、3階にもテラスを設けて建物内に自然を取り込むよう設計しました。原っぱには特殊な土を使って自然なままの草木が育つようにし、浴室に面したテラスにも小さなプランターを設けています。結果的にはたいへん高い評価をいただいて、いままでで一番きびしい条件にあえて挑んだ甲斐がありました」(森岡さん)

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6層の違った空間を持つ南波邸の断面図

出来上がった建物は、半地下~1階~中2階をつくり十分な店舗スペースを確保するなど工夫が凝らされたもの。居住空間は2階~4階ですが、こちらは階段室が大きな吹き抜けになっていてとても敷地15坪に建っている家とは思えません。しかも、こんな狭小地にもかかわらず屋上の“原っぱ”もしっかり自己主張している。建築家ならではの発想と技が凝縮された家だと見ました。

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人工的な庭園ではなく自然の“原っぱ”を意識した

密なつきあいを通じてその家族が必要とする解を出す

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設計の前に「家族を知る」時間が必要と久野さん

続いて久野和作さん(パルインターナショナル)の話。久野さんはどんな住宅をつくるときにも、必ず建て主の家族全員と面談し、子どもたちの意見までじっくり聞いて、それぞれの言い分をできるだけ取り入れて設計を開始するとか。Fさんの場合も、八ヶ岳に一緒に旅行をするなどして子どもたちと密な時間を持たれたそうです。

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リビングとダイニングの間に土間のあるF邸

「その結果、私が出したFさんの家のテーマは『House of Angeles』、天使たちの家というものです。Fさんのかわいい子どもたちが、イキイキと健康に暮らすことのできる家づくりをめざしました。私の家づくりのベースにあるのは、住み手にとっての心地よさと価値の重視なんですね。Fさんの家は、どこからも見通しがきき、家族が一体感を感じられることを念頭に、自然素材を使ったエコロジカルな設計になっています」(久野さん)

注目すべきはその開口部のとり方。住宅密集地に建つこの家は、まわりに向けて多くの開口部をつくることができないため、リビングとダイニングの間に土間的なスペースと大きな開口部をひとつ設けて光と風の通り道にしたり、リビングにテラスを接続して外への広がりを演出したりという工夫をされています。また、子どものアレルギー対策として集中ダクト方式の24時間換気システムを備えるなど、設備的な面もかなり充実。なによりも住み手の心地よさを優先させた家づくりを感じさせる一軒になっていました。

まかせるべきところはまかせ、要望はストレートに

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熱心な質問が飛び交った質疑応答タイム

最後に、建て主さんたちの、これから建築家と家をつくる人たちに向けてのアドバイスをお聞きしてみましょう。

Sさん
「私たちは奇をてらったデザインではなく、周囲に馴染みながらも通り過ぎたときに思わず『あれ?』と振り返りたくなるような家をとお願いして、そのとおりの家を建てていただきました。また、建てた当時はまだ若くてお金もなかったものですから、安く安くと強調してお願いしました。建築家の方と友好関係にあったこともありますが、そうした要望はあとで不満が残らないようどんどん出していくべきだと思います」

南波さん
「私の場合、いま住んでいる家並みの広さが確保できさえすればというのと、RC打ち放しでやるということ、最初にお伝えしたのはそれだけです。結果的に、想像以上の回答が得られたと思います。建築家というのはやはりいつも全体的な視点、長期的な視点からものを見ている。家づくりの過程では、いろんな疑問や迷いが出てきて、やはりこうすればよかったんじゃないかと意見を言いたくなりますが、そんな迷いが出たり意見がぶつかったとき、正しいのはいつも建築家でした。ある意味、まかせるべきところはまかせるという気持ちでいかれるのがいいと思います」

Fさん
「私も都市計画の設計にたずさわるものですから、図面を読んだり引いたりすることもあるわけですが、家づくりという点で建築家のプランはやはり素人には導き出せないものなのだというのを実感しました。家というのは間取りを繋いでつくるだけのものではないのだと。アドバイスとしては、やはり自分の気持ちはストレートに伝えるべきだということ、そしてできるだけ家族全員の要望、意見を統一させていく努力をするべきではないでしょうか」

いかがでしたでしょうか? 建て主たちの本音トークと経験者ならではのアドバイス。これから建築家と家づくりをしたいと思われているあなたの一助になればと思います。INAX銀座ショールームの「SUMAIセミナー」では、この先も役に立ちそうな企画が目白押し。9月17日から「建築家と考えたそれぞれの年代の住まい展」、同時に建築家とじかに話せる「アーキカフェ」も始まります。
くわしくは以下のHPを参照ください。

今井均/創建築アトリエ
森岡茂夫/アルフィ建築デザイン
久野和作/パルインターナショナル
JIA=(社)日本建築家協会関東甲信越支部 住宅部会
INAX銀座ショールーム
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この記事の担当ガイド

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川畑 博哉

300物件以上の建築家実例を見学してきたガイドが、注目する実例をPickUpしてご紹介。

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