文章:坂本 徹也(All About「建築家実例」旧ガイド)
大切なのは建て主と建築家の信頼関係
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| 42人の熱心な建て主たちが集まった |
8月27日、
INAX銀座ショールームで開かれた
JIA主催の「SUMAIセミナー」に行ってきました。
今回のセミナーは、建築家と家を建てた建て主当人とが家づくりについて話し合うパネルディスカッション形式で行われました。出席されたのは、今井均さん(創建築アトリエ)と千葉県市川市にお住まいのSさん、森岡茂夫さん(アルフィ建築デザイン)と中野区の南波さん、久野和作さん(パルインターナショナル)と世田谷区のFさんです。Sさんは建築家の今井さんとは長年のつきあいがあったというご友人、南波さんはもともと施工関係の仕事をされている企業の社長さん、Fさんは建築家の久野さんとは大学が同じという同窓会つながりで、シンクタンクにお勤めのビジネスマンの方です。
家づくりを通じて友好関係はより深まった
建築家と前から親交があったSさん |
Sさんと今井さんは家づくりを始める前から家族ぐるみのつきあいがあり、いわば友人に設計を依頼した形。これはよくある話ではありますが、必ずしも成功するパターンとは限りません。なんといっても家づくりは、高額をかけて取り組む人生の大事業。ふだんは親しくしている友人には、言いにくいお金の話やときには強い自己主張もしなければならなくなるからです。
「私たちは逆に『信頼関係が出来上がっている』ことのメリットを取りました。それに、ふだん今井さんの建築に対する姿勢や考え方をお聞きしていて、それに夫婦とも共感していたというのもあります。今井さんは『家は人を生かすもの』と常々言われていて、その言葉が強く印象に残っていました」(Sさん)
これは家づくりには理想的な関係ですね。知らない建築家に依頼した場合、短時間でこうした信頼関係を築かなければならず、そのへんをあいまいにして事を進めたために、あとで思わぬトラブルになった事例は数限りなくあります。逆にうまくいったケースでは、建て主と建築家との間には、長く密度の濃いつきあいが始まる。そうしたメリットと、ぐちゃぐちゃの人間関係でストレスに陥るリスクとはまさに紙一重なのです。
ウルトラW級の変形地に建築家と挑む
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| 自分もプロである南波さん |
続いて南波さんの話。南波さんは施工関係の会社を経営されているため、建築家や工務店とのつきあいも多い。そうした中であえて仕事関係の人や取引のある会社には依頼をされなかったそうです。
「家づくりでそうしたしがらみが絡んでくるのはどうかと。なのであえて第三者である銀行から森岡さんを紹介してもらいました。というのはうちの敷地がかなりの変形地で、しかも狭い。おまけに水路に面しており、前面道路との接地幅もわずか3メートルしかない。プロでも条件を聞けばウ~ムとなってしまうような場所。ここでいろいろ無理な要望を出して、つきあいのある会社との関係を崩したくなかったということもあります」(南波さん)
敷地を見ると、たしかにウルトラW級の変形地、英語の「W」を思わせるギザギザ状の土地です。南波さんの不安もむべなるかなという印象。これは先のSさんとはほぼ正反対のスタンスということで、他人を仲介して「初めまして」で信頼関係を築き上げていった例というわけです。
作品を見て「これを設計した人なら」と建築家を決定
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| 素人では思いつかない発想を求めていたとFさん |
最後に久野さんに設計依頼をされたFさんの話。Fさんは米国UCLAの出身で、同じ大学の先輩である久野さんとは長いつきあいがありました。しかし最初から久野さんでという気持ちだったわけではなく、マンションや建て売り住宅なども見学していた中で、たまたま久野さんの建てた家の見学会に出席する機会があった。仕事で都市計画にかかわることもあるというFさんは、そのとき久野さんの設計した家が周囲の環境を乱すことなく建てられているのを見て、この人ならとゲタを預けられたとか。
「久野さんのご自宅も見せていただきました。周囲の環境にうまくマッチして建てられていることと、それだけではない個性。素人では思いつかない建築家ならではの発想などを考え合わせて、この人となら自分たちが本当に住みたいと思えるような家づくりができると感じました」(Fさん)
Fさんの場合は、大学の先輩後輩という間柄。Sさんほど密ではないけど交友関係があったことと、建てる前に建築家の実際の作品にふれたことが大きなきっかけとなったということです。まさに三者三様ですが、どちらかといえばSさんとFさんは古くからある建て主と建築家のケース。南波さんはこれから増えてくるケースでしょうか。
それぞれの結果はどうなったのか?続きをどうぞ