文章:白崎 泰弘(All About「オール電化住宅」旧ガイド)
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| 子育て支援型マンション『e-STEP』 |
今回はオール電化による子育て支援型賃貸マンションを紹介します。
場所は千葉県市川市。かつて厚生施設として使っていた東京電力の土地を「どういった形で有効活用できるか」から始まったそうです。土地活用のコンサルティングから引き受けたのは、コーポラティブハウスや集合住宅を多く手がける都市デザインシステム。
担当した鎌田智州さんはまず、その場の周辺環境を調査することから始めました。
そして
“都心までの距離感”や“駅からの近さ”から若年層をターゲットにした核家族向け賃貸マンション”
さらに
“この地域の待機児童の多さ”に注目して、子育て支援型”
という施設計画を導き出しました。
これまでの子育て支援型マンションは、幼児のいる家庭に賃料を割り引く、抽選確率を高くするといった運営上の優遇措置をとったものが多く、ハード的な対応は、足元に保育園を誘致する程度のものがほとんどだったように思います。
ここは、子供にとって望ましい集合住宅を真正面から取り組んだ都市デザインシステムの真摯な姿勢が感じられるものでした。
<物件概要>
場 所:千葉県市川市
完成時期:2007年5月
規 模:地上10階/鉄筋コンクリート造
住戸数:37戸(専有面積41.50~65.94平方メートル)
階構成:1,2階 保育園・キッズカフェ/3~10階 賃貸住戸
事業主体:東新ビルディング株式会社
設計者:株式会社都市デザインシステム子供に教えたい素材の温もり
キッズカフェ、保育園のある1、2階の外壁には杉の小巾板(=巾12cmくらいの長尺の板)をふんだんに使って、木の温もりを子ども達に感じてもらうようにしています。
市街地では延焼の恐れから外壁に木などの可燃素材を使うことは建築基準法上なかなかできません。街中でこれが実現できたのは、数年前から認定された木の不燃処理工法(※)を採用しているからです。まだまだ実例が少なく、設計者が素材に対するアンテナをしっかり張っている証拠です。
(※)無機リン酸系の薬剤を加圧含浸させる工法の他、いくつか大臣認定を受けている工法があります。その薬剤は防蟻剤としても有効なものが多いようです。 |
| 三和土(たたき)による屋上庭園 |
また、低層棟の屋上には、屋上庭園が設けてあり、その土の部分は「まさ土」に「にがり」を加える日本の伝統素材「三和土(たたき)」を使用しています。土の飛散を防止するとともに子どもに土の温もりを伝えるものです。
子供の興味をそそる色、教えたい色
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| 階ごとに色分けされた日本の伝統色 photo: Onozato Masaya |
幼児の周りの色彩は赤、青、黄色の原色を使うことが多いのですが、それは「この色は赤っていうんだよ」といった言葉と実体を重ね合わせるためなのでしょう。でも幼児は結構、色数の多いクレヨンを使いこなしています。つまり、大人が思う以上に子どもの色彩感覚は細やかなのだと思います。
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| 楽しげな床パターンと、子ども目線の階表示 |
ここでは、階ごとにテーマカラーを与えていて、しかも、渋みのある日本の伝統色を使っています。一番目立つのは、子どもの遊び心をくすぐる円環状の床パターンのデザイン。大人も子供も愛着の持てる共用廊下となっています。
階表示のサインにも同じ色を使っており、子ども目線の高さに表示されています。
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| 1戸ごとに割り当てられた家紋入りドアホン |
また、共用廊下に出ている室名プレートもテーマカラーを使い、1戸1戸に家紋を当てています。
最近では表札を出す人が全般的に少なくなってきていますが、その代わりのものとして考えたそうです。この家紋が軒を並べるだけで、無味乾燥なマンションの風景から一転、華やいだ感じになります。
子どもは発見が大好き。自分の家のマークが他とは違うことには早々に気付くでしょうが、それが後に日本伝統の記号であることを知ったときに自分の住処により愛着を持つのではないでしょうか。
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