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交通検問に応じる義務がないって本当?

交通検問は任意捜査だから、応じる義務はないと聞いたことがあります。本当なら、飲酒運転の取り締まりなんかできないですよね。交通検問を突破したら、どうなるのでしょうか?大丈夫なのですか?

酒井 将

執筆者:酒井 将

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交通検問に応じる必要はある?

交通検問に応じる義務はないけれど応じないと大変なことに……

交通検問に応じる義務はないけれど応じないと大変なことに……

先日、自称法律通のA君と話をした際、A君がこんなことを言っていました。

「警察は、交通検問で自動車を強制的に停止させることができないから、交通検問で停止を求められたとしても、停止する必要はないんだ。そのまま通過しても、犯罪にはならないよ」

これって、本当でしょうか? 最近は、昔に比べて飲酒運転が厳しく取り締まられるようになったのに、テレビでは未だに飲酒運転による事故のニュースが流れています。もしこれが本当の話なら、交通検問に応じる人なんていなくなるんじゃないですか? そこら中に飲酒運転してる人がいると思ったら、怖くておちおち散歩もしてられませんよ。

停止する義務はないけれど・・・

こんなことを言ったら驚かれるかもしれませんが、A君の話は本当で、自動車の運転者は、交通検問で停止する義務はありません。ただし、だからといって交通検問を突破してしまうと、警察に追跡され、停止されてしまうでしょう。これは結局どういうことなのでしょうか。順を追って説明します。

交通検問が許される条件は?

日本の警察は、皆さんの安全を守るために、犯人を逮捕したり家宅捜索をすることが認められていますが、捜査が行き過ぎて皆さんの権利を侵害しないように、警察の権限は、法律で厳しく制限されています。

例えば、捜査をするときはできるだけ皆さんの権利を侵害しない方法をとらなければいけません。これを「捜査比例の原則」といいます。また逮捕や家宅捜索をするには、原則として裁判官が発付する令状が必要です。これを「令状主義」といいます。

交通検問についても、同じように、警察の権利は厳しく制限されています。具体的にどういう制限があるかというと、警察が交通検問を行うためには下記を満たす必要があるのです(最決S.55.9.2)。

  1. 交通違反の多発する地域で実施すること
  2. 短時分の停止を求めるものであること
  3. 相手方の任意の協力を求める形であること
  4. 相手方の自由を不当に制約しないこと

このように、交通検問は、相手方の任意の協力のもとに行われなければならないのですから、警察は、交通検問で、強制的に自動車を停止させることはできないというわけです。

交通検問を突破したら……

では、交通検問に協力する義務がないからといって、警察官の指示を無視して、
検問を突破したらどうなるでしょうか? おそらく、追跡されて、停止させられることになるでしょう。

交通検問に応じる義務はないのに、検問を突破したら停止させられてしまうなんておかしいと思われる方もいるかもしれません。

しかし、警察には不審人物を停止させて質問する権限があります(警職法2
条1項)。皆さんも警察官に呼び止められて質問を受けたことがあるかもしれませんが、それもこの権限に基づいて行われていたのです。お聞きになったことがあるかもしれませんが、この権限は職務質問、通称「ショクシツ」と呼ばれる権限です。警察官の指示を無視して、検問を突破すれば、当然、その車は「怪しい」「犯罪の臭いがする」となるわけです。そうすると、警察は不審人物(不審車両)を停止させて質問する権限があるので、その権限に基づいて、自動車を停止させることができるのです。

そんなわけで、A君の言っていたことは、ある意味では本当なのですが、検問を突破したりすれば、大変なことになってしまいますので、検問には協力するようにしましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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