大安の結婚式はOK、仏滅の結婚式がNGな理由

婚姻届を提出する日や結婚式の日取りを決める際、大安を選ぶ人は少なくありません。大安は良い日、仏滅は悪い日というイメージがありますが、根拠はどこにあるのでしょうか?

【目次】
1. 「お日柄」の起源は昔の暦に書かれていた「暦注」
2. 明治になると暦注が禁止され、六曜に注目が集まる
3. 六曜の順番・決まり方はシンプル
4. 六曜の意味と読み方を知ろう
5. 六曜は迷信。信じるどうかかはその人次第
6. 六曜にこだわる親を説得するには
7. 日取りの吉凶はほかにもある

1. 「お日柄」の起源は昔の暦に書かれていた「暦注」

お日柄はやっぱり気になる?

お日柄はやっぱり気になる?

結婚式の日取りを決める時に必ず話題に上るのがお日柄。これはその日の吉凶を表すものです。結婚式の時に交わされる「本日はお日柄もよろしくて……」という言葉はつまり、「今日は吉日でよかったですね」ということです。

このお日柄は、暦に書かれている注釈=暦注によって知ることができます。昔の暦は現在のようなペラペラのカレンダーではなく、1冊の本になっていました。そして、日付の下にはこの暦注がこと細かに記されていたのです。

暦注にはその日の吉凶はもちろん、二十四節気(立春や夏至、大寒など)や雑節(節分や八十八夜など)も載っており、人々はこれをもとに田を耕したり、収穫をしたり、日々の生活を営んだわけです。

本来は二十四節気や雑節のほうがメインだったのですが、いつの間にやら吉凶判断のほうが重要になってしまったという面もあるよう。江戸時代の暦では何段にも分けて暦注がびっしり書き込まれていたといいますから、読むのもさぞや大変だったのではないかと……。

2. 明治になると暦注が禁止され、六曜に注目が集まる

庶民の生活に密着していた暦注でしたが、明治になると大転換が訪れます。1873(明治6)年、いままで使用していた太陰太陽暦を廃止して太陽暦を採用することになった際、政府は「暦注は迷信で、よりどころのない説である」とし、暦に載せることを禁止したのです。

けれども、禁止されるとよけいに欲しくなったり、見たくなったりするのが人間の性。暦注付きの暦は「おばけ暦」として秘密出版され、庶民の人気を呼んだといいます。そして、この時に一躍注目を集めたのが六曜だったのです。

実は六曜は江戸時代にはそれほど人気のある暦注ではなく、人々にもほとんど知られていませんでした。政府から公認された暦には一度も載ったことがなかったほどです。

六曜は六曜星の略で、「りくよう」が本来の読み方ですが、現在は「ろくよう」でもOK。六輝、あるいは孔明六曜星ともいわれます。孔明六曜星の孔明は、『三国志』でおなじみの知将、諸葛孔明のこと。六曜は孔明が発明し、これを利用して軍略を立てたところ、それがハマって勝ち続けたという話が伝えられているのですが、どうもこれはあとからこじつけたもののよう。とはいえ、中国で生まれたことには間違いはないようです。

中国では六壬時課〔りくじんじか〕、あるいは小六壬〔しょうりくじん〕と呼ばれ、時刻の吉凶を占うものでした。それが、14世紀(鎌倉時代末期~室町時代)の日本に伝わり、日の占いへと変化を遂げたのです。

この六曜、非常に単純な構造になっています。それが江戸の人々にはあまり面白くなかったのかもしれません。ですが太陽暦が実施されると、その単純な法則性が隠されることになります。

また、仏滅、大安、先勝といったわかりやすいネーミングも庶民の心にフィット。明治中頃からじわじわと人気が高まり、第2次世界大戦後に大ブレイクし、現在に至っているというわけです。

3. 六曜の順番・決まり方はシンプル

六曜には、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6種類があります。読み方はいろいろあり、どれが正しいというのはないのですが、現在、一般的に使われているのは、せんかち、ともびき、せんまけ、ぶつめつ、たいあん、しゃっくとなっています。

仕組みは非常に簡単で、旧暦に基づいて、先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口の順で繰り返していくだけです。ただし、毎月1日の六曜が以下のように決まっています。

大安
おめでたいことは大安に?
1月・7月の1日は先勝
2月・8月の1日は友引
3月・9月の1日は先負
4月・10月の1日は仏滅
5月・11月の1日は大安
6月・12月の1日は赤口

ね、ものすごく単純ですよね。

ですが、旧暦に基づいているので、新暦の暦で見ると、その法則性がわかりにくく、ちょっぴり神秘的に見えてしまいます。なんとなく意味ありげ、でも実際はすごくわかりやすい、このへんが大ヒットの理由といえるのではないでしょうか。

4. 六曜の意味と読み方を知ろう

さて、六曜の意味についてご説明しましょう。読み方ももう一度おさらいです。

●先勝/せんかち
先んずれば勝つという意味。急げば幸運が舞い込んでくるということで、午前中は吉で、午後は凶とされます。また、訴訟に良い日ともいわれます。

●友引/ともびき
凶事が友に及ぶという意味。ですから、この日にはお葬式は慎むべきといわれています。朝晩は吉で、正午だけは凶とも。とはいえ、本来は何事も引き分けで、勝負のつかない日、ということだったようです。

●先負/せんまけ

先んずれば負けるという意味。先勝の反対です。ですから、午前中は凶、午後は吉ということになります。すべて控えめにして、勝負事や急用は避けるほうがよいとされます。また、先へいって良くないことがあるというようにも解釈され、お見合いも避けたほうがいいと言われることも。

●仏滅/ぶつめつ
仏も滅するような最悪の日という意味。といっても、仏教とはなんの関係もないのは、いままでの説明でおわかりですよね。万事に凶の日なので、結婚式や法事もこの日に行うのは避けられます。ですが、葬式だけはOK。これってちょっと変な気もしますね。

●大安/たいあん
大いに安しの意味で、すべてにおいて吉とされる日です。とくに、婚礼には良い日とされています。

●赤口/しゃっく
羅刹神という鬼を表す言葉。この日も凶とされ、とくに祝い事は大凶とされます。ただし、正午だけは吉とされます。また、赤という字が火や血を連想させることから、火の元に注意する日、大工や料理人など刃物を扱う人はとくににケガに注意する日、などとも言われています。

5. 六曜は迷信。信じるかどうかはその人次第

六曜ははっきりいって迷信です。吉凶にはなんの根拠もありません。ですから、自分たちで決めた結婚式の日取りがたまたま仏滅だったからといって、まったく気にする必要はありません。

大安
信じるか信じないかはその人次第
とはいえ、大安を狙って結婚式をする、というのを否定するつもりもまったくありません。祝い事に縁起を担ぎたい気持ちは誰にでもありますから、結婚式の日が大安というのはやっぱり気分がいいですよね。

というわけで、気にしたければ気にすればいいし、気にしないのであればまったく問題ない、というのが六曜です。

でも、これに親がからんでくると、話はちょっとややこしくなってきます。親と本人の考え方が一致すれば問題はありませんが、本人たちが六曜を気にしないのに、親が気にするという場合は、注意が必要です。

6. 六曜にこだわる親を説得するには

基本的に、六曜を気にする人(この場合は親)の意見に従ったほうが無難、というのが私の考えです。大安に結婚式をして、それで親の気が済むのなら、ずいぶん手軽な親孝行というものです。それに、反対を押して仏滅に結婚式をしたがために、ちょっと悪いことがあるたびに「仏滅に結婚式を挙げたから」と嫌みを言われるのも、気が重いですよね。

どうしても仏滅の日にやりたい、という事情がある人もいると思います。たとえば、ふたりが出会った日に結婚式をしたい、でも、その日はたまたま仏滅……。ふたりはまったく気にしないけれど、親が仏滅はだめという。

こんな場合には、なぜその日に結婚式を挙げたいのか、その理由を切々と訴え、あわせて、六曜は迷信だということを説明する。そのうえで、婚姻届を提出するのは大安の日にする、など相手の気持ちも汲んだ折衷案を提案するといいと思います。

それでも納得してもらえなければ、反対に、結婚式は大安の日にして、婚姻届提出をふたりの記念日にする、ということで自分たちが納得する、という方法もありますね。

7. 日取りの吉凶はほかにもある

日取りの吉凶というと、現在は六曜がひとり勝ちの様相を呈していますが、ほかにもいろいろとあります。

たとえば、月・火・水・木・金・土・日という曜日も七曜星と言われ、吉凶を占うことができます。それによれば、日曜星は全てにおいて吉とされ、金曜星はすべてにおいて凶とされます。また、月曜星と土曜星は婚姻には凶とのことです。

また、十二直というのもあります。これは、江戸時代には日取りの吉凶を見るのに最も重視された暦注。現在は、建築関係の日取りを決める際に、用いられることが多いようです。その名の通り、12の意味があり、成、平、健、定の日が婚礼の吉日。除、破の日は婚礼は避けるべしと言われています。

日取りの吉凶を占う暦注がいろいろあると、たとえば、六曜では良い日でも、十二直では悪い日というのも、当然のことながら出てきます。また、数字のごろ合わせで、4や9を嫌う人もいます。そんなことを考え合わせていくと、いわゆる「良い日」というのはほとんど存在しなくなるのではないかと……。

縁起を担ぐのはいいのですが、あまりにそれにとらわれすぎると、結婚式の日取りが決められない!なんていうことも。また、その日がいくら「良い日」と言っても、招待客に迷惑をかけるような日取りになってしまっては意味がありません。

というわけで、結論! 六曜とは上手に付きあって、納得のいく日取りを決めましょうね。

〈参考文献〉現代こよみ読み解き事典(柏書房/1993)、暦の百科事典(新人物往来社/1986)、暦と時の事典/内田正男著(雄山閣/1986)

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