寿司/おすすめ寿司屋

入船(奥沢)

マグロを食べるならここ! 常に築地一番のマグロを仕入れる奥沢の寿司屋です。拙著「美食の王様 究極の167店 珠玉の180皿」においても総合No.1! ボクにとっては、もはや特別な場所です。

執筆者:来栖 けい

ボクが最も好きなお店です!

外観
東急目黒線奥沢駅から歩いてすぐのところにある「入船」の外観。
1999年5月22日。忘れもしない「入船」との出逢いの日ですね。この時から数えること約150回(2006年10月現在)、ボクは今でも頻繁に通い続けています。


マグロの塊
紀伊勝浦産本マグロ(287kg)の腹カミ一番(2006年4月23日)。
一番の魅力は何といっても「マグロ」。近海ものの生本マグロです。築地で最高のマグロを仕入れているのは、何を隠そうこの「入船」なんです。2001年の初セリのマグロに2020万というとてつもない値段がついてしまったのも、もとはといえばこの店が原因。他の店には絶対に譲らない。狙った獲物は必ず仕留める。そんなご主人のマグロに懸ける情熱によって、結果的にここまで釣り上がってしまった、というのが本当のところ。もちろんこの時も、そのマグロの大半を仕入れたのは入船。他にはほとんど出回っていないはずです。


マグロの塊
戸井産本マグロ(240kg)の腹カミ一番(2006年9月3日)。
本マグロが最もおいしくなるのは、晩秋から冬場にかけてです。この時期に大間(青森県)で獲れる本マグロがズバ抜けて美味ですね。ただ、年間を通して常にその日1番のマグロを仕入れているので、脂が最も抜ける夏の時期でさえいいマグロが手に入ります。魚の旬をよく知る人ほど、「何でこの時期にこんなに素晴らしいマグロが!」と驚くことでしょう。


至高の大トロ!

外観
戸井産本マグロ(270kg)のカマ(2006年9月3日)。
まず「大トロ」は、砂擦りにある蛇腹の大トロ、霜降り状の大トロ、最も脂ののったカマトロがあります。それはその時になってみないと分かりませんが、そのどれもが眩いばかりの光を放っています。まるで宝石のようですね。


大トロとにんにくのマリアージュ!

大トロのにんにく醤油
大トロとにんにくの相性の良さをここではじめて知りました。
もちろん普通に醤油をつけて食べても構いませんが、一番のおすすめは何といっても「大トロのにんにく醤油」(1,575円)です。煮キリ醤油に漬け込まれたスライス状のにんにくをちょこんとのせ、その上から煮キリをサッとひと刷け。別に奇をてらっているわけではなく、濃密な香りを放つ大トロだからこその「にんにく」であることが、口に含めばすぐにわかります。それほどまでに両者の香りのマリアージュが素晴らしい。しかも、このにんにく特有の香りによって、脂の豊潤な甘みと旨みも一段と強調されています。普通に食べるよりもインパクトは強烈ですね。


咀嚼する間もなく喉の奥へ!

大トロ
「カワギシの軍艦」には、この大トロ部分、またはカマ部分の皮と身の間の脂身を使います。
スプーンでこそげとる皮と身の間の脂身「カワギシ」は、軍艦として提供されます。見た目からして脂がたっぷりですが、その脂はとにかくサラッサラ。「軽さの質」というものがあまりに秀逸です。咀嚼する間もなくスーッと喉を通過し、旨みだけが口の中に残ります。組み合わせは3種類あって、上に葱をのせたものを「カワギシの軍艦」(1,575円)、たくあんをのせたものを「トロタクの軍艦」(1,575円)、そして自家製の葉わさび漬けをのせたものを「トロワサの軍艦」(1,575円)といいます。


これぞまさに「贅の極み」!

珠玉のあぶり3点盛り
これを食べずには帰れません!「珠玉のあぶり3点盛り」。
そして、入船を語る上で絶対に欠かせないのが、大トロ(またはカマトロ)を使った「あぶり」です。生醤油をつけて焼いた「大トロのあぶり」(1,575円)、海人の藻塩を振って焼いた「大トロの塩あぶり」(1,575円)、葉わさびの漬け汁(醤油、酒、みりん)をつけて焼いた「大トロのあぶり 葉わさび添え」(1,575円)、の3種類があり、年間を通して食べられるのは「大トロのあぶり」と「大トロの塩あぶり」。「大トロのあぶり 葉わさび添え」は、伊豆・冷川産の葉わさびが出回る春先のみオーダーできます。これら3種を盛り合わせた「珠玉のあぶり3点盛り」(4,725円)は、まさに「贅の極み」と言ってよいでしょう。


あぶり2種
左が「大トロのあぶり」、右が「大トロの塩あぶり」。
口に含むと同時に濃厚な脂がバーッと広がり、その旨みが一気に脳天を突き破ります。口だけにとどまらず、顔全体がその旨みで覆われてしまうような感覚。それでいて脂のしつこさは微塵もなく、後口がまるでオリーブオイルのようにさらり。軽やかな香りとともに、この上ない余韻を残してくれるのです。大トロ自体が淡雪のようにふわっと消えてしまうので、口に含んでからまさに一瞬の出来事。はじめての人はその現実離れしたおいしさに少々戸惑うかもしれませんが、この味を知ってしまったら絶対にやめられなくなるはず。ある意味「麻薬」ですね。マグロと葉わさび、この相性の良さにも大いに納得です!


究極の丼です!

外観
言葉を失う旨さの「大トロのあぶり丼」。
この「あぶり」をとことん堪能するならば、「大トロのあぶり丼」(10,500円)がおすすめ(少し小さなサイズの「大トロのあぶり小丼」もあり)。酢飯に細かく刻んだ自家製の葉わさび漬け(程よく汁気を切ったもの)&海苔を合わせ、醤油ヴァージョンのあぶりをたっぷりと盛りつけた一品です。葉わさびを使用するのでいつでも食べられるわけではありませんが、これを食べたら思考能力完全崩壊間違いなしです!


次ページは、赤身、中トロ、その他のにぎりについて。
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