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国際結婚の諸手続き【11】 子供の国籍

国際結婚カップルは子供が生まれたときにも様々な届け出をしなければなりません。特に国籍に関する手続きは重要です。重国籍となる子供のために、日本とパートナーの国の国籍法を充分知っておく必要があります。

執筆者:シャウウェッカー 光代

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子供の出生に関連する手続き

将来、子供たちがどこに住むのか、どの国の国籍になるのか、選択できる可能性はたくさん残しておいてあげたいものです
国際結婚カップルは、子供が生まれたときにも様々な手続きをしなければなりません。ただ役所に出生届を出せばいい、というものではないのです。

子供が生まれたとき、考えておかなければならないことは大きく2つあります。それは、子供の国籍と姓(名字)についてです。
国籍に関しては、日本とパートナーの国の国籍法を知らないと、子供が将来日本国籍を失う可能性が出てきます。また、子供の姓は新戸籍の作成云々に関わってきます。

どんな知識が必要なのか、どのような手順で手続きをしたらいいか、届出にはどんな書類が必要か、順に見ていきましょう。

「血統主義」と「生地主義」


まず最初に知っておきたいことは、新生児の国籍についての知識です。国際結婚カップルの子供は、生まれた瞬間に複数の国籍を取得する場合があるからです。
『国籍の選択』の記事でも少し触れましたが、これには各国の国籍法が大きく関わってきます。

世界の国籍法には、大きく分けて「血統主義」「生地主義」があります。

「血統主義」は、親がその国の国民であれば、子供は外国で生まれても、血統により親の国籍を取得するというものです。
「血統主義」はさらに大きく2つに分けられ、父親の血統だけを重視する「父系優先血統主義」と、父と母の両方の血統を認める「父母両系血統主義」があります。

日本は「父母両系血統主義」を取っていますので、両親のどちらかが日本人であれば、どの国で生まれようと、子供は日本の国籍を取得できるのです。

一方、「生地主義」は、両親の国籍に関係なく、自国の領域内で生まれた子供には、その国の国籍を付与するというものです。南北アメリカ諸国のように、移民を多く受け入れてきた多民族国家では、生地主義をとる国籍法が多いようです。
たとえば、日本人の両親から生まれた子供でも、アメリカで生まれた場合、アメリカ国籍を得られるというのは、よく聞かれる話ですね。

そのほか、「父母の一方が市民権を有するか、または国内に定住していること」などの条件付きで「生地主義」を採用している国もあります。

それぞれの代表的な国を下に掲げました。

なお、各国の国籍法は改訂されることがありますので、大使館や領事館などで最新の国籍法を確認しておくことも重要です。

(1)父母両系血統主義の国
日本、アイスランド、イスラエル、イタリア、エチオピア、エルサルバドル、オーストリア、オランダ、ガーナ、ギリシャ、スウェーデン、スペイン、スロバキア、タイ、中国、韓国、デンマーク、トルコ、ナイジェリア、ノルウェー、ハンガリー、フィリピン、フィンランド、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア など

(2)父系優先血統主義の国
アラブ首長国連邦、アルジェリア、イラク、イラン、インドネシア、エジプト、オマーン、クウェート、サウジアラビア、シリア、スーダン、スリランカ、セネガル、マダガスカル、モロッコ、レバノン など

(3)両系血統主義だが、条件付きで生地主義を採用している国
イギリス、オーストラリア、オランダ、ドイツ、フランス など

(4)生地主義を採用している国
カナダ、アメリカ、ブラジル、アイルランド、グレナダ、ザンビア、タンザニア、ニュージーランド、パキスタン、バングラデシュ、フィジー など

 

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