暮らしの歳時記/日本のしきたり・マナー・ことば

襖(ふすま)の開け方・閉め方を知り、恥かかない和室マナーを

襖(ふすま)を立ったまま開閉したり、無意識にサッと開けていませんか? ノックの代わりにやることもあり、「手掛かり」を残すのも大切なこと。立ったままで開け閉めする場合もあります。ふすまの正しい開け方・閉め方、マナーを知っておけば、障子や格子戸などにも対応できますよ。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

襖(ふすま)の開け閉めマナー、できていますか?

襖って、どうやって開けたらいいの?

襖って、どうやって開けたらいいの?

和室に入ろうとした際、襖(ふすま)の開け方に戸惑ったことはありませんか? 普段は何気なく開けていても、かしこまった席では失礼にあたることも多く、ばつが悪い思いをすることもあるからです。また、ドアならノックするのがマナーですが、襖はどうしたらいいのでしょう? 突然誰かが入ってきたら戸惑いますから、襖の場合は「失礼します」と声をかけます。しかし、それだけではありません。襖の開け閉めには、信頼関係を損なわない気遣いがあふれています。
 

襖の開け方・マナーは立ったままは基本NG! 正座をして丁寧に開ける

ふすま

ドアならノック。襖の場合は「失礼します」と声をかけます

例えば、立ったまま襖を開けても構わないのでしょうか? 本来、襖は座って開閉するものなので、立ったままでは座っている人を見下す格好になり失礼となります。よくあるのが、遅れて到着した人が立ったまま開けて「遅れてすみません」と詫びるシーン。恐縮したつもりが、それでは横柄な態度に映ってしまい、逆効果になることも……。座って開け閉めする正式な方法を知っておくと、どんなシーンでも対処できるから安心です。

細かい作法は流儀によって違いますが、一般的な開け方を覚えておくと、いざというときも安心です。目上の方のご自宅やかしこまった席では、正座をして丁寧に開けましょう。また、突然開けて室内の方が戸惑わないよう気遣うことも大切です。
 
  1. 開けようとする襖の中央に、襖とこぶし2つ分の間隔をあけて正座し、「失礼します」と声を掛けます。
    ……ドアをノックするのと同じ意です。基本的には下座側の襖から出入りしましょう。
  2. 引き手(手をかけるところ)に近い方の手を掛け、5cm程度開きます。
    ……引き手ですべて開閉しようとすると、動きにくくて見た目も悪く、引き手も傷んでしまいます。引き手は少しだけ開けるためのものと心得、開閉は親骨(襖の枠のところ)に手を掛けて行います。また、これから入りますよという合図になります。
  3. 掛けた手を引き手から親骨に沿ってすっと下ろし、敷居から30cm上あたり(自然に手が届く位置です)を押して中央まで開けます。
    ……ここまでが部屋の様子を察する動作で、この時点では室内の方と視線は合わせません。中の状況を察して、ひと呼吸おくこともできます。
  4. 手を替えて親骨を押し、残りを開けます。開ける幅は体が通れるぐらいか、全部は開けずに5cm程度を残しておきます。
    ……5cm残すのは、閉めるときの「手がかり」を残すためです。これだけ段取りを踏めば、相手の準備も整うでしょう。
  5. 襖を開けたら会釈をし、両手(軽く握ります)で体を支えながらにじって入室します。
 
 

襖の閉め方……開けるときと逆の所作に

襖(ふすま)を閉めるときは、開けるときと逆の所作になります。
 
  1. 襖に向かって正座し、襖に近いほうの手で敷居から15cm上あたりをつかみ、中央まで閉めます。
    ……開ける際に残しておいた「手がかり」をつかみます。
  2. 手を替え、敷居から30cm上あたりをつかみ、残り5cm程度まで閉めます。
    ……1と2でつかむ高さが違うのは、1が逆手で2は順手になるためで、無理なく届き動かしやすい位置となります。
  3. 2の手を引き手に掛け、全部閉めます。
 

こんなときは立ったままで……臨機応変に襖(ふすま)の開け閉めを

基本を覚えておけば、臨機応変に対応できます

基本を覚えれば、臨機応変に対応できます

こうした開閉が丁寧なやり方で、何度か練習し、慣れてしまえば流れるようにできて美しいです。

また、手を替えずに片手でする方法や、立ったままでの開閉もあります。例えば、和室を洋風に使用しているなら立ったままで構いませんし、カジュアルなシーンで正式な作法をする必要もないでしょう。こうした作法は、障子や格子戸にも応用できます。

なぜそうするのかという道理がわかると、臨機応変に対処できるもの。正しい方法を身につけておくのが得策といえそうです。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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