心に響く料理「ラペティ・ロアラブッシュ」
さて、この関西フレンチ総集編も最後。フィナーレを飾るのは「
ラペティ・ロアラブッシュ」。大阪のフレンチでは最も数多く通っているレストラン。その魅力は美人のマダム…だけではなく、シェフの類まれなる素材(特に野菜)使い。料理はいたってシンプル。選びに選んだ野菜に、丁寧な調理を施し、盛り付ける。この、ごく当たり前の工程を経た結果として生まれるのがこちらの料理。最近、特にフレンチでは若い世代のシェフの活躍が目立ちますが、こちらの料理はベテランならではの経験がなせる料理だと思います。
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| ウニとカリフラワーのムース、北海道のホタテのソテー、ホッキ貝のマリネ |
前菜からご紹介するのは「
ウニとカリフラワーのムース、北海道のホタテのソテー、ホッキ貝のマリネ」。正統派のこちらにしては、「あれ?ちょっと盛り付け変わった?」と驚かされる、点を描く赤ピーマンとカリフラワーのソース。しかし、使われている素材の良さはまったく変わりません。
野菜は香川県の植村農園から、ほかは京都の亀岡から取り寄せる野菜のおいしさは毎回、本当に印象に残る味です。そして、素材の味を引き出す調理は、変わらないどころか、より進化しているように思えます。安定しながらの進化が、ここの料理には感じられます。
メイン料理には「
タスマニア産仔羊背肉の香草パン粉焼きとバラ肉のナヴァラン」を。背肉はしっかりとした羊の風味とハーブの酸味が絶妙なコンビ。バラ肉の方も、脂の強すぎる甘さをうまくシチューでまとめあげています。全体のソースはマスタードと羊のジュ(肉汁)。このマスタードの酸味が、羊の脂のおいしさによくマッチするのです。
そして、こちらでも野菜は京野菜などを中心に素晴らしい素材を使用。特にじゃがいもは「インカのめざめ」を使っています。ちょうど先日、フランスに行ってきたのですが、普通に出回っているじゃがいもに関しては、あちらに比べると日本のものはかなり味が落ちます。なにせ瑞々しさと甘さがまったく違う。そして、このインカのめざめも、日本のポピュラーなじゃがいもと違い、甘みをはじめとした豊かな味わいがあるのです。メインの食材はもちろん、野菜ひとつひとつにいたるまで厳選し、何よりもその味の引き出し方は他のレストランではまず味わえないもの。
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| イチゴのダックワーズ |
デザートはいつも行くたびにパフェを頼んでしまうのですが、たまには違うものを…ということで、「
イチゴのダックワーズ」を。アーモンドの風味豊かなダッコワーズとマスカルポーネの甘みは、料理同様に濃厚でありながら重さはありません。クリームには甘みを持たせず、マスカルポーネのコクとダックワーズ生地の甘みがファーストインプレッション。後に来るバルサミコは余韻となって、デザートタイムを幸せな時間にしてくれます。
おいしいものを食べたときのリアクションって2種類あると思うんです。一つは「これ、おいしー!!」と、小躍りしたくなるような、脳に響く料理。そして、もう一つは「これ…おいしい…」と、小声でつぶやきながら驚く、心に響くおいしさ。この「ラペティ」の料理は、まさに後者。ひたすら強い印象を与えるよりも、ゆっくりと心に浸透し、しばらく時間が空くと、また食べたくなる。そんな料理なのです。
<店データ>
■「
ラペティ・ロアラブッシュ」
所在地:大阪市中央区今橋2-1-10 ダイセンビル1F
TEL:06-6208-1808
定休日:月曜日
営業時間:昼 11:30~14:00(ラストオーダー)
夜 17:30~20:30(ラストオーダー)
交通・アクセス:地下鉄 北浜から徒歩2分
地図:
Yahoo!地図情報HP:
ラペティ・ロアラブッシュ前回のご紹介記事は
こちら皆様、これまでありがとうございました!
最近はこういう「心に響く」料理って、少なくなりました。特にブログなど、ネットでの写真つきグルメ情報が増えたこともあるのでしょう。あるいは、ガイドブックもそうでしょう。写真や味のファーストインプレッションだけで料理を判断してしまう人が多くなってしまっているような気がします。
しかし、やはり飲食店は何度も同じお店に通ってこそ味がわかるのだと、僕は遅まきながらやっと気づきました。それは、こちらのお店や、そして今回の総集編シリーズでご紹介した素晴らしいお店の方たちを中心に教えていただいたこと。そのために僕はこのオールアバウトを「卒業」します。毎月3店、新しいお店に行くよりも、これからは自分の好きなお店を中心に通い、レストランライフを楽しみたいと思っています。
これまで読んでくださっていた皆様、そして取材にご協力いただいたお店の方々、本当にありがとうございました。おかげさまで、素敵なお店、人にたくさん出会えました。皆様も素敵なレストランライフがあることを願っております。
渡部 功平 拝