パン/パン業界情報、イベント

志賀勝栄氏に学ぶパン作りと女性職人の仕事

パン業界の女性が立ち上げたクラブ ド サントノーレ主催、志賀勝栄シェフによるセミナーのレポート。参加者全員がバゲットなどを実際に成形し、チーズやワインとの相性を体験します。女性の仕事についての講演も。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

志賀勝栄氏に学ぶパンづくり

2月末に三幸機械株式会社にて開催されたクラブ ド サントノーレの第一回目のセミナーの内容をお伝えします。

講師の志賀勝栄シェフ

講師の志賀勝栄シェフ

クラブ ド サントノーレはパン業界で働く女性のための会。発足したばかりです。(設立の経緯や方針などは先の記事に書いていますのでご参照ください。)

参加者全員がパンに触れて学び、会話し、企業の枠組みを超えて交流を深めよういう今回のセミナーの講師は志賀勝栄氏。
代官山のアルトファゴス、赤坂のペルティエ、丸ビルのユーハイム ディー マイスターなど、彼の行く先々でそのスペシャリテが話題になるカリスマ性を持つとともに、おいしいパンのための環境のひとつとして、職場におけるチームワークをいつも大切に考えているシェフです。

パン職人の仕事、特に女性の働きかたについての志賀さんのお話の後、パンの成形、パンにチーズとワインを合わせる体験の時間がありました。 製パン会社、食品会社でパンの仕事に携わる20代から30代の女性を中心に、 横のつながりをゆたかに広げる一日となりました。

志賀さんが考えるパン屋さんの仕事

「僕は仕事をしている感覚はなくて、いつもほとんど趣味のような気持ちでいます。」そんなふうに始まった志賀さんのお話。 「仕事は、していて楽しいのがいい。 楽しい気持ちで、こうしてはいけないというのはなしに、幸せの象徴であるパンを、まず自分が幸せな気分でつくりたいと思うのです」と志賀さんは言います。

そんな気持ちになるためには、職場環境が大切です。
「まわりの人が気持ちよく仕事できるように、自分が何をできるかを常に考える。 スタッフやお客さんが心地よくなるようにする。その延長上に良いサーヴィスがあると思います。そういう環境で、女性も日々ストレスなく続けられ、結婚しても続けられる環境ができればいいな というのが僕の想いです。」

フィグ入りのアインパッケン

フィグの生地を別生地でくるむ

モンドールのガーリックパン粉焼き

志賀さんおすすめのテーブルワイン


完走することを目標にしよう

「最近の女性はまじめすぎるんですね。まじめすぎてその熱心さが続かず、突然辞めてしまう人も多い。
たとえば、30歳までに結婚、出産を考えて、それまでに結果を出さなくてはと焦って仕事をして、つらくなってしまう。目的に対して最短で行こうと思わずに、完走することを目標に、気持ちを楽に持って思いつめずに仕事してもらえたら。」と志賀さんは言います。

「完走できる働き方を」と志賀さん。

「完走できる働き方を」と志賀さん。

「女性のパン職人はもともとパンがすきだし、チーズ、ワイン、フルーツ、野菜などの食材も、知っている種類が男性よりはるかに多い。 和野菜、レンコンやサトイモをパンに合わせるようなことを 考えつくのも女性です。 香辛料の種類や個性を知っているからその合わせ方も圧倒的にうまく、 調理パン系は女性のほうが優秀です。
自分で食べたいパンのルセットを書いて独自のパンをつくれるまでになってほしい、 それまでやめないでほしいといつも思います。」

そういう志賀さんは職人歴30年で、いま50歳。
「80歳まで働きたいと思っています。 考え方や生き方を確認して明日からを考える。完走までのペース配分が楽しいのです。」

次のページはこのセミナーで紹介されたパンとチーズです。→
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