関東・武蔵野うどん

更新日:2004年11月01日

洗練の地粉うどん エン座 練馬区石神井台

人の縁がつなぐ情熱の武蔵野うどん。地域に根ざしたうどん文化をつなぐ縁、縁は円となり円は繋がっていく。そんなうどん打つ店主。どこまでも想いは広がって行く。


エン座

エン座の店主加藤智春さんはなかなかの活動家だ。うどん店としての営業はもちろんこだわりのお店として成功しているが、うどんにかける意気込みはそれだけにとどまらない。素材である小麦粉や農業、土地の風習までも視野に入れた大きなものを完成させようとしている。

肉盛うどん

蕎麦の世界では蕎麦粉にこだわり自家栽培、自家製粉に進むお店も多いが、うどん店で小麦の栽培までも視野に入れた営業姿勢をとるお店はまれである。加藤さんは地元の練馬区や隣接するエリアで取れる小麦にこだわる。またうどんを食べる地域の習慣にも目を向けて季節のメニューを取り入れたり、農業活動や地域活動にも積極的に関与している。

エン座という店名の由来


エン座という店名は車座の意味の『円』、ご縁を大切にしたいという『縁』、香しき燻製の『煙』からエン座としたという。2001年7月7日オープン。勤めていた会社からの転身でうどんの勉強をほぼ独学に近い形で習得。世話になったうどん屋さんやメーカーはあったようだが自分のスタイルを確立するまではそれほど時間はかからなかったようだ。話を聞けば、まさに人の縁の不思議を感じることができる。




平日仕様のもりうどん

現在の店舗の家主は当時勤めていた会社のお客さんだったそうで、うどん店開業時には考えられないような好条件で店舗を借りることができたという。製粉会社と出会いも同じように親身になって相談に乗ってくれる会社との縁。地元の小麦農家や製粉会社やうどん博士の故加藤有次先生との出会い。うどんの本場香川大学の三木先生や農業試験場多田さんとの交流。などなど枚挙にいとまがない程、人の縁に恵まれている。それはそのまま加藤さんの積極性と人柄の良さが呼び寄せるものなのだろう。


小麦にこだわるエン座のうどん



地元産農林61号のうどん

エン座のうどんは基本は武蔵野うどんである。讃岐の血脈も相当に混じっている。でもこだわりは地元産小麦で作るうどんなのだ。
練馬で小麦が作られているという。また近接する埼玉県新座市にも協力農家がある。収穫量の問題もあり現在は農林61号100パーセントのうどんの供給は土曜日と日曜日のみになる。練馬の製粉会社が注文どおりの小麦粉に製粉してくれるという。こういう協力会社があることも大きな財産だ。借りている畑もだんだん規模が大きくなり、農業試験場の協力もあり武蔵野系小麦の復権も目指しているそうだ。蒔く麦の品種も増えそうな勢いだとか。今年もそろそろ種蒔きの時期が来る。



平日仕様のおろしぶっかけ

平日のうどんは香川県の製粉会社木下製粉のすずらんで打たれる。木鉢による水回しからはじめる手打ち麺である。白く滑らかな平打ちのうどんだ。日によっては地元産農林61号の全粒粉のうどんもあるという。土曜、日曜は地元産農林61号を使ったうどん。色は少し茶系だが滑らかな喉越しの良いうどんに仕上がる。地粉うどんのイメージを覆すような洗練された逸品となる。
メニューは武蔵野うどんらしいオーソドックスなものが多い。メニュー的には讃岐の影響はあまり感じさせないがうどんの質は讃岐を感じさせるものもある。ぼそぼそしない伸びのある食感と弾力はいわゆる武蔵のうどんのワイルドさを感じさせないが、小麦の素朴な香りは感じることはできる。
左の写真の上下の比較でうどんの色の比較はできると思う。



優しい食感のきざみうどん


練馬特産だった練馬大根にこだわるメニューもある。大根うどんという。練馬大根の葉を打ち込むうどんでグリーンになる。また大根おろしは練馬大根が使われる。練馬大根もどちらかといえば消えそうな銘柄となっているが農業にも関心のある加藤さんには欠かせないアイテムなのだろう。糧うどんやぶっかけうどんにも地物の野菜が使われる。盛り付けが美しく洗練されているのは手本としたうどん店での修行がなかったために独自にくふうした。無添加・無化調にこだわるつゆも後味が良くうまい。希望すればうどんの釜湯を出してくれる。


サイドメニュー
自家製豆腐、燻製、焼豚、地酒と並んでいるが土曜をのぞき平日の昼のみの営業。私はまだすべては試せていない。魅力というか誘惑はされるがなかなか試せない(笑)。うどんの1玉がかなり大きく1杯の存在感がある。一杯で満足できる量に仕上がっているのも武蔵野うどんの伝統だろうか。

まだ魅力のすべてを垣間見ていないが研究熱心で意欲的な店主の加藤さんと加藤さんに負けないくらいの情熱をもつ美人の奥さんと二人の進歩はまだまだ止まらないだろう。エン座のうどんは完成しているがその魅力はどこまで伸びるのか測りしれない。目の離せないうどん屋だ。



2004年6月の麦刈り

【エン座DATA】
2010年移転店名をむさしのエン座となりました。
〒177-0041
東京都練馬区石神井町5-12-16
練馬区立石神井公園ふるさと文化館内
電話:03-3995-1577
営業時間 10:30-15:30
定休日 月曜日・第一火曜日
エン座のWEBサイト・アクセス方法等詳細説明有り
yahoo地図情報
石神井公園ふるさと文化館

従来のお店はお弟子さんが引き継ぎ
【エン座長谷川データ】2010年3月9日オープン
〒177-0045
東京都練馬区石神井台8-22-1
第一サンライフ105 電話03-3922-2626
営業時間 午前11時30分から午後2時30分 麺切れ閉店有り。
土曜日は夜間のみ営業 午後5時から9時 
定休日 毎週月曜日・第1火曜日
(月曜が祭日の時は営業・火曜に振り替え休み)
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この記事の担当ガイド

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蓮見 壽

うどん研究家として講師をはじめ、書籍などの様々なメディアへ情報提供など活動中。独立行政法人 中小企業…

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