うどん/関東・武蔵野うどん

古くて新しい街 麻布十番うどん散歩

六本木、麻布のおしゃれな街の一角にある異次元空間麻布十番を歩く。

執筆者:蓮見 壽


麻布十番商店街
華やかな六本木の繁華街や六本木ヒルズからけやき坂を下るとそのあたりはちょっと趣が違う商店街がある。かつては陸の孤島とか東京の奥座敷と呼ばれた麻布十番である。

古くからある十番商店街にはその歴史を感じさせる風貌の商店がいくつもある。おしゃれというより実用本位の衣料品を扱う商店や陶器店、履物店などが並ぶ。そんな中に点在する新たにできた新興店やおしゃれなレストランやパン屋が並ぶ。

3つの更科蕎麦


この麻布十番には3つの更科蕎麦屋がある。うっかりするとどれも同じ店かと思われるかもしれないが実は全部違う「更科」の店である。
総本家更科堀井、総本家永坂更科布屋太兵衛、麻布永坂更科本店がその3店だ。便宜的に更科堀井、布屋太兵衛、永坂更科本店と私は分けるが麻布の更科蕎麦で待ち合わせはしない方が良いだろう。(笑)
更科堀井と布屋太兵衛は十番商店街にあり麻布永坂更科本店は新一の橋交差点の角にある。


総本家更科堀井さらしな蕎麦
共通するのは更科蕎麦が一押しのお店として成り立っていてどの店もかなりの歴史がある。3軒をはしごするのも一興かもしれない。それぞれ蕎麦の盛は良いので他の物は食べられなくなるのが残念だが。(笑)
更科堀井総本家にて更科蕎麦を食べてみる。真っ白な蕎麦粉(蕎麦粉の芯の部分)を使用するため蕎麦の野趣に富んだ風味はないのだが、上品な喉越しと独特の腰の強さが楽しい蕎麦だ。この店では辛汁が2種類付いてくる。甘口の辛汁と辛口の辛汁だ。辛口といっても藪系のように強くなく、両方とも私には甘めに感じられる。更科蕎麦に合うように調整されている。
【総本家更科堀井DATA】
東京都港区元麻布3-11-4 電話03-3403-3401
総本家更科堀井のWEB


饂飩くろさわ



饂飩くろさわ
麻布十番でうどんを探せばもちろん上記の蕎麦屋でも食べることのできる店は有るのだが、ここはあえてうどん専門店を紹介しよう。厳密には住所は六本木になるのだがこの麻布十番商店街の出口近くにある饂飩くろさわである。
映画監督の黒澤明氏の世界を食で表現しようという蕎麦店永田町黒澤の関連店である。この更科蕎麦の聖地?にあえて蕎麦屋でなく饂飩屋を開いたのが何となく面白い。メニュー監修は蕎麦界のカリスマ高橋邦弘氏。店舗プロデュースは黒澤久雄氏の店である。高橋氏に以前話を伺ったところ「饂飩は蕎麦と違う面白さがあって奥が深い」とのことでそんな想いを饂飩くろさわで実現させたという。東京の翁時代にはうどんもメニューにあったとか。当時のうどんの作り方とは違うが自信をもって薦められるうどんであるという。くろさわのうどんは群馬県の製粉会社星野物産の上質の小麦粉で自家製麺している。日々の気温や湿度を考慮して塩加減水加減を変えるのは言うまでもない。


鴨汁うどん1,050円
定番のざるうどん(525円)は中太の麺が特徴。少し甘めの汁に良く合う。醤油、味醂、出汁の材料にも良質なものが使われていることがうかがえる。小麦の香が高いのは国産小麦もブレンドされているのかもしれない。伸びのあるしなやかな食感が心地よい。
胡麻汁うどんや鴨汁うどんも人気。いずれも注文が入ってから茹でるのでいつでも茹でたてのつやつやのうどんがでてくる。
また現在は夏季限定メニューで有機トマトの冷かけうどん1,050円。紀州産梅干と辛味大根の冷かけ1,050円。鹿児島産牛挽肉カレーうどん1,050円の3種を1日30食限定で提供している。2004年9月末まで。


くろさわ黒豚カレー南蛮1,260円
圧倒的に人気が有るのは黒豚カレー南蛮(1,260円)。鹿児島の黒豚をボリュームたっぷりに使ったカレーうどんが人気だ。しっかりとしたスープは最後の一滴まで飲み干してしまう。カレースープはスパイシーな複雑な風味を感じさせてくれる。快感!熱い夏でもカレーうどん人気は衰えないのはその魅力が周知されているからに違いない。


●麻布十番温泉

麻布十番温泉
お腹がいっぱいになったら少し歩こう。商店街は全長500メートル位だろうか。途中にある麻布十番温泉は天然温泉。浴槽は小さいが都心の真ん中で楽しめる温泉としては貴重だ。何となく下町を感じさせるレトロな大広間でカキ氷など食べるのもお薦め。
【麻布十番温泉DATA】
東京都港区麻布十番1-5-22 電話03-3404-2610
入浴料大人1,260円子供630円午後6時より940円子供410円 
火曜日定休 営業時間:11時から21時まで


●お土産は甘味処で

浪花家総本店
甘党にお薦めが浪花家総本店の鯛焼き。大ヒット曲およげ鯛焼き君のモデルになった鯛焼きが夏でも人気を集めている。ぶらぶら散歩する前に予約をすると良い。また店内は甘味処となっていてカキ氷なども人気。鯛焼きを焼く熱と餡を炊く熱で店内はもの凄く暑い。カキ氷で体内から冷やすのが通。
近くの豆源は豆菓子の老舗。覗くとあれもこれも欲しくなる。ちなみに買ったお土産は鯛焼きの袋に一緒に入れないように。(笑)「豆菓子が湿気る」としかられる。親切である。
たぬき煎餅で焼きたて煎餅も食べたいが・・・もう入らないかも。焼きたてを1枚から買える。
豆源、浪花家総本店、たぬき煎餅と並んでいるから目移りするかも。豆源の前には今川焼き屋もある。この一角甘党には悩ましいかも。

【浪花家総本店DATA】
東京都港区麻布十番1-8-14 電話03-3583-4975 営業時間11時から19時
定休日火曜・第3水曜日 鯛焼き150円



尻尾まで餡がたっぷり
一日居ても飽きない麻布十番は何度でも出かけるたびに新しいものを発見する。2004年の夏祭りは『夏一番 麻布十番 納涼祭り』のキャッチフレーズで8月20日・21日・22日と行われる。午後3時から午後8時30分まで。相当にぎやかなことになるだろう。六本木ヒルズも良いけれどちっと足を伸ばすと夢見心地の十番に出会えますぞ。さて何から食べようか。

【饂飩くろさわDATA】
〒100-0014 東京都港区六本木6-11-16  中銀六本木マンション1F
電話:03-3403-9638(クロサワ) 
営業時間:
平日
昼 11:30-15:00 (LO14:45)
夜 17:00-23:00 (LO22:30)
土日祭日
11:30-23:00(LO22:30)
定休日:なし(年末年始は除く)

営団地下鉄・南北線 麻布十番駅 4番出口より徒歩10分、
都営地下鉄・大江戸線 麻布十番駅7番出口より徒歩7分

饂飩 くろさわのWEB
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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