ラーメン/東京のラーメン

行列必至の店 大喜(東京・湯島)

上野界隈のラーメン人気を上昇させたのはこの「大喜」ではないだろうか?TV番組のランキングで全国1位になり、数百人の行列を作ったこともある。

大崎 裕史

執筆者:大崎 裕史

ラーメンガイド

forMタイアップ食の連載「東京風景、街角の味」 Vol.10

「上野」と「御徒町」と「上野御徒町」

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▲「大喜」の外観は和食の店風
「神楽坂」の時にも書いたが私は“電車人間”なので駅名を中心に物事を考える。しかしながらこの地域はなんだかよくわからない。「上野」「御徒町」という駅が存在し、さらに大江戸線の開通で「上野御徒町」という合体した駅名が誕生。両駅の中間アタリに出来るのならまだしも、御徒町駅のすぐ近くである。そもそもそこには「上野広小路」という駅があり、地図で言うと同じような位置に出来た駅である。もっと言えば御徒町駅のある住所は上野であり、上野の住所は御徒町と秋葉原の中間あたりまで延びている。まぁ、この界隈一帯が「上野」なんだろうと思う。
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▲基本メニューの「らーめん」は魚が効いた和風醤油味。
「上野」と言えば、東北出身(会津生まれ)の私には切っても切れない重要なポイントである。今は違うが「上野」は東北・甲信越の人を受け止める東京への『玄関』だったのである。ほとんど全ての電車が上野終着だった(あるいは始発)。演歌でもそういう歌詞がよく使われている。東北出身者にとって都内では一番馴染み深い街かもしれない。私も親近感のある街だ。

そんな上野界隈には数年前まで人気ラーメン店が無かった。しかし、ここのところ何軒か出てきているのは、この店の存在が大きいのではないだろうか?それが「大喜」である。

最寄り駅は「湯島」だが「上野御徒町」からすぐ

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▲塩味スープに蒸し鶏が入った「とりそば」も上位の人気。
実はこの店の最寄り駅は湯島であるが私は上野駅や御徒町駅を使うことが多い。“上野界隈”のはずれかもしれないが紛れもなく「上野界隈」なのだ。

開店したのは1999年6月。気がつけばもう5年にもなる。開店した当初、ラーメン仲間の間では「いい店、発見!」と話題になった。旨いラーメンが食べられるし、夜はゆっくりお酒を飲んで締めにラーメンを食べられる店だったのだ。ラーメン好きの憩いの場だったのである。

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▲最初に限定で食べた時は衝撃が走った「うめしおらーめん」。今では人気の定番メニュー。
ところが、店でのんびりできたのはホンの短い期間だった。「ここのラーメンは旨い」と評判を呼び、行列ができ始め、酒を飲んでゆっくりと。なんていう雰囲気ではなくなってしまったのである。

さらに、2001年末のTV番組で全国1位になってしまったものだから、行列は記録的に伸び続け、数百人が並ぶことさえあった。整理券を貰って何時間か後に自分の順番になった頃に食べに行くという事態になった。

「ちょっとラーメンでも」という食べ物であったはずなのに、半日がかりじゃないと食べられなくなってしまったのである。1ヶ月もすればおさまるだろうとタカをくくっていたら、大行列は1年ほど続いた。最近ではようやく少し待てば食べられるようになった。こうして私もやっと紹介(お薦め)できる、というわけだ。

お薦めは?と聞かれてもかなり困る!

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▲自家製麺の旨さがわかる細麺の「つけそば」。
和食出身の店主は、材料を豊富に使い、さっぱりしながらもコクのある味わい深いスープを作っている。麺も自家製で朝早くから数種類の麺を作っている。寝る暇があるんだろうか? と心配になるが、実はこの店主、数年間家に帰ってない。店で寝泊まりしてラーメン作りに没頭しているのである。

そんな全身全霊を傾けた渾身の一杯は、文句の付けようがない。スープ、麺、具材、盛り付け。どれを取っても一級品と言える。そして、たくさんあるメニューのどれもが旨い。私はここに行くと毎回迷い、結局毎回2杯ずつ食べる。複数で行った時はシェアしながら数種類を食べる。だから「何を食べたらいいですか?」という質問は勘弁して欲しい。

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▲つけ汁もパンチがある太平麺の「もりそば」。
ラーメン店というのは重労働である。人気が出るまでは店主の努力と頑張りが不可欠である。しかし、人気が出ると店主は経営に回ったり、仕込みに専念したり、あるいは店舗を増やしたりすることが多い。結果として厨房に立つ時間が少なくなり、味も変わってしまうことも少なくない。

全国1位になり、大行列を作った店ではあるが店主は毎日毎時間厨房に立っている。だから味も安定している。いや、実のところ味は行くたびに違う。その違った味がいつも旨いのである。麺もそう。自家製だからいろいろ変わったりもする。その変わったのがまた旨いのである。

スープは安定期に入ってきたと思うがあえてブレさせているような気もする。おそらくその方が常連にも飽きられずに通ってもらえるからではないだろうか。ハイレベルでのブレなら毎日でも通ってそのブレを楽しみたくなるというものだ。
※今回は多くの写真を紹介したかったので「MZ's Website」管理人から許可をいただいて写真を使わせていただきました。ありがとうございました。
■参考サイト
MZ's Website
●同上サイトの「大喜冷やしメニュー2004」

【DATA】店名: ラーメン天神下 大喜 住所: 文京区湯島3-47-2(天神下交差点すぐ、春日通り沿い、コンビニのJUSTSPOTの隣) TEL: 03-3834-0348 営業時間: 11:30-15:00、17:30-21:00頃 祝日昼のみ ※材料がなくなり次第終了  休日: 日曜日 メニュー: らーめん680 ちゃーしゅーめん950 とりそば830 うめしおらーめん780 つけそば750 もりそば750
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【連載】東京風景、街角の味。Vol.9はこちら→→→
■この連載、前回書いた記事はこちら→→→
■御徒町なら「麺屋武蔵武骨」も近い。その記事は→→→
■上野御徒町の「二三太楼」も近い。その記事は→→→
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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