散歩/昭和を振り返る散歩ルート

荷風が愛した浅草から墨東、寺島を歩く(2ページ目)

文豪、永井荷風が愛した浅草から、隅田川を渡り、その東側である墨東地区を歩く。小説、随筆、日記文学の舞台である「玉の井」(現、東向島)を訪ねてみた。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

吾妻橋をわたり墨堤通りを北上

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浅草通りから墨堤通りへ歩みを進める。
アリゾナキッチンに通ったのは戦後の荷風である。時間を巻き戻そう。「墨東綺譚」の取材で玉の井へ通うのは昭和11年のことである。随筆「寺じまの記」で、荷風は吾妻橋のところから乗合自動車に乗る。当時はちょうど吾妻橋西詰(浅草側)がバスのターミナルになっていたようだ。「寺じまの記」によれば、荷風は玉の井へ行く車は二種類あると書いている。ひとつは市営乗合自動車、もうひとつは京成乗合自動車。その名前が車体の横腹に書いてあった。そして、市営は藍色、京成は黄色の車体である。
バスといっても当時は10人くらいの定員だった。荷風は満員で、腰もかけられないだろうと思いながら京成乗合自動車に乗る。
車内は予想に反して、7、8人の乗客しか乗っていない。
この随筆は実に克明にバスの乗客や景色が描写されている。
バスは吾妻橋をわたって隅田川の東側へ。同じように歩みを進める。墨東散歩である。

3
遊歩道があって、歩くのが楽しい隅田公園。公園内には池などもある。
吾妻橋を渡り、吾妻橋一丁目の交差点を左折する。
荷風が乗ったバスはこの先にある本所吾妻橋駅のところで三ツ目通で曲がる。そして源森(げんもり)橋をわっている。
僕はそれよりも手前の墨堤通りを曲がり、アサヒビールの裏手を通り、墨田区役所の前に出る。その先にあるのが枕橋。
高架になっている東武伊勢崎線に電車が走っている。
枕橋をわたるとそこは隅田公園である。
左側は隅田川その東岸に広がる森のような公園だ。

3
牛島神社。境内には牛の像などもある。
隅田公園をどんどん北へ歩くと牛島神社がある。かなり大きな神社である。
狛犬だけではなく、牛の像もある。
神社の真ん中を通っている道路を右へ。言問橋東の交差点がある。
ここから千葉街道を北上する。
このあたりの住居表示は向島になっている。
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