散歩/昭和を振り返る散歩ルート

天丼を食べて、山谷界隈を歩く(4ページ目)

前回に続き、東京のディープゾーンともいえる吉原、山谷界隈を散歩することになった。天丼を食べ、泪橋、山谷堀公園から隅田川まで。戦前の建物が残る街を歩いた。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

山谷掘公園から隅田川に出る

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緑がいっぱいの自然の中を歩く。山谷掘公園。かつてここは川であった。
再び山谷地区に戻り、商店街などを歩く。男たちが地べたに座ってビールなどを飲んでいる。いつもならデジカメで写真を撮りながら歩くのだが、さすがにこの地域ではカメラは危険だと思って、撮影はしなかった。
商店街を抜けると再び、土手通りに出る。ちょうどそこは、さっきお昼をいただいた「土手の伊勢屋」さんのあたり。
斜め前には吉原大門の交差点。かつての吉原はここにある大門からしか出入りできなかった。他の三方は「お歯黒どぶ」という堀がめぐらされていたのである。そのお歯黒どぶの外側は田んぼであった。
土手通りをさらに隅田川方面へ歩くと、山谷掘公園である。ここはもともと吉原へつながる川であって、お金持ちは舟で吉原へ行ったそうだ。
東京には川を埋め立ててできた公園が実に多い。昔は川であったのかと想像しながら歩くのも実に楽しいものだ。
ほどなく、緑の多い、大きな公園に出る。その木々の向こう側は隅田川だ。
この日、川沿いの公園ではホームレスの人たちによる食事会のようなものが行われていた。
きょうは麻婆豆腐をつくるのだそうだ。かなりの人数の人たちが集まっている。

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隅田川沿いにあるアサヒビール本社ビルにあるオブジェ。なぜこんな形になったのか、意外な真相がわかった。
隅田川沿いを対岸のアサヒビールの本社ビルが見える。いつごろだろうか、この金色のウンコに似たオブジェが出現したのは…。いまやすっかり有名な浅草、吾妻橋のランドマークになっている。
そんなビルを見ながら、歩くと浅草である。
公園ではフリーマーケットも行われている。しばしば、われわれもバラけて、あちらこちらを散策。ベンチに座って休んでいると、ケイさんが、
「いまね、人力車の人たちがお客さんに説明しているのを聞いたんですが…」
と教えてくれたのは、あの金色のオブジェの話である。
もともとあれは、炎だったらしい。それが日本の法律では縦に建てられなかったために横になったのだそうだ。あー、なるほど。しかし、横にしたために、ウンコのようになってしまったのだ。なるほどねぇ。おもしろい。
「この先に、隅田川の見えるカフェがありますから、そこに行きましょうか」
とおっしゃる。疲れていたので、反対する者はおらず、行くことになった。


隅田川が見えるカフェでとりあえず散歩は終了

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おいしそうなカフェ・ムルソーのケーキ。天丼をがっつり食べた僕はコーヒーだけ。ここから見る隅田川の眺めは絶品!
吾妻橋と駒形橋の間、ちょうど今きた道から交番を越え、少し歩いたところに「カフェ・ムルソー」はあった。
階段をあがっていくとカフェがある。
隅田川がどーんと見えるカフェである。実に気持ちいい。
僕とたむねこさん以外はケーキセットを注文。さすがに天丼がお腹に重いので遠慮した。
たむねこさんも同様である。
さて、ここで解散かと思ったら、ケイさんが
「さっきのお風呂屋さんに行きましょうよ」
と言うのである。あ、そうそう日本堤にあった風変わりな銭湯。「廿世紀浴場」である。たぶん読み方は二十世紀浴場なのだろう。古い洋館のような建物なのだ。最初はなんなのかわからず、隙間から中を覗いて銭湯であることがわかった。ただし、まだ営業時間ではなかったのだ。すかさず、岡本まーこさんが、さっそく電話番号を調べて電話している。朝寝坊するくせにこういうことは早いんだ。

そして気になった廿世紀浴場で汗を流した

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建物は洋風建築なのだが、ごくごく普通の銭湯として営業している「廿世紀浴場」で入浴した。
「やっているみたいですよ」と岡本さん。あと2名の女子、Rさんとたむねこさんは、ここで終了。ということで、3人で再び日本堤の銭湯をめざした。
風変わりなこの銭湯は、たしかに営業していた。明るいときに見た銭湯とは違って、中に入ると、ごく普通であった。それにしても、番台のおばちゃんも含めて、下町情緒あふれるいい銭湯であった。僕は相当疲れていて、体を洗いながらウトウト。ずいぶんゆっくりと湯につかる。先に出ていたケイさんが、すでに服を着て待っていてくれた。
「ここは昭和5年に開業したそうですよ」
と、しっかり取材もしておいてくれたのには感謝。そうか、伊勢屋さんも残っているし、この一帯が空襲で焼けなかったから、こういった建物が残っているんだ。
いいお湯であった。外に出ると、すっかり陽は落ちている。再び土手通りを歩く。ケイさんたちとは地下鉄三ノ輪駅で別れ、僕は都電荒川線の三ノ輪橋停留所に向かう。電車に乗り込んですぐに眠り込んだらしい。次に気がついたのは、早稲田停留所であった。



<関連リンク>
カフェ・ムルソー
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