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雨の日のジョギングがおすすめな訳とは?

雨の日のジョギングはどうしていますか? 「雨=アウトドアスポーツはお休み」という先入観があるかもしれませんが、季節によっては雨の方がかえって快適に走ることもできます。雨の日ジョギングの工夫と注意点をお届けします。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

雨中のジョギング、何がいい?

雨の日のジョギングの工夫・注意点

緑したたる中のジョギング、気持ちがいいもの。この快感を享受できるのは、雨を厭わず飛び出した者の特権

「雨=アウトドアスポーツはお休み」という先入観があります。学校の運動会は雨だと中止でしたし。皆さん、雨だとジョギングワークをお休みしていますか?

しかし、ジョギングはラグビーやサッカー、ゴルフ同様荒天でも行うスポーツです。大会が中止になるのは、落下物が生じるくらい強風が吹くとか(構造物が飛ばされるような風の中で実施された大会も数多い)、滑って危険なくらい雪が降るとかしないと中止になりません。私も2月ミゾレの中、ハーフマラソンを走った経験があります。冬の雨ならともかく、夏は雨だったら喜んで走りに出たいもの。晴れた夏の日射しの下を走るより、よほど気持ちよく走れます。
 
今回は慣れぬ雨の中を快適に走る、ちょっとした工夫と注意点をまとめました。
   

気温が下がって走るのが楽

暑い夏でも雨が降れば気温が下がります。関東地方を例に取ると晴れれば30度近くまで気温が上昇しますが、雨の日は20度以下。市民ランナーにとってちょうどいい気温です。熱射病の心配も脱水症状に陥る心配もありません。逆に、防水を怠り体を冷やしすぎる心配があるくらいです。
 

湿度があって呼吸が楽

ヒトの肺は湿気を好みます。湿度の少ないからっとした気候の中で激しく呼吸をするとすぐ苦しくなるのは、肺が乾燥してしまい機能が低下するからです。湿気のある空気を吸っていれば呼吸が楽になります。

ヒトは体の水分を減らすと、パフォーマンスが低下します。その補給のために汗をよくかく運動中は水分の補給を怠らないように、と常々注意されていることですが、脱水は汗や尿だけではありません。呼気(吐く息)でもかなりの水分を失います。汗の少ない冬でも脱水症状を起すのはこのためです。

乾燥して暑い中で呼吸をすれば呼気で肺の水分はどんどん失われますが、湿度があれば水分を吸気で補えるので、体が失う水分も抑えることができ、脱水症状も起きづらく体も楽なわけです。

湿度がないと感覚的に走っていて爽快感がありますが、かいた汗がすぐに蒸発して体温を下げてくれるからです。気温が高い上に湿度が高い、じめじめと蒸し暑い中でのジョギングが不快で辛くなるのは、汗をかいても湿度が高いために汗が蒸発せず体温が下がらないため。しかし、雨のせいで気温が20度近くまで下がれば、そもそも体温の上昇が少ないですし、汗をかく前に雨が体を冷やしてくれるというわけです。
 

雨だからこそ集中できる!おすすめはペース走

雨が降っていると、だらだらと走る気がしません。時間を決めて走るならともかく、距離を設定しているならさっさと走りきってしまおうと考えるものです。
雨音で外部の音が閉ざされるとか、視界が悪くなるために遠くに目を配ることが少なくなったり、水たまりのある足もとに気を取られるせいもあるかもしれませんが、あれこれと気が散らず、集中してトレーニングを済ませられる気がします。
この集中できる状況を利用しておすすめしたいトレーニングはビルドアップ、ペース走です。LSDは雨との対話を楽しむ走り、インターバルトレーニングは勢いがないと走りきれません。ある程度の速さを維持して走るペース走はかなり集中力のいるトレーニングです。少しストイックな気持ちに自分をおける雨中のトレーニングに、ペース走やビルドアップがぴったりでしょう。
 

温まるまで関節を雨に当てない

雨天トレーニングを行うにあたって気を付けてほしいことがあります。

気温が高くなると体も動きやすいので、冬に比べてストレッチングやウォーミングアップの時間を短縮している人も多いかと思います。しかし、雨中のトレーニングに出かけるときには、晴天時と同じではいけません。晴天と雨天ではこの時期気温が10度程度異なります。前日までは暑くて簡単なストレッチングで汗ばんでいても、雨天となればそうはいきません。じっくりとストレッチングを行い、スピードを上げるにも晴天時よりゆっくりと上げてください。

特に問題が生じやすいのは膝関節。冬と違って、ウォーミングアップの段階から膝の出るパンツで走り出す人もいるでしょう。気温が低いだけでなく、水分が最初からあたるので余計に皮膚温が下がります。すると、もっとも起こしやすい障害が膝関節炎です。

関節の動きは、関節まわりに滑液が分泌して滑らかに動き、関節の擦り減りを防ぐのですが、冷えたままで走り出せば滑液の分泌が十分でなく、関節と関節が直接擦れ、たちまち関節炎になるということになります。

そこで、膝のストレッチングを十分に行うと共に、ウォーミングアップも2~5kmぐらい汗ばむまで行います。また、直接雨が関節に当たらないようにロングタイツを穿くか、ウォーミングアップ時はオーバーパンツを穿くようにします。スタート前にストレッチングの後、軽くスクワットなどで膝を動かすとともに体を温めるのも有効です。
 

関節にワセリンで直接防水

ウォーミングが終わってからの本トレーニングにショートタイプのパンツを穿くときは、膝に直接雨が当たることになります。こうした場合にも膝関節を保護するために、膝とその周囲に雨をはじくワセリンを塗っておきます。もし上も肘関節や肩関節が露出するTシャツやランシャツで走るなら、肘や肩にも塗っておくといいでしょう。

最初から雨に当たることで、指先や手の甲の皮膚もふやけてしまいます。指や手の甲、顔にもワセリン系の水をはじくクリームやオイルを塗っておくといいでしょう。
 

交通事故に注意!フードは被らない

強い雨の中や長く走るなら、ジャケット着用でのジョギングをおすすめしたいもの。ジャケットにはフード付きもあります。雨はかなり汚れており(特に林のしずくは葉につもった汚れを含むので、降り始めのしずくは要注意)頭を保護することはおすすめしますが、フードは左右の視界を妨げるので使用せずキャップを使ってください。雨が弱かったり20~30分で終わるならメッシュ地でも構いませんが、強い雨なら撥水生地を用いたものがいいでしょう。

雨天時は、ランナーからの視界も悪くなりますが、車からの視界も悪くなり、傘を持った自転車も運転がふらついており、歩行者は傘で視界が悪く音が聞こえにくくなっています。一般道路を走るときには特に注意してください。夜間でしたら必ず反射テープが付き、明るい色のウエアで走りましょう。
 

雨の時に走る場所は?

雨で気になるのは足もとです。ぬかったり泥水たまりができるようなところは走りたくありません。舗装路ならまずいいですが、自動車に水を撥ねられるおそれもあります。

私がもっともおすすめしたいのは、ウレタン舗装したトラックです。シューズが汚れないのとクッションがあるので、水はけの良いスピードトレーニング用シューズを履いて走れるのがその理由です。2番目には公園内の舗装路。雨天時は歩行者も自転車も減りますから、ほとんど独占状態で安全に走ることができます。

逆に走りたくないのは、未舗装路や歩道のないロード。自動車から水をはねられたり歩行者の傘を除けたりと気持ちが落ち着きません。皇居周回路を利用するランナーが増えて、普段は狭い箇所などでランナーがつながることもあるようになってきましたが、雨なら出てくるランナーもぐんと減ります。皇居周回路などはそれこそ「雨だ!しめた!」のトップに推薦したいコースです。
 

長めのジャケット上だけが基本

雨天ジョギングは保護とおしゃれでコーディネートしてください。色は明るく、水はけと防水機能と排水力がポイントです。走る上で、もっともよく動かすのは脚。雨とはいってもパンツに脚の動きを束縛されたくありません。

下は、軽い雨~短いトレーニング時間ならショートパンツでもいいでしょう。ただし、走り始めはオーバーパンツを穿くなどの注意を。強い雨~長いトレーニング時間ならロングタイツ。

上は、軽い雨~短いトレーニング時間なら半袖シャツ(やや厚手のものを)~ロングシャツ、強い雨~長いトレーニング時間なら、強くなる順に薄手ジャケット、撥水性のある生地のジャケット、防水透湿性のあるジャケット(ゴアテックス生地など)となります。丈は長めの方が腰の冷えを保護してくれます。
 

シューズ選びは雨の量とコースで変える

左は周囲をぐるりと防水素材でガードしたジョギングタイプ。右はソールとの継ぎ目からすぐにメッシュ素材のアウターが使われているタイプ。このほうが濡れても軽い
左は周囲をぐるりと防水素材でガードしたジョギングタイプ。右はソールとの継ぎ目からすぐにメッシュ素材のアウターが使われているタイプ。このほうが濡れても軽い
シューズ選びは、走る条件によって正反対になります。雨が少なく(小さな水たまりが少しできるくらいまで)、走る距離もせいぜい10km程度という場合には、足が濡れるのがいやなら周囲をぐるりと防水素材でガードしているタイプ(ジョギングシューズに多い)を選びます。足の中の濡れを感じるくらいになったらトレーニングが終わっているでしょう。

雨が多く、シューズが濡れるのが避けられないときは、あえて軽量のメッシュ素材が周囲にも使用されているモデルを選びます。このタイプのシューズですとあっという間に足は濡れてしまいます。しかし、水はけがいいですからあまり重くなりません。ジョギングタイプですと水はけが悪く、足を保護するためにスポンジもたくさん使われているので水を吸って重さが増してしまいます。

夏用のシューズには、通気性を上げるためにアウトソールからインナーまで貫通孔をつけたタイプのモデルも増えてきました。このタイプで水たまりを踏むと一発で足底が水浸しです。足の甲や側面から濡れるのではなく足底から濡れるのがどうもいい感じがしないのですが、水たまりが避けられないレースなどであれば、構わないと思います。練習時には孔なしタイプをおすすめしておきます。

どうしても濡れるのがいやだという方には、ゴアテックス素材を使ったジョギング用シューズもありますが、通常使うときはやはり蒸れるようです。トレイルラン用ゴアテックスシューズはいくつも出ています(ノースフェイス、バスク、ミレー、メレル、モントレイルなど)。一般舗装路を走るには、トレランシューズは重量感がありますが、走れないわけではありません。

靴下も濡れます。濡れれば重くなりますから、水を吸わないようにローカットタイプで生地の厚さも薄いモデルを履くといいでしょう。
 

防水携帯・スマホもできれば準備を

ジョギング中も携帯電話が手放せない人もいると思います。
防水機能のない製品でも、透明ポリエチレンの小袋にでも入れておけば、十分に雨中ラン対応します。

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