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ピーキングマラソン成功のコツ!レース当日は絶好調!

ピーキングとは、マラソンレースを成功させるペーストレーニング。「絶好調は1週間前にやってくる」。これは私の経験から生まれた自作の標語です。ランニングの大会当日に調子を合わせるために、練習の期間からピーキングを行いましょう!

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

ピーキングとは? マラソン当日に「絶好調」を持ってくる!

ピーキングマラソンのコツをレースや練習で活かす

常に自分の体と対話しながら歩を運び、コンディションを管理する

 
 
「絶好調は1週間前にやってくる」。これは私の経験から生まれた自作の標語です。目的の日、目的の時間に好調のピークが来るように管理調整することをピーキングといいますが、慣れるまではどうしてもピークが早めに来ていたように思います。

そこで今回は、レースで最高のパフォーマンスを発揮するためのピーキングについて紹介します。練習距離が長い方はサブスリーを目指す方、短い方は3時間30分位を目指す方にほぼ合っていると思います。
   

3ヶ月前からのコンディショニング:1週間のリズムと1ヶ月のリズムの組み合わせで

マラソン向けの練習距離は月間距離が同じなら、毎日平均的な距離を走るよりも、1週間の中で強弱をつけたほうがいいということは走り込みをして、大会デビューを果たす!で紹介しました。

例えば月間300~400km程度の走行距離であれば、週末に1回20~30km走を入れ、月~金は走る日(10~15km程度)と休憩の日(ストレッチングだけ~5km程度のジョギング)を組み合わせるというものです。それを1週間のリズムと考えます。このリズムを繰り返しますが、4週間に1度くらいは週末の距離を30~40km程度に伸ばします。

週末の距離が30~40kmの週をA、20~30kmの週をBとすれば、直前3ヶ月の組み合わせをこんなリズムで構成します。

A-B-B-B-A-B-B-B-A-B-b-b-
 

週末の練習で長距離レースのバイオリズムを生む

「A-B-B-B」が1セットになっています。暦との関係で、AとAに挟まるBの週の回数は、暦や事情によって2週になっても4週になってもいいですが、1週では短すぎで、5週では開きすぎです。

太字のは、目的とするマラソンレースのある週です。小文字のbの週の週末には、10~20kmのレースを入れてちょっと刺激を与えます。このような周期を繰り返すことで、「週末に長距離を走る」バイオリズムが生まれてきます。1セット目にくらべて、2セット目、3セット目と調子が上がってくるはずです。
 

やってはいけない短距離レースのラストスパート

3セット目のレース前週か前々週(小文字のbの週)に、できればハーフのレース、都合がつかなければ10kmのレースを設定します。

自分の経験からすると、走力のあったときには前週にハーフのレースを走ると丁度いい感じでしたが、他のランナーに聞くと前々週でないとハーフでは長いという人も結構いるようです。私も走力が落ちてからは、前週は10km程度にしています。

この前週または前々週のレースを走るときに重要な注意があります。それは、絶対にラストスパートしてはならないということです。実はこの時点では調子が上がってきていますから、かなりいい感じで走れるはずです。自己新が出るようなペースで走れると思いますが、ライバルと競りあったりし、全力のラストスパートなどしてしまうと疲労を残します。10km、5kmのレースといった短い距離のレースのラストスパートは、かなりの筋肉痛を残すことになるでしょう。筋肉痛が残った状態でレースに出ても好結果は期待できません。結果的に「絶好調が1週間前」にやってきてしまうことになります。

体を改造するためのトレーニング段階では、筋肉痛が残る程度まで追いこんだエクササイズでなければトレーニングの意味がありませんが、この段階で大事なことは、いかに疲労を抜いて好調を維持するかです。
 

ハーフレースの記録から降るレースのペースを設定

1ヶ月前、2ヶ月前あたりで、30km~フルマラソンという長距離のレースに出る人がいますが、それはあくまでも本命のレースのためのトレーニングと位置付けて走るようにすべきです。出るレース、出るレース精魂尽きるような走りをしていては、疲れがたまってしまいます。

ただし、ハーフマラソンレースは、直前3ヶ月以内にぜひ1度走ってみてください。その理由は、ハーフマラソンの記録からフルマラソンのタイムをかなり正確に推定できるので、フルマラソンレース時のペース設定に大いに参考になるからです。

ハーフマラソンの記録を2倍し10分を足すと、フルマラソンを2時間30分から3時間30分程度のランナーのフルマラソン記録になります。個人的な誤差はプラスマイナス3分程度でしょう。ただし、特異な気候や坂道の多いコース、スタート時の渋滞の影響は別途に考える必要があります。

基本的には、ハーフマラソンの記録×2+10分ですから、サブスリーを達成するには、ハーフマラソンを1時間25分以内で走れる走力が必要ということになります。また、フルマラソンレース時のペースは4分15秒となります。前半をこれより早いスピードで入ると、後半にそのつけが回ってブレーキを起こす可能性が高いことを頭に置いてください。
 

直前1週間の調整:レース当日に疲労と筋肉痛を持ち越さない

ピーキングマラソンはレース直前練習でクールダウン

直前の練習はほどほどに。スピード練習は、10日前で終了に

 
 
大事な大事な仕上げの直前1週間です。もうここに来て走力を付けようとしても無駄なことです。前週にレースに出たらその疲労を抜くことを第一に考えます。第二に、毎日しっかりと十分にストレッチングを欠かさないようにして、体の柔軟性と体液の循環を滞らせないようにします。

腕立て伏せ、腕振り、腹筋、腿揚げ、かかと上げといった、継続してきている筋トレは筋力が低化せず、それでいて筋肉痛が残らない程度に続けます。
 

週前半は脂肪が付かない程度に運動

ランニングは、週の前半(月~水曜日)は体が脂肪代謝を忘れないように、ということを目的として行います。フルマラソンレースに予定している設定ペースで、5~10km程度走ればいいと思います。走る時間がなければ脂肪代謝のために、よく歩くようにしましょう。

食事は普通に、といっても通常の量が一般の人に比べると多いと思うので、運動量を落とした分だけやや量を少なめにしましょう。消費エネルギー量にくらべて摂取エネルギー量が超過すると、たちまち体重増加を招きます。
 

週後半は大いにカーボローディング

直前の3日間は走っても5kmのジョギング程度です。数日前にスピードチェックとばかり5kmレースのペースで走って故障を起こし、大事なレースを直前欠場しなければならなくなった有名選手もいました。フルマラソンではそんなスピードで走る場面は生じませんから、直前にウインドスプリントのようなことをする必要はまったくありません。

食事は、お腹を壊さない程度に量も質も大いに充実させます。炭水化物以外の栄養は木曜日から充実させましょう。カーボローディング(炭水化物の充填)についてはいろいろと試してみました。ローディング開始(パン、ご飯類を通常の2倍弱程度に増やす)を木曜日の朝食から金曜日の昼食までと、いろいろ変えて試してみましたが、木曜日スタートでは体重が付きすぎるようです。金曜日スタートで十分ではないかと思います。これは個人差がありますから、各セットのAの週に試しておきましょう。
 

レース当日のピーキング:脂肪代謝が始まるには時間がかかる

ピーキングマラソンは脂肪燃焼期間も大切

カーボローディングも3ヶ月ぐらい前から週末ごとに練習しておく。

 
 
体脂肪計でこまめに測定している人はご存知と思いますが、体脂肪は朝に高く、夜に低くなります。体の活動が低化する就寝中にエネルギーが体脂肪化するわけです。血液中の血糖値が低くなるために寝起きは頭が働かず、朝のランニングではスピードをあげようとすると体が動かないだけでなく苦しいことになります。

脂肪が燃焼する脂肪代謝がある程度始まるまでに2時間、順調に代謝活動を始めるまでに3~4時間を要します。そこで、走る時間に合わせて食事を摂るようにします。
 

次第に消化の良いものを食べる

東京マラソンを例に取ると、スタートは9時10分ですから4時間前は5時10分ということになります。これより早く食べ始めると、消化しすぎてしまうおそれがあります。

走り終わるのは、12時10分です。その4時間前は8時10分ですから、栄養を摂取する時間帯は5時10分から8時10分の間の3時間ということになります。しかし、胃を通過するまでに少なくとも1時間30分から2時間はかかるようです。食べ物が胃に残っていると走りにくいし胸郭を圧迫して呼吸がやや苦しくなります。そうなると、スタートの1時間30分前からはあまり食べるわけにはいきません。

そうなると必然的に、食事は5時10分から7時40分までの間ということになります。この間なら、ご飯や餅などを食べて問題ありません。この時間帯の中で一度に食べるのではなく、食べ続けるようにします。30分におにぎり1個というようにすれば、4つぐらいは誰でも食べられるでしょう。消化の良いバナナならスタート1時間ぐらい前まで、ゼリーなど特に消化が良いものなら、スタート直前30分前くらいまでは食べても大丈夫です。ただし、こうした消化の良い食品は消化が良すぎるがゆえ、スタート2~4時間前には食べるべきではありません。
 

マラソンレース前のウォーミングアップに走りすぎない

私はフルマラソンのウォーミングアップで2km以上走ったことはありません。スタートからかなりのパフォーマンスを発揮するには5km程度のウォーミングアップが必要だと思いますが、それプラス42kmを走り通すパフォーマンスを持ったサブスリーレベルのランナーは、まずいないといっていいでしょう。もし平気で走りきるランナーなら、おそらく2時間40分程度で完走してしまうでしょう。

というわけで、ウォーミングアップのジョグは1kmでも結構です。サブファイブ狙いの初心者ランナーなら、500mぐらいにしておいてほしいぐらいです。そのかわりレース初めの5km程度はウォーミングアップのつもりで走ることです。

一般に5~10km程度のレースは、ほぼスタート1時間ぐらい前にシャツを取り替えるくらいまで汗をかくウォーミングアップ走をしますが、フルマラソンではせいぜいやや汗ばむ程度です。ただし、ストレッチングは入念にやっておきましょう。筋肉に長時間、単調な動きを強いることになります。入念にほぐしておきましょう。あとは、トイレを済ませ、水分補給をしておくこと。

このようにレース中を最高の状態に持って行くことを考えると、受付、着替えなども含めて会場には、1時間30分から2時間前に到着しているのがよいです。移動中に食事の設定時間がきてしまうなら、この際多少行儀が悪くても移動しながらエネルギーを補給してください。

このような食事も含めた1週間前からのコンディショニング、当日のピーキングについても3ヶ月くらい前からの「A」の週の週末ごとに試すようにおすすめします。

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