ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソンの走り方、トレーニング

市民ランナーこそ、格好のいいフォームで!(2ページ目)

良いフォームは、「健康」「スタミナ」「シューズ」を長持ちさせます。脂質と環境に恵まれない市民ランナーこそ、お金も時間も不要なランニングの武器、「良いフォーム」を身につけるべきだと思いますよ。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

歩幅をひろげるために

足が長くなれば歩幅が広がります。そんなうまい話があるんでしょうか。残念ながらありません。しかし、足を長く使う方法はあります。足は長くはならないけれど長く見せることはできます。

まず、該当する方は故障を防ぐためにも絶対にやってほしいのですが、それは、O脚、X脚の矯正です。足を曲げて走っていれば、それだけ足を短く使っていることになります。さらにO脚X脚は、膝関節が屈曲した内側を圧迫し半月板損傷などの故障の原因となります。「自分は、早く走れなくてもいいんだから、細かいことを気にして走りたくない」という方も故障予防のためにこれだけは治すようにしてください。ソールの減り方も、片減りしなくなるので断然長持ちします。

フォームづくりは、次の点を注意します。

膝をやや曲げたときに、膝が向かう方向に真正面に向かっているようにします。足もがに股や内股のおいらん歩きにならないように、かかとの中心から親指と中指の間に引いた線がそのまま進路方向に向かうように着地します。これで少し足を長く使うことができました。

加えて、足の支点をおへその下、漢方で言う「丹田」のあたりに持ってきます。股の付け根ではなく、さらに15~20cm程上の体の中です。骨盤も足の延長と考えるわけです。そこを支点と考えて足を振ることによって、足はさらに長く使えるわけです。

足を長く使うフォームは走るときだけでなく、日頃の歩行時からこころがけてください。初心者のフォームづくりによい練習になるし、歩く速度も速くなります。

ピッチを早めるために

腕振り
千手観音ではありません。2枚の写真を合成。腕の付け根を支点にして、肘が弧の軌跡を描く。力まず滑らかに、振り子のように
振り子の時計をご存知でしょうか? そうです、おじいさんの大時計です。振り子時計のピッチ調整は振り子に付いたおもりの上下で行います。重心を上下させるわけです。メトロノームも同じ原理です。ランニングのピッチ調整も同じことです。

それでは体の振り子はいったいどこにあたるのでしょうか。それはもちろん手と足です。手と足の重心を下に下げればピッチは遅くなるし、上げれば速く動かせます。人の体の重心をそんなに簡単に変更できるものでしょうか?

まず、腕ですが、腕を伸ばすか肘で鋭角に曲げているかでだいぶ違います。伸ばしていれば重心は手先に近くなりピッチはゆっくりになります。曲げていると重心は肩に近づき速く振ることができます。それなら曲げていたほうがよさそうなものですが、長い時間曲げていると疲れるし、腕だけ速く振っても、呼吸や足の運びとバランスが取れていなければどちらかが先に疲れてしまいますから、マラソンでは速く振ればいというものでもありません。しかし、足が疲れてきたりラストスパートでは、足の動きを腕振りがリードするという局面になります。レースでは足に合わせても練習時には、しっかりと腕を振って腕振りのトレーニングとします。

足も多少重心を上げられます。もちろん肉体的にふくらはぎが細くて腿が太いほど重心が上がるのですが、そうした肉体改造は時間がかかります。

ひとつの方法は、蹴り上げた後、高い位置で前方に振りだすことです。高くなった分だけ重心が上がり(振り子が短くなり)足を速く運べます。このフォームは初心者が長時間維持できるフォームではないかもしれませんが、理屈として覚えておいてください。

もうひとつ物理的な方法として、軽い靴、軽い靴下を履くという方法があります。軽い靴だと速く走れる理由は、重量の点で有利だということだけでなく、ピッチを早められるということにもあるのです。逆に、トレーニングでは、負荷をかけるためにあえて重いシューズを履くこともあります。同じ理由で、練習時にはロングタイツでも、レース時にはランニングパンツのほうが有利です。ハイレグタイプのウエアは尚更有利ということになります。

腕は肩を支点に弧運動

女性ランナーに多いのですが、腕がほとんど横振りになっている人をよく見かけます。腕振りは足振りの補助運動ですが、足を前後に振っているのに腕を横振りすると、折角前後に振っているパワーを減衰させてしまうことになります。

もうひとつよくみられるのが、肩を振るフォームです。肩を振るとそれだけ体幹をひねることになり早く疲労します。

腕は、肘を直角くらいに曲げて肩を支点に前後に弧を描くように滑らかに振ります(「前後」にとは言うものの、ヒトの体の構造上、前後には振れず、やや斜め前に振ることにならざるをえません。無理をしてまで前後に振らなければならないということではありません)。

>>軸をぶらせない>>
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