文章:川頭 広卓(All About「プロレス」旧ガイド)
狭き業界に光明、企業家が踏み出した一歩
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| スーパーバイザーに蝶野正洋を迎え、新たなプロジェクト『プロレス・エキスポ』が動き出した—— (C)kawazu |
その発祥こそ海外に譲るも、日本で進化・成熟を遂げたプロレス。この“プロレス=ProWres”を世界に広めるべくプロレス・エキスポ実行委員会なる組織が結成され、今年の10月24日&25日には、両国国技館で『ProWres Expo 2008 in Japan』が開催されるという。
運営母体は、若手企業家を中心とした志成会という勉強会の有志メンバーで、彼らの手によって誕生した法人組織 フリーバーズインターナショナル・ジャパン(以下、FBIジャパン)は、プロレスを通じた社会貢献や平和のメッセージを発信するといった大義を掲げている。
やはり注目すべきは、企業家集団のプロレス参入になるだろう。企業によるプロレス参入といえば、かつては、メガネスーパーの参入=SWSの設立が有名だが、この時は、プロレス専門誌が利己的で一方的なバッシングを展開。大手企業の業界参入というまたとないチャンスに、外様に厳しく“プロレス村”と揶揄される狭き業界の悪しき習慣を露呈した過去もあった。
しかし、昨今では、ゲームソフト会社で上場企業でもあるユークスの手によって、子会社となった新日本プロレスがドラスティックに蘇った例もあるだけに、このご時勢、企業家の業界参入は手を挙げて喜びたいところ。依然として蔓延る閉鎖的な体質や、プロレス人気の停滞を打破するような施策を期待せずにはいられない。
もちろん、プロレス的観点から見れば、両国国技館での2連戦が、興行的に決して楽なモノでないことは誰の目にも明らかだろう。だからといって、その粗探しをしては「ノウハウがなければ無理」、「この業界は簡単ではない」と鼻で笑うことができるだろうか?仮にそういう発言をする団体関係者がいるとすれば、そこにあるのは、狭くとも居心地のよい自分達の庭を荒らされたくないという、つまらない保身でしかない。
FBIジャパン(=志成会)は、中小企業の経営者や、その後継者で構成されているため、潤沢な資金を有し、鳴り物入りで業界参入を狙った訳ではなく、無論、彼らの道楽でもない。本件のリリースが流れてすぐは、様々な憶測も飛び交ったが、それぞれ本業を抱えている企業家達が、それでも尚、この業界に参入した決意、踏み出した一歩は、迎合すべき新たな可能性の広がり。何より、彼らが新日本プロレスや蝶野正洋、ZERO1-MAXを動かすだけの構想や熱意を持ってことを鑑みれば、そこにネガティブな噂は必要だろうか?
事実、FBIジャパンは、上記2団体の協力を取り付け、興行のノウハウを確保。蝶野正洋という海外戦略にはこれ以上ないアイコンを据え、両国国技館を埋めるべくいくつもの仕掛けや選手の参戦を推し進め、その他にも、猪木クラスを動かす強力なバックアップも得ているという。
経営学の第一人者、ドラッカーの言葉を借りれば、「企業家とは、定義的にいえば、生産性が低く成果の乏しい分野から、生産性が高く成果の大きな分野に資源を動かす者」。中国を始めとした世界進出も、決して夢物語ではないのだろう。彼らは持てるビジネスモデルをプロレス界に還元してくれようとしている。
FBIジャパンならびに「プロレス・エキスポ」に関しては、今後も取材を続けていくつもりだが、まずは、新日本を、蝶野を、ZERO1を突き動かした、彼らの言葉をそのままお伝えしよう——。
FBIジャパン発足記者会見の全文再現は
次ページより。
[※次号=FBIジャパン・大野禄太郎インタビュー掲載]