文章:川頭 広卓(All About「プロレス」旧ガイド)
猪木の怒りを聞く――。
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| IGF旗揚げ後は、積極的にプロモーション活動を行っているアントニオ猪木。IGFへの想い入れは、周囲が思っている以上に強い (C)kawazu |
アントニオ猪木は、相変わらず怒っていた。
もちろん、猪木のことだから、これからも近代のプロレス界を認めることはないだろうし、自らの軌跡を振り返っては、「今のプロレスは・・・」なんて、小言を言い続けるに違いない。
昨年、猪木はIGFという自前の団体を持った。新日本プロレスのオーナー時代に比べて、その立場は同じようでも大きく違う。なんだかんだと言いながら、マスコミへの露出や、その言動を見れば、本人のやる気がそれなりに伝わってくるから驚く。猪木は猪木で近代プロレスの善し悪しを見極め、IGFを盛り上げようと懸命だったりするのだ。
しかし、お世辞にもIGFという団体が、“猪木の語るプロレス”を体現しているとは言い難い。昨年旗揚げしたばかりの団体に、それを求めるのは酷なのかもしれない。だが、猪木が関わる団体の宿命とも言うべきか、その期待度は高く、注目を集めるのは必然と言わざるを得ない。
そんな周囲の期待を察したのか、1年の助走期間を経て、2年目を迎えたIGFは、さっそく大勝負に打って出た。6月23日、25日に初の北海道遠征を行い、8月15日には2度目の両国国技館大会を決めたのだ。
聞きたいことは山ほどあるのだが、計らずも団体の存続を懸けた大一番を前に、そのプロモーションを兼ねた猪木の個別インタビューが許された――。
――IGFを一年間やってきましたが、当初描いていた理想に対して現状は何点ですか?「難しいなあ、本当に。ただ、思い通りにいかないのが人生だから、どうしても100点満点じゃないけど、それ以上を望んでしまうわね。まあ、一般の評価や期待感という部分では、去年思っていたものからだいぶ変わったな」
――評価できるレベルに達したということ?「俺自身としては、もっとプロレス界に大きな波を起こしたいんですけどね。いかんせん、人気が落ちてしまったというか、客離れを起こしてしまったというか・・・」
――それは、プロレス自体の?「まあ、プロレス自体は、皆知っているし、プロレスが好きだっていう人は山ほどいるんだけどね。昨日も500人くらいの講演があったけど、お爺さん、お婆さん含めてね、皆、まあ、プロレスの話を理解できるんですよ」
――プロレスを知っている方は多いけど、その先につながらないということですね。「この一年は厳しいからこそ、一生懸命客を入れてね。ただ、無料券じゃダメ。本当に最悪なことに、今は逆のサイクルが回っているんだよね。やることなすこと、どんどん後ろにいっている。プロレスが苦しい、カッコつかないから無料券ばら撒く、益々人が離れていく。一回、無料券貰ったら、次からは金払ってこなくなるでしょ?」