K-1・PRIDE・格闘技関連情報

更新日:2005年01月25日

リングス活動休止から3年。カリスマの次の一手は何か 前田日明再浮上の背景(上)

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リングスの創始者前田日明が、三年ぶりに表舞台に浮上した。本格復帰への狼煙なのか、単なる顔見せに過ぎないのか? その背景にある構図と、前田が業界にもたらした功罪について分析する。

文章:井田 英登(All About「K-1・PRIDE・格闘技」旧ガイド)
前田日明
前田の行く所、常に旋風が吹き荒れる。“マット界の風雲児”に再起のチャンスは巡ってくるのか

唐突すぎた「プロレス界」復帰

今月23日、リングスの創始者前田日明が、>新しいプロレスイベントのスーパーバイザーに就任することを発表した。

リングスと言えば、格闘技ブームの原点であり、今もリスペクトを表明するファン、関係者が絶えない。それどころか現在も多くの現役格闘家が、UWF、リングスの影響を強く語る。いわば、前田は格闘技界最後のカリスマといっていい存在だ。

しかし、そのリングスはPRIDEの躍進の煽りをモロに被る形で、2001年2月活動休止。以来、前田自身は水面下に潜った形で、数本の雑誌インタビューや、TVコメンテーターとしての仕事以外、格闘技界的には音沙汰が途絶えていた形。その際に口にしていた「第二期リングス」の構想とは、大きくニュアンスの違う今回の発表に、前田の再始動を熱望していたファン達は肩すかしを食ったような気持ちになったのではないだろうか。

そもそも前田の存在を際立たせてきたのは、既成のプロレスビジネスに対する反感であり、常に改革者としてのイメージが強い。まして今回の発表では、このイベントの中心となるのは前田当人ではなく、新日本プロレスを十月に退社した上井文彦元取締役。上井氏は新日本プロレス在籍当時、ジョシュ・バーネットやエンセン井上ら格闘畑の選手をプロレスのリングに投入した他、リアルファイトである「アルティメット・クラッシュ」を実現するなど、旧態依然とした新日本プロレスに“格闘技エッセンス”を投入したことで知られる。またK-1やパンクラス、PRIDEなど格闘技団体とも積極的に交流を押し進めた、斬新なプロデュース手腕で知られる人物でもある。

その上井氏と前田のコラボレーションが実現するとなれば、リアルファイトのイベントになるのでは?という憶測が格闘技業界サイドからは出そうになるが、当の上井氏はこの記者会見で、そうした推測を全面否定。「プロレス界の復興、最強の集まるリング」をテーマにした従来のプロレスの範疇でのイベント開催を言明している。天龍源一郎、高山善廣、鈴木みのる、佐々木健介らのフリー系のプロレスラーの他、新日時代親交の深かったK-1から選手を借り出して年間20試合前後のシリーズとして開催するという。

そもそも上井氏と前田の交流は古く、旧UWFの営業マンとして“同じ釜の飯を食った”関係でもある。その後、UWFを新日本プロレスが吸収合併した際にも行動をともにしている。要するに、上井氏の今回のイベントはUWF、あるいは新日本プロレス初期にあった格闘色の濃いプロレスの復活を目指す物らしい。

30年近くプロレス枠での活動を行って来た上井氏はともかく、前田自身は1991年のリングス旗揚げ以降、「自分のやりたいのは格闘技であって、プロレスではない」と、一回は決別を宣言したはずの身。プロレス業界に対して、複雑なルサンチマンを抱えた言動が“売り”だっただけに、(現役選手ではないとしても)プロレスサイドに復帰するというのは、ファンの側からすると若干理解に苦しむ行為ではある。

そもそもリングス時代も、前田はプロレス界から一歩も出ては居ないという考え方もできるだろう。彼のプロイズムは競技に徹した格闘技というより、観客にどれだけの興奮と感動を持たせて帰らせるか、という所を大事にしており、彼のリングスでの試合も、厳密な意味での“競技”ではなかったと指摘する声も多い。

事の真偽はともかく、前田自身は常に自らの属する場所をプロレス/格闘技を広く包合した「マット界」と呼ぶ事が多かったのは事実。常にプロレス界でのトピックスにも目を配り、「マット界」全体を視野に入れた経営戦略を取り続けた。よくも悪くもプロレスの「重力圏」から完全に離脱できなかったことが、リングスの初期の興隆を生み、そして最終的には活動停止に至る衰亡を呼んだのではないかと僕は考えている。

その意味では、プロレス団体のアドバイザー的ポジションで前田が復帰しても、驚くには価しないという考え方もできるのだが。

(執筆者:井田 英登)

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