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更新日:2004年07月22日

エースの引退発言、判定誤審問題MAXの危機を分析 魔娑斗陥落、どうなるMAX?(上)

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魔裟斗の敗退によって“K-1最後の砦”MAXの隠された問題点が一気に噴出した。物議を醸した延長戦問題や、エース魔裟斗の引退発言の深層などを徹底分析。

プアーカオ登場で、MAXは真の“World”時代へ

だが、そこに伏兵は居た。
パワーファイターの豪腕を掻い潜った魔娑斗と同等、あるいはそれ以上のスピードを持ち、なおかつ相手と決して正面から撃ち合わない軟投タイプのムエタイファイターこそ、魔娑斗の鬼門だったのである。事実、2000年末のタイ国王の生誕記念ムエタイ大会に参戦した際にも、魔裟斗はスリヤー・ソープルンチットに前のめりな攻撃リズムを分断されて、ガタガタの試合をやってしまった過去がある。全日本キック所属時代から言われ続けたことだが、ヨーロッパ型の魔裟斗にとってムエタイスタイルは鬼門なのかもしれない。

さらにいえば、プアーカオは一発で倒す大砲タイプの武器こそもたないが、ニ回戦の小比類巻戦でも見せたとおり、勝負どころに膝を連打で叩き込んでくる緩急をもった選手。単に試合終了までだらだらとポイントを稼いで終わりという凡百のムエタイ選手とは違う。

実際、この大会前に日本で闘った3.21新日本キック興行での >vsフジ・チャルムサック戦4.7 ジャパンGPでのvsジョーダン・タイ戦での闘いぶりから、彼を優勝候補の一角と考えなかったのは我ながら恥ずかしい。

今回の優勝を機にプアカーオの戦績を逆に辿ってみて、面白い材料が見つかった。二年前の12.14タイのルンピニ-スタジアムで行われた>「TOYOTAタイランド・ムエマラソン」という、140ポンド(63.5キロ)・トーナメントという8人トーナメントでプアカーオは、当時全日本キックのライト級エースであった小林聡を破って優勝しているのである。小林はこの直前の9月に以前、このAllAboutのクローズアップ記事でも紹介したサムゴー・ギャットモンテープに敗れたばかりであり、僕自身「ああ、またムエタイに負けちゃったか。小林調子悪いんだな」ぐらいの受け止め方をしていなかったのだが、今考えれば小林を破った新星として彼の存在をもっとマークしておくべきであったのだ。

五十嵐vsプアカーオ
プアカーオの初来日は2002/4のJ-net五十嵐幹志戦。肘でTKO勝利を飾っている。
今回魔娑斗を苦しめたミドルの威力も、それだけでもMAXの頂点に立つことのできる必殺の武器だった。この距離では魔娑斗にもパンチという武器があるが、実際有効打として相手に叩き込まれた数、そして威力を考えると、プアーカオがこの試合を圧倒していた事は言うまでも無い。これに接近戦での膝をくわえると、どう考えても魔娑斗がゲームを支配できた側面はほとんどなかったと言うしかない。

ヨーロッパ型のパンチャーとも十分撃ちあえる、22才のこの新たなムエタイのニューヒーローが、実は魔裟斗のファイトスタイルに憧れをもち、かねてから対戦を熱望していたという事実にも、僕は新鮮なものを感じずには居られない。

かつて日本のキック選手は、こぞって500年の歴史を誇るこの伝統競技の後継者達を見上げ、彼等を打倒する事に血道を上げて来たのである。突き蹴りを中心にした空手の延長線上に作られた日本のキックボクシングと、肘膝や飛び蹴りまでを駆使するトリッキーなムエタイの技術には大きな隔たりがあり、その技術水準の高さに、ずっと上位概念としてムエタイを追尾して来た歴史があるのだ。

だが、今、若い世代のムエタイ戦士が歴史5年に満たないMAXのチャンピオン魔裟斗に“挑戦者”として現れたこと。この事実を敗れたとはいえ魔裟斗は誇っていいと思う。そして間違えなくMAXの地軸はタイ人プアカーオの優勝によって、真に世界水準の頂上を決める場として新次元へ突入したのである。

今後、ラジャダムナンスタジアムの王座に就いた経験のある武田幸三や、今回直接対決のチャンスを得られなかったクラウスらが、プアカーオの首をねらって大きなうねりを起こすであろうことは想像に難くない。

ただ、その流れの中に魔裟斗が再び身を投じるかどうかは、非常に微妙にな気がしてならない。


【後編】誤審問題の検証をブラックボックスにするな!に続く

(執筆者:井田 英登)

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