中田英と福西が練習中に衝突。突然の4バックに戸惑う選手たち
まずはハーフコートでの守備戦術の確認。レギュラー組にはGK楢崎正剛(名古屋)、DF(右から)加地亮(FC東京)、中澤佑二(横浜)、宮本恒靖(G大阪)、三浦淳宏(神戸)、ボランチ・福西崇史(磐田)、小野伸二(フェイエノールト)、2列目・中田英寿(フィオレンティーナ)、中村俊輔(レッジーナ)の8人が入り、サブ組は最終ライン中央に松田直樹(横浜)、ボランチに稲本潤一(カーディフ)、遠藤保仁(G大阪)、2列目・本山雅志、小笠原満男(ともに鹿島)、FW大黒、柳沢が陣取った。変則的陣形だが、これはあくまでレギュラー組がプレスのかけ方を確かめるための練習だ。
サブ組がビルドアップからシュートを仕掛け、レギュラー組は相手の動きをマークして、ボールを奪いに行くという形だったが、なかなかレギュラー組の守りが連動しない。そのうち、中田英と福西とポジショニングを巡って言い合いを始めた。「ヒデさんの後ろに敵が来た時、ヒデさんが行くか、フクさんが行くかについて意見が分かれた。フクさんが前に出てしまうとボランチのところが空いてしまう。そこを自分やユージさんがカバーすると、もっと大きな穴が出来る。このあたりが難しい」と加地は彼らの意見を補足説明した。
当初はこの話し合いにジーコも加わっていたが、話が紛糾するにつれ、指揮官はその場から去ってしまった。「あとは自分たちで考えてくれ」という意味なのだろうが、本番2日前の指揮官が何も指示できないようでは先が思いやられる。これにはさすがに不安を感じた。この混乱が紅白戦に悪影響を及ぼしたのは言うまでもない。レギュラー組はここまでの9人にFW高原直泰(ハンブルガーSV)、玉田圭司(柏)が加わったメンバー。サブ組はGK土肥洋一(FC東京)、右サイドバック・坪井慶介(浦和)、左サイドバック・中田浩二(マルセイユ)が入り、36分間にわたってゲームが行われた。
序盤はレギュラー組がいい形でパスを回した。中村、中田英、小野と中盤にボールの持てる選手が揃ったせいもあって、彼らを軸に攻撃を組み立てる。開始10分には左サイドで高原がタメを作り、その背後に上がった三浦にパス。そして彼が上げたクロスに玉田が反応し、ヘディングシュートで1点を奪った。けれどもいいリズムだったのはここまで。この後、レギュラー組はミスを連発する。中盤でしばしばボールを失って相手にカウンターを繰り出されたり、サイドを崩される場面も多かった。仮想マハダビキア役を担った本山を止めきれず、三浦と中村が翻弄されることもあり、本番がかなり心配だ。
迎えた21分、小野のミスを突いた大黒が中盤でボールを奪い、そのままドリブルで持ち込んで豪快なゴールを奪った。さらに大黒は30分、左サイドを駆け上がった中田浩二のクロスに飛び込んで左足で確実に追加点を挙げた。終わってみると、1-2でレギュラー組の負け。結果だけでなく、内容面でも課題の残るゲームだった。
本番直前でコンディションをやや抑え気味に戦ったとはいえ、レギュラー組にとってはお粗末な試合だったといわざるをえない。選手たちのご機嫌も悪かった。ミスから大黒に1点を献上した小野はほとんど喋らず練習場を後にし、中田英と言い合いになった福西も「前向きに意見交換をしただけ」と話したが、その口調には荒々しさが感じられた。4バックの一角を担う加地は「このままじゃ厳しい」と正直な思いを口にし、宮本も「久しぶりだったんでうまく行かなかった。しっかり自分たちで考えてやるしかない」と危機感を前面に押し出した。
試合は2日後に迫っている。練習もあと1回しかない。ジーコは4-4-2の採用と中田英の先発起用を決めただけで、もはや何の指示もしないだろう。となれば、後は選手たちが自分で考えて戦うしかない。そうやってアジアカップも1次予選も乗り切ってきたのだ。彼らなら何とかできる経験と英知を持っている。それを全て結集し、この難局を乗り切るしかない。
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