サッカーW杯 最新コラム

更新日:2004年09月10日

9月8日(水) W杯アジア1次予選インド戦 インドメディアか

編集部 All About 写真

インドで行われたワールドカップアジア1次予選の総括です。一夜明けた地元インドのメディアは日本の苦戦に驚いたようです。レポートは元川悦子さんです。

文章:小野寺 俊明(All About「日本代表・Jリーグ」旧ガイド)

<グループ3 順位表>

1位 日本 勝ち点12(4勝0敗)得失点差+13(得点14失点1)
2位 オマーン 勝ち点9(3勝1敗)得失点差+12(得点14失点2)
3位 インド 勝ち点3(1勝3敗)得失点差-14(得点2失点16)
4位 シンガポール 勝ち点0(0勝4敗)得失点差-11(得点1失点12)

これでワールドカップアジア1次予選は4試合を消化。勝ち点12で日本は首位となった。次はアウェイのオマーン戦、グループ3の大一番を迎える。日本が1次予選を突破する条件は下記の通り。

1 オマーンに勝ち
日本・勝ち点15、オマーン・勝ち点9となり、最終戦を待たず突破が決定。

2 オマーンと引き分け
日本・勝ち点13、オマーン・勝ち点10となり、最終戦を待たず突破が決定(日本が敗れてオマーンが勝って、同じ勝ち点13になっても直接対決で日本が1勝1分と上回るため)。

3 オマーンに1点差で負け
日本、オマーンとも勝ち点12となるが、得失点差でオマーン(+13)が日本(+12)を1点上回る。そのため日本は最終戦で勝って得失点差でオマーンを上回ることが必要。

4 オマーンに2点差以上で負け
日本、オマーンとも勝ち点12となるが、今回からグループ全体の得失点差より、直接対決の結果が優先されるためオマーンが上位になる(前回の結果は日本1-0オマーンで、1勝1敗となるが直接対決の得失点差でオマーンが上位になる)。そのため、最終節で日本の自力突破の可能性はなくなる。

<残り試合>

10/13
シンガポール - インド
オマーン - 日本

11/17
オマーン - インド
日本 - シンガポール

では元川悦子さんのインドからのレポートをどうぞ!

*****

44分間ノーゴールのアジア王者に驚きを隠せなかったインドメディア
「スロースターター」を返上したい日本

コルカタ(カルカッタ)でインド対日本の一戦が行われてから、早くも1日が経過した。試合直後、航空機に飛び乗ったジーコジャパンは9日夕方、早くも帰国したという。

そんな動向に関係なく、コルカタの町は土砂降りの雨に見舞われた。町一番の繁華街であるサダルストリートにはリキシャ(人力車)が走り、貧民層の人々が物乞いをしたり、道端で平然と眠ったりしている。西ベンガル州最大の町に住む1200万もの人々にとっては、日本代表の試合があったことなど、取るに足らない出来事だったのかもしれない。そして、日本選手たちも、コルカタという異国の地に滞在したことさえ、夢か幻のように思っているだろう。

堅いピッチに想像を絶する蒸し暑さ、停電といったアクシデントに見舞われた今回のゲームを、翌日の現地紙はかなり大きく取り上げていた。インドの一般紙「ザ・テレグラフ」は、「インドと日本の間には少なくとも4点の実力差があった」と潔く負けを認めた。その一方で「日本は開始10分から数多くのCKを奪ったが、ゴールが非常に遠かった。前半22分の高原直泰(ハンブルガーSV) の決定的なヘディングシュートもGKナンディの好セーブに阻まれた」と、思うように得点を奪えない日本を揶揄する内容も含まれていた。

同じく有力紙「ザ・ステイツマン」は、もっと直接的な表現をしていた。「信じられないことに、前半44分までスコアレスが続いた。ジーコはインドの守備が前半を通して非常によかったと賞賛していたが、日本の攻撃陣は大いに苦しんだ」。彼らはインドの善戦を評価するとともに、ゴールラッシュを見せられないアジアチャンピオンの姿に驚きを隠せなかったようだ。

インドメディアが指摘する通り、最近の日本代表はスロースターターぶりが目立つ。アジアカップでも、イージーなミスから相手に先制点を与え、自らのクビを絞める試合が続いた。近年は欧州のみならず、アジアサッカーのレベル差も小さくなっており、日本が大勝できるチャンスも少なくなった。とはいえ、欧州クラブで激しいプレーを体験した高原や鈴木隆行(鹿島)が、小柄で国際経験の少ないインド人DFを背にして、狙い通りに前を向けない現実を目の当たりにすると、やはり複雑な感情を抱かざるを得ない。

アジアカップでも感じたことだが、日本の攻撃陣は「個々の強さ」に欠けている。日本を苦しめたイランのカリミ、ダエイ、バーレーンのA・フバイル、中国のハオ・ハイドン、韓国のイ・チョンス、ソル・ギヒョンなどは1人で何人ものDFを振り切ってフィニッシュまで持っていける。が、残念ながら日本にそういうストライカーはいない。

そうは言っても、今さら彼らの個人能力をうんぬんしたところで、ジーコジャパンを取り巻く現状は何も変わらない。こうした課題はむしろ、若い年代の育成につなげていくことだろう。残念ながら、先月のアテネ五輪で、日本はたった2試合でグループリーグ敗退を喫した。現在、日本で開催中のU-17世界選手権出場予選でも、U-16日本代表も準々決勝進出を逃し、世界への道を絶たれた。「個人能力」という日本サッカーの問題点は、非常に根深いテーマなのだ。

そんな課題を抱えるからこそ、ジーコジャパンの選手たちは、中盤やサイドをうまく使いながら、組織的に攻撃を組み立てようとしている。しかしこのサッカースタイルだと、相手を疲れさせて穴を突くまでに時間がかかる。福西崇史(磐田)も「ボールを回していて、前半からところどころ穴ができていたので、いつかは点が入ると思っていた」と、時間をかけながら得点を奪おうとした意図を言葉にした。そしてインドは日本のパス回しに体力を奪われ、最終的には4点を献上した。ある意味、この試合は、日本選手たちが計算していた通りの展開になったのだ。

確かに、インドのようなFIFAランク138位の相手と戦うなら、このくらい鷹揚に構えていてもいいのだろう。だが日本は、この先、実力的に拮抗する相手と戦わなければならない。10月にマスカットで対戦するオマーンなどは、日本にボールを回させ、小さなミスを突いて、思い切りカウンターをしかけてくる。ボールポゼッションをして、相手を疲れさせるはずが、逆に揚げ足を取られてしまうことにもなりかねない。

だからこそ、早い時間帯に先制点を奪うことが肝要なのだ。インド戦でも前半14分と22分に高原がこれ以上ないゴールチャンスを迎えたが、確実にゴールに結びつけることができなかった。こういう数少ない絶好機をモノにすることが、日本を確実にドイツへと導くことにつながるのである。

インド戦をいいきっかけにして、日本選手たちには「スロースターター」を返上してもらいたい。頭からリスクを冒して攻めろとは言わないが、早い時間帯のビッグチャンスをしっかりとモノにできる強いメンタリティを持ってほしい。そうすれば、もう少しラクにワールドカップ予選を戦えるに違いない。そう痛感させられた、今回のインド戦だった。

(取材・文/元川悦子)

*****

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(執筆者:小野寺 俊明)

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