文章:斉藤 健仁(All About「ワールドサッカー」旧ガイド)
どちらかと言えば守備的な試合が多いW杯。そんなとき、やはり“武器”になるのがプレースキック、とりわけ直接FKだろう。FKの名手がいるだけ、ゴール前での反則がビックチャンスとなる。日本代表の中村俊輔を始め、各国代表にはFKの名手が揃う。
イタリアで進化した中村俊輔のFK
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| 俊輔のFKは世界でも評価が高い |
日本代表のフリーキッカーといえば、小笠原満男や遠藤保仁の名も挙がるが、やはり「左足の魔術師」の異名をとる“ファンタジスタ”中村俊輔である。
彼が才能だけではなく努力の人であることは関係者の間では有名で、いつも練習後にFKの練習を欠かさない。1999年Jリーグやシドニー五輪の予選でもその左足から放たれる大きく弧を描くFKでチームを勝利に導いてきた。
しかし、2002年中村俊輔はイタリア・セリエAのレッジーナへ移籍。そこで壁にぶつかることになる。FKを蹴るときは、DFはボールから9.15m離れなければならない。そのため、壁となるイタリアのDFやGKは日本のDFやGKよりも背が高く、それまで蹴っていたFKでは、壁に当たったりGKにセーブされたり、ゴールを奪うことができなかった。
そこで中村俊輔は、自身のFKを進化させた。ボールの正確性もさることながら「ボールを曲げることよりもスピードを重視したFKへと進化させました」とスポーツサイエンスの研究者・筑波大学大学院の浅井武助教授はいう。つまり、球質が野球で例えるのであれば、カーブから“スライダー”になったというわけだ。
中村俊輔はこの“スライダーフリーキック”で、リーグ戦だけでなく、2003年にフランスで行われたコンフェデレーションズカップでフランス代表からFKを決め、世界にFKの名手であることを印象づけた。また、記憶に新しい、2005年のコンフェデレーションズカップのブラジル戦でも、素晴らしいFKで、大黒将志の得点をアシスト。また、ジーコJAPANで中村が挙げた10得点のうち3点がFKによるものだ。
グループリーグで劣勢が予想されている日本代表。昨シーズン、6得点中3点をFKで取り、スコットランドでさらに磨きをかけた中村俊輔の“スライダーフリーキック”が日本の命運を握っているだろう。