ミステリー小説/ミステリー小説関連情報

海堂尊のメディカルな世界

映画化もされた話題作『チーム・バチスタの栄光』の著者・海堂尊。その精力的な創作活動に迫ります。

執筆者:福井 健太

ベストセラー作家・海堂尊

海堂尊は1961年千葉県生まれ。外科医を経て病理医として勤務するかたわら、2005年に『チーム・バチスタの栄光』で"第4回このミステリーがすごい!大賞"を受賞。『ナイチンゲールの沈黙』『螺鈿迷宮』『ジェネラル・ルージュの凱旋』と続く医学ミステリー、ユーモラスな犯罪小説『夢見る黄金地球儀』、異色のジュヴナイル『医学のたまご』など、多彩な作品に挑んでいるエネルギッシュな実力派だ。その傑作群をまとめて御紹介しよう。

映画化されたヒット作
『チーム・バチスタの栄光』

『チーム・バチスタの栄光』
バチスタ手術中に原因不明の死亡が頻発し、万年講師の田口が内部調査を命じられた。死因は本当に医療ミスなのか? 田口&白鳥シリーズの記念すべき第1作。
現時点での著者の代表作としては、やはりデビュー作『チーム・バチスタの栄光』を挙げるべきだろう。2005年に"第4回このミステリーがすごい!大賞"に選ばれ、各方面の絶賛を浴びてベストセラーを記録し、2008年2月には劇場用映画(主演・阿部寛、竹内結子)が全国公開されるという話題作だ。東城大学医学部の付属病院では、心臓外科の権威・桐生恭一を擁するバチスタ手術専門チームを結成し、驚異的な成功率を収めていた。しかし突然――不自然なことに――手術中の不審死が立て続けに3件発生し、神経学教室の講師・田口公平は病院長に内部調査を命じられる。そこへ厚生労働省から"ロジカルモンスター"白鳥圭輔が派遣され、事態は異様な展開を見せるのだった……。

「肥大した心臓を切り取り小さく作り直す」バチスタ手術という題材、それを軽快に捌いてみせる文体、論理マニアで"彼が通った後はぺんぺん草も生えない"と称される白鳥の変人ぶり――これらの要素が溶け合うことで、本書はユニークな"メディカル・エンタテインメント"に成り得ている。ちなみに続編『ナイチンゲールの沈黙』では眼球に寄生する癌(網膜芽腫)を患う子供の父親が殺害され、田口と白鳥は思いがけない事件に巻き込まれていく。第3作『螺鈿迷宮』は老人介護センターと寺院を兼ね備えた複合型病院にまつわる物語。そして第4作『ジェネラル・ルージュの凱旋』では――デビュー作と同じく――田口の内部調査からとんでもない真相が浮上してくる。これは第1作に勝るとも劣らない傑作なので、第2作と第3作よりも先に読むという選択肢もありそうだ。

次のページでは犯罪小説とジュヴナイルを御紹介します。
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