週刊【山田真巳エッセイ】(最終回)カルの意味− そして2006年日豪交流年に向けて
編集部 All About
連載「風を食べて飛び続ける鳥」は今回で終了します。最終回のテーマ「カル」は、過去も未来も前世も来世もすべて輪のように繋がっているという意味合いのヒンディー語です。そしてこの言葉のように新たな展開が…
あとがき-連載ご愛読の御礼
そして2006年日豪交流年記念プロジェクトに向けて
ふとした縁で始まった山田真巳氏のエッセイ「風を食べて飛び続ける鳥」ですが、今回をもちまして終了させていただきます。パプアニューギニアにはじまり、オーストラリア、インドなど、海外での貴重な体験をユーモアあふれる文章にまとめていただき、読者の方々からは「こんな活動をしていた日本画家がいたのか」とか「画家の生き方とはこうあるべきだ」など、多くの励ましのお言葉をいただきました。この場をおかりして御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
連載の取材で山田氏にはいろいろなお話をお聞きしましたが、驚かされるのは、氏の行動力や決断力もさることながら、常に持っている「日本画」に対するあくなき探究心です。各地で見つけた紙や鉱物、そしてその地に伝わる伝統技法など、異文化を取り入れながら、さらに日本画の新しい可能性を模索している姿勢にはいつも敬服させられました。
日本画は、岩を砕いて作った岩絵の具を膠で定着させて描く日本伝統の絵画ですが、それに近い絵の具の作り方や描き方が各地に残っているお話もよくお聞きしました。連載第12回「地球のおへそ」にあるように、オーストラリアの先住民族アボリジニによる伝統的絵画技法もその一つです。彼らの絵画技法は、赤い大陸と呼ばれるオーストラリアの赤褐色の岩や砂などを主な絵の具として、洞窟の壁面やユーカリの樹皮に描くというものです。赤い大地の色で描かれた動物の壁画をテレビや画集などで目にした方も多いと思います。
そのオーストラリアの伝統絵画と日本の伝統絵画である日本画の交流プロジェクトが企画されています。これは、オーストラリア各地から集められたさまざまな岩や砂を使い、日豪両国の伝統技法によって絵の具を作成、それを使って山田氏が日本画の技法で、アボリジニのアーティストが独自の伝統技法で制作するというもので、両者の合同展覧会が2006年に日豪両国で開催される予定です。
折りしも来年2006年は「日豪交流年」にあたります。このプロジェクトを通じ、二つの国がより親近感を持ち、お互いの文化を理解し合い、そして刺激し合えるようになることを願ってやみません。当日本画サイトでは、プロジェクトの詳細を追ってご報告するとともに、今後の経過を随時「連載」として掲載していく予定です。どうぞご期待ください。(松原洋一)